第20話 呪い


 蚤の市は面白いのがたくさんあった。

 やはり鑑定ができるのはいいことだな。

 見ながら歩くといいものはあるがそそられるものはなかなかない。

 指輪があったので購入しておく。銀貨一枚だった。あとはこれと言ってなかったなぁ。

 指輪を鑑定すると換装の指輪と出てきたので部屋に戻りと指輪を中指につけ登録すると裸になってしまったのでとりあえずは服を着る。

 これでいつでも普段着に換装できるようだ。

 あとはこのスキルオーブだな。

 割ってみると何かを覚えたような感覚がしたのでステータスを見ると、


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 ヒロト  十八歳  ランクB

 レベル78

 スキル 剣術 体術 短剣術 投擲 解体 鑑定 身体強化 魔力循環 生活魔法 四大魔法(火、風、土、水) 回復魔法 付与魔法 氷魔法 雷魔法 アイテムボックス 認識魔法 空間魔法 時間魔法

 ユニーク 限界無し

 異世界人

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 投擲がスキルに入っていた、ランダムのようだな。スキルオーブを見つけたら買うことにしよう。

 あと時間魔法はアクセルとスロウか、何かの時に役立つだろ。

 

 換装して冒険者の格好になった俺はまた外に出て色々見ていく。錬金術師のほうにも顔を出して万能薬はなかったが、風邪薬や痛み止めなどがあったので買っておく。

 この街の見どころは大きな湖だろ。

 ここで釣りなんかしたら楽しいだろうな。

 湖を見ながら黄昏ていると、妙に人恋しくなったので部屋に戻り日本に帰る。

 俺の家族はもう亡くなっている。片親の親父が癌で亡くなったのは俺が高校卒業する頃だ。そのまえに回復魔法を覚えていれば良かったのだがな。と言ってもしょうがない。

 親父の墓参りはこの前行ったから親父も安心してるだろうな。


 と、しんみりしていると社長から連絡があって取ってみると急ぎのようらしいのでその場に向かう。

 すると病室で息も絶え絶えの男がいた。

「ヒール」

「ありがとう、交通事故で死にかけていたんじゃ」

「良いですよ。いつもお世話になってますんで」

 この社長とはこれからも仲良くやっていきたいと思ってるからな。

「お代はいらないですよ」

「本当かね、でも」

「あはは、これでも十分にもらってますし、社長は口が硬いですから、口止め料ってことで」

「あぁ、ありがとう」

 涙を流しながらお礼を言われる。

 男は相当疲れてたのかそのまま眠っている。

「交通事故の相手は?」

「相手はピンピンしとるわい」

「え?」

「トラックの居眠り運転でな、ワシの甥っ子をこんな目に合わせたんじゃ慰謝料はきっちり払ってもらうがな」

「そうだったんですね」

 不運にも程があるだろ、社長の周りは。

 一度社長を鑑定してみる。

 呪い?そんなものが現代にあるんだな。

 社長と別れて異世界に行く。

 魔法屋に行って呪いのことを聞いてみると解呪魔法ならあると言われたので買った。

 すぐに引き返して社長を解呪すると、

「なんじゃ、体が軽くなったようじゃの」

「なんか呪いにかかってたみたいですよ」

「なに!?そんなことまでわかるのか」

「はい、だから周りが不幸になってたんだと思います」

「くっそー、呪いなんかだれがかけたんじゃ!」

「さぁ?そこまでは分かりませんけどね」

 これで普通の生活が送れるだろうな。

「ではこれで」

「あぁ、何から何までありがとうな」

「いいえ、こちらこそまたお願いすることがあると思いますんで」

「おう!それはまかせてくれ」

 と社長と別れ一人で家に帰る。

「この世界に呪いがあるなんてな」

 まぁ、現代にも呪術とかあるのかもな。


 コーヒーを淹れて落ち着いているとそう言えば最近は日本で過ごすことが多かったので気が付かなかったが、異世界でもこの世界でも魔法が使えるので魔力はあるんだよな。

 やはり特殊な人はいるんだな。

 ガセもあるだろうけどね。


 少し眠気が来たので異世界にいくとちょうど夕方だ。下に降りて飯を食う。

「あー!ヒロトだ!」

「やはりここだったのか?」

「さっきぶりー」

「変わらないな」

「おう!シャルロッテ達もここだったのか」

「うん!ここが一番良い宿だからね」

「そうなのか。あまり気にせず宿を選んだからな」

 あの時は眠かったしな。

「ごはんごはん!」

「あぁ。腹ペコだ」

「今日の定食はなんだ?」

「俺はいつものスタミナ定食だ」

「あはは、いつもと変わらないわね」

 シャルロッテ達に笑われてしまったがこれが一番うまいと思うんだ。

 旅の話をしながらゆっくりみんなで飯を食う。

 やはり歩きでの旅は疲れるみたいだ。

 魔物なんかも出てくるしな。

「あれから盗賊は?」

「一度も会ってないぞ、まぁ大盗賊団が討ち取られたんだからそうそう人を襲うことはしないだろ」

「まぁ、そうかもな」

「ヒロトはなにしてたの?」

「ドラゴンと会ったり戦ったりだな」

「え?!ドラゴンってあのドラゴン?」

「戦ったのは地龍だけどな」

「グリーンドラゴン?!」

「ああ、強かったぞ」

「一人で戦ったの?」

「そうだけど」

「「「「すごい」」」」

 まぁあの時は情緒不安定だったからなぁ。

 無茶したもんだよ。

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