第11話 少年ヨハン ③
言語学者ハンナは、結局、ヨハンの言語訓練を引き受けた。
言葉を話そうとしないヨハンに、病院の医師は発達障害と知的障害さえ疑がい、両親にそう告げていた。しかしハンナのもとでヨハンは驚くべき変容を見せた。ヨハンにとって外国語である英語を、ヨハンは短い期間で習得し、半年後には、普通の子供とまったく変わらないレベルの英語を話す少年になっていた。
しかしハンナはヨハンの特別な能力を、そのまま葬り去ったわけでは
なかった。言語訓練をするときハンナはヨハンにサムと云う新しい名前を
与えていたのだ。そしてサムと云う名は、サムエルの愛称で、旧訳聖書にサムエルという予言者の話があることをヨハンに教えた。
その時が来るとはとても思えなかったが、もし封印した能力を取り戻す日が来たならば、少しは役にたつかもしれない・・・、とハンナは考え、訓練期間を終え帰国するヨハンに一冊の本をプレゼントした。それは「旧約聖書」に登場する予言者サムエルに関する本だった。
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