第3話 メルティ


 俺は魔法屋に来ていた。

「ちわ!」

「あら、またおすすめを買いに来てくれたの?」

「いや、今回は回復魔法が欲しくて」

「回復魔法は高いわよ?」

「いくら?」

「大金貨3枚」

「買った」

 回復魔法を覚えて、メルティの家に行くと寝込んでる母親に回復魔法をかける。

『ヒール』

 するとさっきまで咳き込んでたのにケロッと治ってしまった。

「あ、ありがとうございます」

「いや、これで大丈夫でしょ?」

「はい、ありがとうございます。メルティこの方はどなた?」

 ここまでの経緯を話してまた土下座のような形になったので座ってもらう。

「俺は別に何をして欲しいとかじゃなくて金があったから払っただけだから」

「でも、それではこちらが一方的に助けられた事になってしまいます。私達にできることなら何なりと」

 んー、俺としては別に無理してなくていいんだけどなぁ。

「んじゃ街を案内してよ!来たばかりで良くわからないからさ」

「はい!それなら私にも出来ます」

 メルティはヤル気になっているところに水を刺す来客が、

「おう!さっきはよくもやってくれたな!」

「おぉ、さっきの大男」

「こっちもやられっぱなしじゃかっこつかねえからな!」

「外に出ろ!」

「言われなくても外に出るよ」


 メルティ達をおいて外に出ると大勢の男達が俺を取り囲んでいる。

「魔法を使われてもいいようにこっちも対策してきたぜ」

「魔法?魔法ねー、じゃあ『サイクロン』」

 風が渦を巻いて男たちを吹き飛ばす。

「うぉー!」「いてぇ!」

 剣を片手に首元にチラつかせる。

「まぁ、魔法だけじゃないんだけどね」

「ひ、卑怯だぞ!」

「いや、大人数で囲んできたのはそっちだろ?」

「くっ、くそ!退け」

「いやいや、まともに話し合おうよ」

「な、なんだよ」

「なんで、借用書を燃やしたらダメだったの?」

「そりゃまた金を取り立てるためだろ」

「いやダメだろ?金返したんだから!」

 少し傷つけると、

「ひ、分かった!分かったから!」

「もうこの家に関わるなよ?」

「はいぃ!」

 男はしょんべんを垂らしながら逃げていった。

 『クリーン』

 汚いなぁ、また来なければいいけど。


「また助けていただきありがとうございます」

「いや、あっちが悪いからしょうがないよね?」

 お父さんはいないのかな?俺がキョロキョロしてると、

「あ、父はいません。冒険者だったんですが亡くなってしまって」

「あ、そうなんですか、すいません」

「いいえ、回復魔法までかけて頂いて本当にありがとうございます。このご恩は一生」

「忘れてくださいよ、そうじゃないと俺も助けた甲斐がないじゃないですか」

「あ、ありがとうございます」

「街を案内しますよ、って言っても小さな街ですけどね」

「はいよ」

 美味しいパン屋や武器屋防具屋、商業ギルドと色々と教えてもらった。


「いつもはなにをしているの?」

「裁縫のお仕事が貰えてたんですがそれも無くなってしまって」

 んー、それじゃあ無職か。

「なんかあてはあるの?」

「お母さんが前働いていた職場に帰れればいいんですけど」

「そっかぁ、俺も何か考えとくよ」

「そんな悪いですよ」

「まぁ、考えてもしょうがないこともあるから気楽に行こう。今はお金ないんでしょ?なら金貨一枚渡しとくからお母さんと一緒に生活しなよ」

「ありがとうございます。必ずお返しします」

 泣きながら言うメルティは、うん、良い子だね。


 さてぐるっと一回りしてサラッと教えてもらったけど色々気になるものもあったな。

 メルティとはそこで別れて俺は気になった魔道具屋にいく。

 鑑定して行くと火をつける道具や光を灯す道具など魔法があるのに変なの。

「お客さん魔法使いだね」

「うん。生活魔法はみんな使えないの?」

「魔法なんて高くて買えないよ!」

「あー、そうなんだね」

 ならマッチとかなら売れるかもな。

家に帰ってネットでマッチ200箱を買うことにする。これを売れば良いだろう。


 すぐには届かないし金貨一枚あったら当分は暮らせるんだから心配ないか。


 俺はレベル上げをするために外に出る。

 今の俺ならウォーバッファローなら倒せるからな。

 キラーラビットを倒しながらウォーバッファローのいるところまで行くと向かってくるので首を斬り倒す。

そしてそのままマジックバックに入れるとまたウォーバッファローに向かって行く。


 結局十三匹のウォーバッファローを倒しておっちゃんのところに持って行く。

「うお!またこんな量を持ってくるなよなー!手伝っていけよ」

「はーい」

ウォーバッファローとキラーラビットの解体はだいぶ慣れたのでおっちゃんも安心して任せてくれている。

「できたか?ふむ、最高値で売れるな!よし!」

「よし!」

 それにしてもいっぱい狩ったせいで値崩れが起きた。少し安くなってしまったがしょうがない。

 

 次は何が良い獲物がいないかを探していると受付に呼ばれてEランク昇格だと言われた。

 まぁまだまだだけど今後に期待してだろうな?

 でもやっぱりそれでもランクが上がるのは普通に嬉しい。

 その足で魔法屋に行って他に何かオススメを聞くがあまり売れていないらしくて在庫があるのが付与魔法くらいらしい。 

 じゃあ覚えましょう付与魔法を、俺は付与魔法を金貨10枚で買って覚えると、

「これは自分じゃなくて相手やものに付与する魔法よ」

 そうなんだ。

 ここで気がついてしまった、剣にあった空きはこのためじゃないかと。

 俺は剣に風魔法を付与すると、鑑定してみる。

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ウイングブレード…風属性の魔法のついた鉄の剣。

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 やっぱり当たってた!これでまた強くなった気がする。


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 ヒロト  十八歳  ランクE

 レベル21

 スキル 剣術 解体 鑑定 身体強化 魔力循環 生活魔法 四大魔法(火、風、土、水) 回復魔法 付与魔法

 ユニーク 限界無し

 異世界人

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 面白いなぁ異世界は。

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