第33話 行商人
「でですね」
「そうなんだ?」
ホテルは帝国側からの商売人で、帝国のことをよく知っていた。おしゃべり好きらしいが、聞いてるこっちが疲れてこない程度に話をかけてくるのがこちらを気遣っているのがわかり嬉しい。
帝国には奴隷制度があるらしいが奴隷が嫌いなホテルは奴隷を無くしたいと思ってるらしいのだが無理なようだ。借金奴隷、犯罪奴隷、あと非合法で裏奴隷がいるらしいが滅多に見ないそうだ。
帝国も近くなると盗賊が増えてくるらしい。現に一つ潰したがまた出て来た。
「今日2回目だぞ」
「はあ?何言ってんだテメェは!」
「盗賊の話だよ」
「そこらの盗賊と一緒にすんなよ!こちとら」
首が飛ぶ。
「本当に鬱陶しいな」
アジトを聞き出すとアジトの奴らも皆殺しだ。捕まってる人たちを助けて荷馬車があったので御者が出来るやつに動かしてもらいそれを教えてもらいながら下に降りて行くとホテルが待っていた。
「本当にすごいですね」
「弱い盗賊ならな」
「いまのはドンゾ盗賊団と言ってとても強い盗賊達ですよ」
「そうか?そこらの盗賊と同じだったがな」
まぁ、溜め込んでるお宝は結構あったな。
「んじゃ先に進むか!」
「はい!」
それからは盗賊に会うこともなく王国とのの境目、城壁にたどり着いた。
盗賊の首を出すと驚かれたが確認に二日は待ってくれと言われて二日待つことにした。
「悪いなホテル」
「いいえ、いいことをしたんですから!」
もう一つの荷馬車には助けられた人たちが乗っているが、今にも死にそうなのでハンバーガーを手渡して食わせると笑顔が少し見えた。
ホテルにも渡して食べると、
「な、何ですかこれは!うまいし食べやすい!」
「な?いいもんだろ?」
「はい!ハンバーガーというものは王国でも見たことありません」
俺が買って来たからな。
「なんなら作って売っていいぞ?簡単だろ?」
「え?商業ギルドには」
「登録してないから大丈夫だ」
「それじゃあ登録しないと」
「登録がめんどくさいからホテルにやるよ」
「は、はい!」
「これを広めてどこでも買えるようにしてくれ」
「わかりました!」
あっちの御者をしているアリィにも食わせたがびっくりしていた。
「こんな美味しいの初めて食べました」
「あはは、これからはもっとうまいもん食べなきゃな」
「はい!」
アリィは親父さんと行商していたが、盗賊に襲われて親父さんを殺されたそうだ。
辛かったろうに今ではテキパキと働いている。捕まってた人の中には偉そうな服を着た人もいたが盗賊に捕まって意気消沈していた。
大事なものを返すと残りは俺のものなので金貨5枚ずつ渡しておく。これだけあればどうにかなるだろう。
「王国の人は帰ったらどうだ?」
ほとんどが王国側だったので帰りの馬車を用意してもらって乗って帰った。
アリィだけ残ったので荷馬車を渡して行商の旅に一緒に行くことになった。ホテルがいい出したんだがな。
「こんな子が行商出来るのかね?」
「出来るできないじゃないんですよ、やるんです」
ホテルは熱血だった。
ホテルにイロハを叩き込まれているアリィはとても頑張っていると思う。
二日たったので盗賊の報奨金を貰うと大金貨2500枚もらった。儲けたな。
そして帝国側に二つの荷馬車は進む、帝国側でも行商人と護衛で通った。
ここからはホテルに任せて行商の旅となる。俺はアリィの荷馬車で居眠りをしてると、アリィが叫んだので起きて飛び出すとちょうど地龍が横切ろうとに馬車を踏み潰すところだったがそのまま上に切り上げると横倒しになる。
「ホテル無事か?」
「は、はいぃ」
地龍はデカい図体で起きあがろうとしていたのでそのまま首を切るとアイテムボックスに入れる。
「は、はあぁぁ」
「やばかったな」
「遠いから大丈夫だと思ったんですが」
「そういう時はあらかじめ予想して起こしといてくれ」
「わかりました」
「それよりアイテムボックスが使えるんですね」
「あぁ、あまり使える人がいないみたいだがな」
「そうですよ!使える人こそ行商人にならないと!」
「俺は気楽な冒険者の方が性に合ってる」
「そうですか」
「あ、そうだ。マジックバックは持ってないのか?」
「はい、あれは高くて手が出せませんよ」
「作ってやるよ」
「えっ作れるんですか?」
「次の街でバックを選びなよアリィもな」
「「はい!」」
これで二人の行商も楽になるだろうな。
「はぁあ。これが私のマジックバック」
頬擦りをしているホテルにドン引きの俺とアリィ。アリィは普通のショルダーバッグにしてホテルはデカい革製のバックにした。
宿に泊まると、ようやく落ち着いたのかアリィは寝てしまったようだ。
俺とホテルは下の酒場で飲んでいた。
「だから私は言ってやったんです!」
「おお、それで?」
同じ話をもう2回は聞いたぞ。
でも顔を赤らめて嬉しそうに喋るホテルには悪気はないんできいてやる。
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