第21話 ドーナッツ


 次の日は紅蓮隊のみんなに街を案内してもらう。

「こっちこっち!」

「待てってチャム」

「急がないと売り切れちゃうんだよ」

「何を買うんだ?」

「ドーナッツだよ」

「あーしも好きー」

 とクオンとヤジリも走っていってしまう。

「あー、売り切れてる!」

「遅かったか」

「どんなドーナッツなんだ?」

「ふつうのよりふわふわしてるんだよ」

「へぇ。ちょっと待ってなよ」

「?」

 俺は路地裏に入ると日本に帰る。ミセドのドーナッツを大量に買いアイテムボックスに入れてもどる。

「お待たせ」

「どうしたのさ?」

「ほれ、ドーナッツだ」

「うおっ!」

「おほっ!」

「いやったぁ!」

「こんなにカラフルなのは?」

「まぁ、食べてみたらわかるよ」

 湖の見えるカフェで持ち込みして食べる。


「うっまー!」

「やばい!これやばいって!」

「あまーい!」

「お、おいしい」

「だろ?」

「こんな美味しいドーナッツって!それ私が狙ってたやつ!」

「早い者勝ちでーす!」

「あーしはこれとこれね!」

「あ!私のそれ!」

 取り合いになってしまった。全部で10個は入ってたのにすぐなくなった。

「すまん、ヒロトの分まで食べてしまった」

「いいよまだあるから」

「まだあるの!」

「まだ食うの?」

 女の子は甘いものは別腹だというがその通りなのかもな。

「でも、我慢する!」

「あーしも!」

「ちょっと食べすぎだからな」

「ちょっとどころじゃないでしょ?」

「あははは、みんな大好きみたいで良かったよ」

 体重とか気にしてるのかな?

「また出してね?」

「あいよ」

「ウチも食べるからね!」

「あ、あーしも!」

「すまんが私もだ」

「わかったよ、いつでもどうぞ」

 俺はコーヒーを飲みながら答える。

「あそこのドーナッツより美味しかったよ!」

「だよね!それ思った!」

 みんな甘いもの好きだな。

「で次はどこ行くんだ?」

「あっ、そうだった!案内してたんだった」

 忘れてたのかよ。

「えーっと、ぐるっと回ろうかなーって思ってたんだ」

 

 それで武器や防具を売ってるところや、魔法屋にスキルオーブ屋もあった!

「スキルオーブ!」

「おぉ!食いついたね!」

「でもスキルオーブはランダムなんだよ」

「そう、賭け事に近いんだ」

「そうなのか?でもスキルもらえるだろ?」

「いらないスキルはあってもしょうがないし、スキルを持てる数も人によって違うからね」

 え?そうなのか?まぁ、異世界人には関係ないようだが?

「お客さんやってくのかい?」

「おうやるやる!」

「一回金貨50枚だよ!」

「じゃあ2回で」

 と大金貨を1枚渡すと選べと言われた。

直感で選んで二つを割ると中に入ってくるものがあったので自分を鑑定する。


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 ヒロト  十八歳  ランクE

 レベル78

 スキル 剣術 体術 短剣術 投擲 槍術 乗馬 解体 鑑定 身体強化 魔力循環 生活魔法 四大魔法(火、風、土、水) 回復魔法 付与魔法 氷魔法 雷魔法 アイテムボックス 認識魔法 空間魔法 時間魔法 解呪魔法

 ユニーク 異世界人

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「あははは、槍術と乗馬だった」

「ありゃ、どっちとも取れるよね?」

「あーしが教えてあげたのに」

「馬に乗れるようになったのはいいことだぞ?」

「だな、馬でも買おうかな?」

「あはは、乗馬スキルが貰えたからって馬買うのは安直だよ」

「そうかなぁ?」

「ちゃんと熟練しないと馬に舐められちゃうからね」

「そうだよ?スキルは取っただけじゃダメなんだよ」

「そうなんだ!へぇ」

「あーしが後で槍は教えてあげるよ」

「お願いします」

 槍を教えてもらうことになった。

 その後はぐるっと回るが、

「あっちは?」

「あっちが色町さ」

「へぇ」

「気になる感じ?」

「いや、別に」

 本当は気になるさ!男だからね!

「あーしらがいるじゃんね」

「そうそう、ウチらがいるんだから!」

「わかったって!」

 両サイドを挟まれてしまう。

 柔らかいものが当たってる!とくにクオンのが!

「はいはいそこまでにしときなさい」

「「はーい」」

「で、その奥が裏町って言う危ない系だから行かないようにね」

「はーい」

 色町をすっ飛ばしたな。まぁ、いかないけどね。

「んでこっちが鍛冶屋街になるのだ」

 へぇ、こっちが鍛冶屋がいるところか、まぁ。また作ってもらう機会があったら寄ろうっと。

 それからも色々と教えてもらいながら街をぐるっと回った。

「こんなとこかな?」

「色々あって楽しかったよ」

 本当に大きな街だな。王都がこれより大きいのか。

「それよりいつまでここにいるの?」

「んー、適当かな?王都にも行ってみたいしね」

「ならまだ一緒にあそべるね」

「そうだな」


 俺たちは冒険者ギルドに行ってやりの練習をする。

“カンカカン”

「すごいよ!もうものにしてるじゃないか」「そんなことないですよ、師匠」

「あーしが、師匠か!あははは」

「槍もいいな!両手が塞がるのがちょっとキツイけどね」

「まあ突きに特化してるからね」

 でもこのリーチはでかいな。

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