5. 奥が深い!
本作りにはあまりこだわらないようにしている。
だってこだわり始めたら、キリがないんだもの。
まず紙の種類でしょ、表紙のデザインでしょ。目次のレイアウト、本文の体裁。そもそもどのフォントをどこに使うか。画像や写真を入れるかどうか。細かいところだと、ページ数をどの位置に配置すると見栄えが良いかとか。
一つ一つ真剣に考えていくと、中身を書く時間なんかサッパリ無くなるし、それ以外の時間、例えば仕事中なんかも「目次のあの文章はもっと上に配置した方が……」とかうにゃうにゃ考えて上の空になる。
物を作る事自体は、私は大好きである。ものづくりはわくわくするし楽しい。
しかし本当に真剣になると、細部まできちんとして、正しく百パーセントの出来でないと不安になってしまう。ここが上手く出来てないとだめだ、と何かに追い立てられるような恐怖さえ感じる。しかも、本作りには正解が無いから、いつまでも「正しく素晴らしい本」を求めて悩み続けてしまう。何だか病気みたいだけれどつまり完璧主義なのだろう。
だから見事な装丁の本を完成する事ができている人は、本当に尊敬する。
なお自分の冊子は手抜きのような言い方をここまでしているが、表紙に関してだけは違うと明言しておく。表紙はいつも知人達に依頼しているのだが、とても素敵なものを作ってくださるのだ。なので表紙については全く手抜きで無いし、全力で自信がある。(作ってくださっていつもありがとうございます!)
話を戻す。イベントに出ていると、とても美しい装丁の本をたくさん見かける。紙や製本方法にこだわった手製本だったり、ユニークなアイデア満載のデザインだったり。どの本も、作者が全力で考え、細部までこだわって作った事がわかり、一つの作品として感動する。
中身をちゃんと作って、さらに装丁まで見事に作るエネルギーがあるなんて。超人か。私には時間もエネルギーも脳みそ容量も足らない。
特にフォント選びなんて一番しんどい。ものすごい数あるフォントから、作品の雰囲気にふさわしい一つを自分で決めるなんて、とても不安で恐ろしい行為だと思う。
ただ最近、どんなにしんどくても、フォントが適当なのはいけないと思うようになった。フォントは一番作品の雰囲気に影響する。フォント選びを手抜きする事は、適当にタンスから引っ張り出した服で恋人とデートするような感じだと思う。
この文章のフォントはというと「源ノ明朝 ライト」だ。人に教えてもらって知ったのだが、読みやすいので最近のお気に入りである。(※作者補足:「楽しさと惰性」冊子版では該当のフォントを使用していました)
ちなみに、私はいつもワードで本を編集している。イラレやフォトショップは持っていない。ワードだとシンプルな小説冊子なら十分作れるが、少し欲を出して凝ったデザインにしようと思うと途端に使いにくさや制約を感じ、足かせとなる気がする。写真の加工やイラストを作る際は無料のアズペインター2を使っている。
デザインの素材はピクシブの無料配布を使う事が多い。おしゃれな素材集を購入して使ってみたい欲も最近にょっきり出てきている。
ただ、何度も言うが、私は本作りに時間とエネルギーを取られるのが正直つらい。本作りは最強の時間泥棒だと思う。趣味としてはこれ以上贅沢なものはないか。
本作りに費やす時間を、小説を書く時間にあてたい、というのが本音だ。
さらに言えば、文章は書かないけど本作るの大好き! という人に、本文だけお渡しして作ってもらいたいくらいである。そうしたらそうしたで、こっそり抱いていた期待とは全く違う本になって文句を言いそうで怖いので、自分の小説は責任持って自分で本にしている。
元はと言えば、本作りが奥深すぎて、面白すぎるのが良くないのである。
本作りの楽しさ奥深さを書くつもりが、しんどさを愚痴る章になってしまった。やっぱり切ない。
――※以下、Web公開にあたり追記※―――
創作で使用するツールは少しずつ変わってきています。最近だとポスター作成でCanvaを使ったり、表紙など画像の編集でFireAlpacaを使ったりしています。どちらも無料で使えます。
また無料フォントも色々出ていて、最近だと本文には「源暎こぶり明朝 v6」、ページ数のノンブルには「源暎ノンブル」を使っています。検索すると色々あるので、好みのフォントを探してみると楽しいですよ。楽しすぎて時間が無限に溶けます。
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