第8話 紅蓮隊


 夜はまた紅蓮隊のみんなと飯を食う。

「お前ら紅蓮隊って名前なのな」

「ど、どこでそれを?」

「ん?掲示板みたいなのでみたぞ?」

 みんな顔を赤らめている。

「どうしたんだよ?」

「紅蓮隊は恥ずかしいんだよ」

「ウチはフェアリーテイルが良かったのに!」

「あーしも違う名前が良かった」

「あれは私達の師匠が名付けたんだ」

「へぇ、師匠がいたのか」

 みんな顔を真っ赤にしたままだ。

「その師匠がまためっぽう強くてさ」

「ウチらじゃ逆らえなかった」

「あーしらも途中まで抵抗したんだけど」

「無理矢理つけられた」

「あははいいじゃないか、強そうでさ」

「笑い事じゃないのだー」

 チャムが項垂れている。

「あー、知られてしまっては仕方がないな」

 シャルロッテも項垂れている。

「まぁ、馬鹿にされなくて良かったよ」

「まぁ、そうだな」

 まだ恥ずかしそうなクオンとヤジリ、

「気にすんなって、別に名前で呼べばいいだけだろ?」

「そう!そうなんだよ!」

 ヤジリが急に言い出す。

「四人そろえば紅蓮隊なんて恥ずかしいったらありゃしないさ」

「そうだよ、ウチだって恥ずかしい」

「あー腹立つあのクソ師匠」

 口が悪くなってるよクオン。

「あはは、おれなんて旅人って書かれてたよ」

「いいじゃんか」

「紅蓮隊よりマシよ」

 本当に嫌いなんだな、地雷を踏んでしまったらしい。

「おのれ師匠め!今度あったら四人で改名させような」

「「「おう」」」

 紅蓮隊であってる気がする。


 晩飯も食い終わりちょっと日本に帰る。

 日本ではまだ夕方だ。

 眠くなるまでシャンプーとコンディショナーを詰め替えている。あっちで一日動いた後だから多少眠いがシャワーを浴びて目を覚まして限界まで詰め替えたら異世界に戻って寝る。


 朝起きて下に行くと、

「うおっ!」

 みんなが髪を整えてサラサラして輝いていた。

「おはよ」

「「「おはよう」」」

「あ、ああ、おはよう」

 女将に飯をお願いする。

「今日も護衛か?」

「そうだ」

「ウチらに休みをおくれよ」

「あーしらもブラブラしたいのにさ」

「自分がシャンプーとコンディショナーもらえなかったからって拗ねてんのさ」

「ん?護衛対象は女の人か、ならシャンプーとコンディショナーをやるよ」

「「「「ほんとか!」」」」

「あぁ、ついでにコンパクトミラーとコームもやるから機嫌取って休みもらってこいよ」

「ありがとうヒロト」

「ウチらにも休みが」

「あーしものんびりしたい」

「私は買い物だな」

 四人は早速行ってくるらしい。

 俺はのんびり朝食と女将にシャンプーとコンディショナーをあげた代わりにコーヒーを出してくれたのでまったりとしていた。

 すると扉が開いて、

「ヒロト、遊びに行こう!」

「ウチめっちゃ買い物したい」

「あーしも買い物とか久しぶりだな」

「ワクワクする」

 ヤジリは人見知りタイプか?

 それにしてもほんとにあれだけで休みになるとはな。

「はいはい、お嬢様達に付き合いますよっと」


 だが、女の買い物があんなに長いなんて知らなかったし、武器屋にも行くなんてな。

シャルロッテが剣でチャムが短剣と大楯で、クオンが槍、ヤジリが弓だった。

 鑑定で空きがあるのを選んであげてシャルロッテには雷を付与し、チャムの短剣には氷を、クオンの槍には雷を、ヤジリの弓には風を付与してあげた。

「凄いよヒロト!」

「あーしの槍バチバチじゃん」

「ありがとうヒロト」

「ウチのは大楯いいのがなかった」

 ほぼ新品にした武器に思い入れはなかったそうだ。チャムの大楯はいいのがなかった、あったら土属性でもつけてあげれたんだけどな。

 まぁ、こんなに喜んでくれて良かったよ。

 昼はランチをご馳走になった。

 それからまた買い物だから凄い体力だよな。

 でも夜になるとヘトヘトになっていた。

「久しぶりの買い物でテンション上がってしまった」

「ウチヘトヘト」

「あーしもちょっとつかれた」

「右に同じ」

 俺は待ってる時間のほうが多かったからスマホで写真撮ってたしな。

「ありがとねヒロト」

「そだよ、ありがと」

「あーし達に付き合ってつかれたでしょ?」

「悪かったね」

「いーや、楽しかったよ、皆んながはしゃいでたのは初めて見たしね」

「あはは、それでもさ」

 ここは命の軽い世界だからはしゃぐ時は目一杯はしゃぐんだろうな。


 次の日は俺も呼ばれて報奨金などの受け渡しだった。

 全部で大金貨1500枚が支払われるそうで三等分になった。俺が一番貢献したかららしい。とりあえず貰えるものは貰っとくことにする。

 あとは助けた人たちだが、なんとか生きていける額を受け取って今はこの街にいるらしい。まぁ、強く生きてほしいものだ。


 四人は大金貨250枚ずつもらってほくほく顔だ。あとはアジトで見つけた物は俺たちのものらしいので分配することにする。

 俺はまた珍しいものがないか鑑定してみるとアイテムボックス というものがあったのでその魔法玉をもらった。

「ほんとにそれだけでいいの?」

「あー、それだけの価値があるんだよ」

「そうなんだ、あーしにも使えれば良かったのに」

「まぁ。これといって金貨くらいしかいいのなかったしね」

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