第27話 病院の特別に高額な部屋に入院するVIP患者

 ソンジェは、「自分はタイムトラベラーだ」と主張するジュンに、なぜか心惹かれるるものを感じるようになっていた。そしてそれは、ルーカスも同じだった。


「ルーカス、彼は外に出すと危険なのか?」


「いや、ぜんぜん危険ではない。ただ、信じられないほど賢いのに、この世界のルールをまるで理解していないというか、分からないようで、信号を無視して道路を渡ろうとして車にひかれそうになったりする。だから周囲の人間が迷惑を被るんだ。それで家族の意向もあり、病院に閉じ込めている。ただそれだけのことなんだ」


「それでは彼が可哀想だ」


「俺もそう思うんだが、なぜか家族とはいつの間にか連絡が取れなくなってしまったんだ。それで実は困っている」


「入院費の滞納とかで?」


「いや、それはない。閉鎖病棟の、それも特別に高額な部屋に入院しているのだが、その入院費に寄付金までつけていつも送ってくる」


「どこも悪くないので、本当は退院させたいのだが、身元引受人がいない」

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