第23話 悪魔の魔法屋


 怪しい雰囲気のお店に入ると怪しい婆さんのやってる魔法屋だった。

「なんかいいの入ってる?」

「あるよ、あんたにゃこれかね」

「これは?」

「鑑定極さ」

「鑑定にそんなのあるんだ?いくら?」

「大金貨100枚」

「わかったよ」

「へっへっへ、毎度」

 オーブを割って自分の中に入ってくると頭が割れるように痛くなった。

「ぐっ。くうぅ!」

「そりゃ極めだからね、耐えられたらすごいもんさ」

「この!ぐくっ!」

 30分ほど痛みと格闘してようやく見えてきたものは婆さんが悪魔だったって事だ。

「悪魔なのか?」

「そうさ、でもこれで分かっただろ?いいものにはそれなりの代償が必要だってね」

 鏡を見せる婆さん、俺の髪の毛は真っ白になっていた。

 うお、白髪に眉毛もまつ毛もなっちまった?

「まぁいいけどさ、他にもあるのか?」

「あるけど今のあんたじゃ使えないよ」

「そうか。分かったありがとう」

「えっへっへ、毎度」

 外に出て自分を鑑定してみる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ヒロト  十八歳  ランクB

 レベル95

 力 S

 体 A

 速 SS

 知 A

 魔 A

 スキル 剣術 体術 短剣術 投擲 槍術 乗馬 解体 鑑定極 身体強化 魔力循環 生活魔法 四大魔法(火、風、土、水) 回復魔法 付与魔法 氷魔法 雷魔法 アイテムボックス 認識魔法 空間魔法 時間魔法 解呪魔法

 ユニーク 異世界人

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 と出ている。ユニークの異世界人を鑑定すると。

 異世界人ー異世界からの放浪者、肉体の時間の動きがなくなる。


 やっぱりか、こっちでは俺は時間が過ぎないんだな。

 ようやく謎が解けたような気分になった。

 じゃぁ、こっちに居る限り俺は歳を取らないんだな。

 でもせめて二十歳にはなっておきたいかな?

 万能薬も鑑定してみると、竜の血、月見草、竜苔、と出ている。これに似た材料を用意できれば日本でも万能薬擬きができるんじゃないか?


 早速日本に帰って伊藤に連絡を入れる。

「月見草と竜苔ってのが材料らしい」

「月見草はあるが竜苔ってのがわからんな、さがしてみる」

「あぁ、よろしく頼む」

 これで俺の仕事は終わっただろうな。

 あとは伊藤頼みだ。

 俺は一年こっちで過ごすことにした。

 まぁ広いリビングでme Tubeを見ながら武術を見よう見まねでやったり、たまには親父の墓参りにいったりしてたけど、後は基本ネットで知識を集めていた。

 社長ともよく外食に行くようになり、親交を深めていたがな。

 ようやく二十歳の誕生日になり。俺も酒が飲める年になったので、異世界に行くことにした。


 宿で飲んでるルーを見つけた。


「ルー久しぶり」

「今朝あったばかりじゃないか?」

「あはは、そうだったな。儲けたか?」

「まぁまぁだね、ってかあんたもしかして悪魔の魔法屋に行ったね」

「あぁ。知らなかったんだよ」

「はぁ、でも良かったよ、その頭だけで済んで」

「すまない時もあるのかい?」

「そりゃ悪魔だからね」

 危なかったな。よかった髪色だけで済んで。

「そりゃ幸運だったよ」

「そうさね、でなんの魔法だい?」

「鑑定極」

「そりゃ凄い!そんなの持ってるのはあんただけさね」

「だろ?」

 女将に果実酒を頼む。

「おや、二十歳になったのかい?」

「今日なったばかりだけどね」

 と言って乾杯する。

「紅蓮隊のみんなももう王都に居るはずだよ」

「そうかい、どれくらい成長してるのか見ておかなきゃね」

「あはは、あんまりやると嫌われるぞ?」

「あたしゃ嫌われてもいいさね」

「まぁこの前あったけど少しは違って見えたよ」

「人は成長して行くさね」

 おかわりをもらうルー。

「そうだね、あはは」

「あんたは笑い上戸かい」

「楽しい気分だね」

「そりゃ良かったけどそれでやめときなよ」

「分かった、女将、スタミナ定食」

 気分のいい俺はルーといろんなことを話す。自分が初めて人を殺した時の話やここにくるまでにあったことを。

「本当に強いんだね」

「そうかな?弱いと思うよ?」

「そんなの関係ないさ、強いよあんたは」

「あはは、ルーに言われたらそんな気になってきたよ」

「調子に乗るんじゃないよ?」

「了解」


 次の日は二日酔いもなく。普通に朝起きれた。下に飯を食いに行くとルーがいたがまた絡まれてるのか?


「おいばーさん!こいつに金を返してやれよ!」

「なんでさ。わたしゃちゃんと伝えただろ!」

「こいつが使ったのは認めるけどさ!」

「ならいいじゃないか?」

「よくねえから言ってんの!あれは俺たちの財産なんだから」

 よく絡まれるなぁ?

「ルーどうしたの?」

「何よくあることさ」

「じゃあ、あんたが取り返したらいいさ」

「いやイカサマだろ?そんなことは俺はやらない」

 男達はどうしても返してもらいたいようだが、無理だろ?

「イカサマしてないのが分かったらいいんだな?」

「なぁ、さっきからなんなんだよあんたは」

「ルーの知り合いだ」

「じゃああんたからも言ってくれよ!このイカサマで取った金を返せって」

「はぁ、言ってもどうせわかんないんだろ?このグラス使いな」

 ルーにプラスチックのコップを渡す。

「へぇこりゃいいねぇ、よく見ときなよあんたら」

 真ん中に入れたのが右に入る。

「なっ!イカサマじゃねぇ!」

「だからこれ以上は騒ぐのやめて帰れよ」

「あ、あぁ、この馬鹿タレが!」

 一人の男が叩かれて帰っていく。


「あんがとよ。このグラスは」

「やるよ!また来たら見せてやったらいい」

「そんなことしないよ」

「なんで?」

「タネがバレたら仕事にならないだろ?」

「あはは、そりゃそうだ」

「これは酒飲む時に使うさね」

「ならこっちがいいんじゃないか?」

 綺麗な模様の入ったグラスを渡す。

「ほぉー、綺麗なもんだね!いいのかい?」

「あぁ、まだあるしな」

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