第26話 悩みをソンジェに打ち明けるルーカス
「ある日、突然、変なことを言うようになったらしい」
と、ルーカスはソンジェに言った。
「両親は有力者で、そのままにしておくことも出来ず、留学したことにして無理矢理あの病院へ入院させたのだが、本人は納得していないから、すぐ脱走しようとする」
「お前が持て余すとは、すごいな」
とソンジェは笑いながら言った。
実際、学生時代のルーカスのあだ名は「無敵のルーカス」で、ルーカスをやり込めるのは至難の技だったのだ。喧嘩も強いし、押しも強い。その上いつも、同じように無敵の存在だったソンジェと一緒にいるので、勝てる者はいなかった。
「すごく理路整然としたことを言うんだ。そして年齢に似合わず驚くほど博学なんだ。そして俺の知らないことまで、詳しく知ってたりする。だから手に負えない」
「それで?」
「お前、タイムトラベルを信じるか? あの患者は、自分をタイムトラベラーだって言うんだ。病院を抜け出すときは、違う時間に移動するから、誰にも気づかれずに外に出れる、って言いやがる」
しかしソンジェはそのタイムトラベルと云う言葉に、何か特別なものを感じた。
もし本当にタイムトラベラーならば、あの絵のことも説明がつくような気がした。
しかしまだ、我々の世界ではタイムトラベルは理論上のものであり、実現はしていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます