第6話 女の子四人組


 女騎士が止まると俺も止まる。

「どうやら見張りがいるようだな」

「俺にやらせろ」

「頼む」

 剣を振るうと見張りの首が飛ぶ、映画を見ている気分だ。

「よし行くぞ」

「おう」

 この頃には感覚が麻痺っていたのだろう。

 扉をぶち抜くとそこは据えた匂いがする。

 女は犯されていて男はダーツの的にされていた!

 怒りが込み上げてくる。

「何やってんだお前ら!」

 俺を見る瞳に恐怖が映る。

 剣を握る、振るう、首が落ちる。

 ただこの動作だけが俺に出来ることだった。盗賊は全員殺して囚われた人をヒールで癒す。

「魔法も使えるのか?」

「あぁ、少しな」

 生首は女騎士のマジックバックに入れて行く。助かった人たちの中には死んでいるのに血だらけになりながら何度も盗賊の胸を刺している人もいた。

 泣きながらだ。


 ようやく落ち着くと何かが落ちたようにフラフラと俺たちの指示に従う。クリーンをかけてあげると綺麗になった。

「生活魔法まで」

 アジトの中を全て見て金品は全て女騎士に渡す。荷馬車が一つあったのでそれに捕まっていた人たちを乗せて女騎士が御者をする。

は俺も後ろの荷台に乗っているが揺れも手伝って出ないのに嗚咽を吐いていた。腹の中は空っぽだ。

 ようやく馬が止まりさっきの場所までやってきた。仲間が一人怪我をしているそうなのでヒールをかけてやる。

「ありがと!」

 抱きつかれたが鎧の上からなので嬉しくもなんともない。

 もうここは片付けてあり死体は山積みにされている。燃やそうとしているのでファイヤーボールで火をつけてやった。

「火魔法まで!」

「あー、俺も次の街まで乗せてくんね?走るのが嫌になった」

「あ、あぁ、いいぞ」

 俺は助けられた人達の荷台に座って外を見ている。

 号令がかけられ出発する。


 次の街に着いたのは夜遅くになってしまったので門は閉まっていて野宿だ。俺にもとよそってくれたがまた吐きそうだからと断った。なにも食べないのが一番ダメだと無理矢理押し付けられたので食べる。


 なんとか食べ切ったがやはり吐いてしまった。人を殺すのがこんなに苦しいなんてな。

 動物を殺すのは大丈夫なのになぁ。

 なんて考えてたら朝になっていた。結局一睡もできなかったみたいだ。

 門を通る時に見せるのは冒険者証で十分だ。女騎士が門兵と話をしている隙に扉を出して家に帰ると歯磨きをしてシャワーを浴びた。少しスッキリして眠った。悪夢で目が覚めたが、コーヒーを飲み落ち着いてからまた戻る。


「旅人殿!」

「ん?俺か?俺はヒロトだ」

「私はシャルロッテ、名前も知らず共闘していたとはな、あはは」

「あはは、そういえばそうだな」

「で、こいつらはゴンゾ大盗賊団で間違い無いらしい」

「なんだそりゃ?」

「知らないのか?有名な盗賊団だ。ボスのゴンゾはヒロトが倒したあの大男だ」

「あぁ、巨人族の」

 あいつは最後なんて言ってたっけ?

「それで懸賞金と報奨金が出るからこの街に滞在して欲しいんだが」

「あぁ、当てもないから別にいつでも良いぞ」

「そうか、それならこっちは私がやっておくから宿が決まったら教えてくれるか?」

「あぁ、ギルドに伝えておくよ」

 と手を振って別れた。

 まず魔法屋に行ってみると、氷魔法と雷魔法があったので買っておくどちらも珍しいらしく大金貨一枚払った。

 そして次は武器屋に行ってみると数打ちの鋼鉄の剣に++と空きが着いてるのを見つけてそれを買う。やはりつけるなら風魔法だなと風魔法を付与する。あとは防具屋に行って良いのがないか見たらところどころに鉄板のような黒い板のつけられている革鎧がありカッコよかったのと++に空きがついてたので調整してもらい買うことにした。

 あとは服屋でノースリーブのフードコートがあったのでそれも買った。

最後に錆猫の居眠り亭というところで宿を取る一応五日分払っておくとたまにはこちらの料理を食べようと下に降りる。

「ヒロト殿?」

「ん?シャルロッテ?」

 ポニーテールでキツめの顔立ちだが愛嬌がある。ラフな格好だな。

「ヒロト殿もここに?」

「あぁ。そう言うお前もな」

「「あははは」」

「よっ!」

「よっ!治してあげた子だろ?」

「覚えてくれてたか!ウチはチャムって言う」

 髪を二つに結んだちみっこだ。

「ヒロトだ」

 握手をする。

「あーしはクオン」

 サイドに流した髪が特徴的だな。

「ヒロトだ」

 クオンとも握手をする。

「私はヤジリ、覚えなくても良い」

 短めの髪で片目は隠しているのか?

「そんなこと言うな、ヒロトだ」

 この四人が外に出ていた四人だろう。

「ついでだ一緒に食おう」

「だね」

「あぁ、ついでに聞きたいこともあったしな」

「なんだ?」

「後でいいさ」

「飯だー!!」

 テーブル席に五人固まって座り、スタミナ定食というのを頼んだ。

「流石に食べれるようになったか?」

「食べないと力が出なくてな」

「まさかあんなに強いのに初めて人を殺したなんてな」

「強さなんてモンスター倒してれば勝手についてくるだろ」

「まぁ、そうだな」

「お前らが護衛してるのは偉いさんか?」

「それは守秘義務でな」

「あーわかった、聞かないよ」

「ありがとう」

「ねえ?なんで魔法が使えるの?」

「金出せば使えるだろう?」

「使えない人の方が多い、金を出してもダメだ」

「へぇ、じゃあ適性があったみたいだな」


「あいよおまちどうさま!!」

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