第12話 三兄弟


 警護に戻ると二人にいろいろ聞かれるが、極秘だということで喋らなかった。壁に耳あり障子に目ありだからな。余計なことは言わないに限る。

 昼も近くなり昼食の時間だが警護の時は昼食は食べないそうだ。まぁ。まだ腹減ってないからいいけどな。

「あーハラヘッタぁ」

 クオンが言う。

「朝早かったからですね」

「食べないのが規則なのか?」

「まぁ、警護の時は、ほらああやって交代で飯に行くもんだ」

「じゃあいってきなよ、交代で行けばいいだろ?」

「私達だけ昼ごはんを食べるなんてできません」

「夜は食ってないからな」

「そうなのか、なら我慢だな」

「そう言うこと」

 腹の虫はまだ大丈夫と言っている。

 にしてもこんなに警備を増やして何を警戒してるんだ?


 結局は三日間何もなく終わった。

俺たちはただ突っ立ってるだけだったが、べつに何にもなかった。

 そして報奨金も前と同じく大金貨1500枚を三等分して俺が500枚もらうことになった。

 それと商業ギルドにも行ってシャンプーとコンディショナーを卸しておいた。

 計200本なので大金貨150枚だ。

 金が貯まる一方だな。


 ようやくこの街とおさらばできると思うと良かったと言わざる得ない。この街はあまりいい思い出がないからだ。


 街道を北東に進み山道に差し掛かると大男が見える。あれがロンゾか?

「先に行って確かめてくる」

 走って向かうとやはり顔がそっくりだロンゾで間違いない!

「お前がロンゾか?」

「誰だお前は?」

「お前の兄弟を殺したのは俺だ」

「俺の弟たちを殺したのがお前だと?こんなチンケな男に殺されやがってあいつらはほんと使えねえな!でも仇は取ってやるよ!」

「それはどうかな?」

 と思ったがロンゾの武器は長槍だった。

突きが予想以上に早い!

「ぐはっ!」

 貫かれないように後ろに後退するしかなかった。

「は?こんなにあっけなく終わるのか?」

「くそっ!「フレイムランス」」

「あぢぢぢ」

「ファイヤーストーム」

「ぐおおぉぉぉぉ!」

「サイクロン」

「ウオオォ!」

 長槍を薙ぎ払い魔法を打ち消した?

「はぁ、はぁ、はぁ、」

「ストーンニードル」

「ぐあぁぁぁ!」

 石の針が身体を刺すがこちらに向かって槍を振り下ろしてくるのでそれを避けると剣で風の刃を作り首を狙うと“ゴトン”と首が落ちる。周りにいた盗賊たちも驚いているが斬って行く、紅蓮隊も加わってアジトを聞き出す。

 またシャルロッテと二人でアジトまで行きアジトを壊滅させると、溜め込まれていた金品と連れ去られていた人たちを救うことができた。

 荷馬車もあったことからそれに乗ってクオン達と合流する。

「やっぱりいたな」

「そうね。それより一人で大丈夫だったの?」

「いや今回はやばかったと言うか少し侮っていた」

「なぜ?」

「相手の獲物を見誤っていたな、長槍だから危なかった」

「そうか」

 荷馬車の御者をチャムがして俺が荷台に、あちらは後ろに二人乗れるからクオンとヤジリが乗って御者席にシャルロッテが乗り込んだのでスピードアップだ。

 次の街まで二日で着きそうだ。

 みんな干し肉を食っているのに俺らだけ食べるのも憚られる。

 夜番は交代でして、次の日には街に着く。

 やはりロンゾ達の事で三日待たされるようでうんざりしていたがここの領主は護衛はいらんと言ってくれたので三日休みになった。

 久しぶりに魔法屋に行くとついてくる四人。

「何かおすすめはある?」

「空間魔法が入ってるよ」

「空間魔法?何ができるんだい?」

「空間魔法は別空間を作ったり、マジックバックなんかを作るのに使われてるよ」

「じゃあそれを買うよ」

 大金貨一枚渡してそれを買うとマジックバックにはほかに認識魔法と付与魔法が必要だと言われたがどちらも持っているので断った。

「へぇ。魔法屋なんて来た事なかったよ」

「ウチも!ボールがたくさんあった」

「ねぇ、あーしにマジックバック作ってくれない?」

「あっ!それいいね!私も」

「作れるかわからないけどいいよ」

「よーし!バック屋に行こう!」

「ウチも欲しい!」

「わたしも、コレは師匠のお下がりだからな」

「金は取るぞ?」

 結局四人分作ることになったが練習だと思えばいいか。

 バック屋で小一時間悩んだ末に決めたらしい。バックに空間魔法と認識魔法を一緒に付与していくとマジックバックの出来上がりだ。

「ありがとー」

 と抱きついてくるチャム。

「ありがとう、コレで矢を大量に運べるよ」

 とヤジリが言う。

「あーしは欲しかっただけ!」

「ありがとうでしょ?ヒロトありがとう」

「いいえ。大した事ないよ」

 みんなから大金貨一枚ずつ貰うが、

 ちょっと貧血みたいになってるけどな。

 コレが魔力がなくなっているサインかな?

「ちょっと大丈夫?」

「あぁ。魔力を使いすぎたみたいだから、ちょっと休めばすぐ楽になるよ」

「ごめんね、そこまで気が回らなかったよ」

「いいって、それより腹減らないか?」

「お腹すいた、ランチ行こー」

チャムが元気よく立ち上がるとみんな立ち上がる俺も別に対した事ないから立ち上がってランチをやっているところに向かう。


 魔力を使うと腹が減るのかいつもより多めに飯を食う。

「さすが男だね、食うね」

「いや、魔力を使うと腹が減るみたいだ」

「そうなんだ!初めて知った」

「俺も初めて知ったよ」

 満腹になって午後のコーヒーを飲みながら楽しく喋っている。

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