第12話 財閥の末裔ソンジェ ①



 ユン・ソンジェは、その国では財閥と呼ばれる華麗なる一族の出身だった。

 しかしソンジェは、財閥を率いる総裁になることには、まるで興味がなかった。

 一族のしがらみから逃れ、自由に生きることを望んだ。


 それでも一族から援助を受け、外国へ留学し、世界中を旅したことは事実だった。

 だから多少の恩返しは必要だと考え、仕方なくユン財団が運営する美術館の理事を務めていた。しかし子供ころから、ソンジェの心をとらえ離さなかったものは、UFOであり、超常現象だった。


 そしてソンジェは元女優の母から、その美貌を受け継いでいたので、容姿も、俳優並みだった。実際、学生のころは俳優にならないかと、ずいぶん誘われた。

 女の子には、とうぜんモテたし、女の子と付き合ったこともあった。

 しかしデートをしていても、いつもその心は、なぜかときめくことがなかった。

 そして、なぜだろうと思ってはいたが、あまり気にとめなかった。

  



 

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