31話:攻略完了?そんでゲームプレイヤー?
「⋯⋯はぁっ!!」
俺は咄嗟に上体を起こして周りを見渡す。
死んだように眠っていたところから、突然呼吸の異常で目が覚めた。
「はぁ、特に何もないか」
何かを今感じたんだが⋯⋯気のせいか。
「じゃない──適合がなんたらで意識を失ったはずじゃ」
両腕を見つめる。
掌を見ても異常はない。
裏返して手の甲を見ても何もない。
「⋯⋯?」
頭にハテナが浮かぶ。
適合って一体何だったんだ?
「とにかく、起き上がろう」
どれくらい眠っていたかわからないが、ひとまずさっきの鎧を回収しないと。
立ち上がって背後にある玉座を伝って起き上がり、鎧の所まで行く。
「今度は変なウインドウは出ないよな?」
⋯⋯もうさっきのあれは、懲り懲りだ。
適合だがなんだか知らないが、もう鎧の持ってるアイテムが報酬なのは間違いないだろう。
「さっさとよこ──」
ピロン。
スマホからの音ではない。
覚えがあるのは、よくわからん気絶する前に聞いた音だ。
⋯⋯ドデカイ溜息を吐きながらコテンと頭が下がった。
「はぁぁぁぁ⋯⋯今度は何──」
仕方ない。
そう見上げると俺の目には、一つウインドウが出ていた。
[装備アイテム:☆7白炎獅子の冠]
呪い耐性25%
装備時:体力+26・筋力+29
その他
・ある時代、ある場所での未知の文明で使われていた遺産。
白夜の騎士オルビスが使用されていたとされる兜。
「⋯⋯ん?」
思わず袖で目を擦った。
おかしいな。なんかゲームのやり過ぎで変な詳細画面が見えるな。
何度も目を擦る。
しかし全くその画面は消えない。
「⋯⋯まじ?」
なんか鑑定じみた能力が発揮されている気がするんだが⋯⋯気のせいだろうか?
[インベントリに入れますか?]
⋯⋯インベントリ? ん!?
「おいおい、なんの話だ? この期に及んで⋯⋯アイテムボックスまで手に入れただなんて言わないよな?」
黄金さんで死ぬほど驚いたのに、アイテムボックスまで手に入れてしまったら⋯⋯もうどうすればいいのやら。
「駄目だ。もし神がいるのなら問いたい。世界を救ってほしいんか?」
マージでSNSで呟きたい。
「ひゃっほーい!手に入れたぜ」って自撮りしながら上げたい。
⋯⋯絶対にやらないけど。
「確かアイテムボックスってレアスキル中のレアスキルじゃなかったか?」
前調べた時、主なレアスキルの中にアイテムボックスの名前もあった気がする。
⋯⋯あと鑑定もな。
「はぁぁぁぁ⋯⋯ふざけんなよ。爆弾抱え過ぎてオーバーヒートするっての」
とりあえず俺ははいを選択してインベントリの中に全ての物を入れる。
入れた中のアイテム⋯⋯いや、防具は全部で4つ。
[白炎獅子の冠]
[獅子焔鎧]
[白焔獅子の篭手]
[獅子白炎の脛当]
そして武器。
[☆7・獅子白炎剣]
使用レベル15〜
装備時:筋力+43
特性:浄化の白炎
・触れても熱くない。呪いや瘴気、様々なモノを祓う事ができる騎士オルビスが使用したとされる遺産の武器。
入手難易度A
「⋯⋯待って待って、待ってください」
なになになに?
どうすんのこれ? もうどうしようもないでしょ⋯⋯これ。
⋯⋯貰いすぎるとなんか嫌すぎる。
俺大したことない元大学生ぞ? 一体何がしたいんや。
「ていうかインベントリって枠というか、ゲーム通りなら色々なパターンは考えられるけど⋯⋯」
ゲームならインベントリの枠に制限はなかったはずだ。
「インベントリってどうやって見るんだろう?」
そう言うと、インベントリのウインドウが現れた。
なんだよ、俺の言葉わかってるじゃん。
「どれどれ⋯⋯ほ〜ん⋯⋯なるほど」
うん、今の所インベントリの枠は20個。
制限は特にないようだ。
⋯⋯だいぶ、いや十分過ぎるんだが。
と、この辺でインベントリ関係の喜びは抑えておいてっと。
「他にはないよな」
見渡す限り、この騎士以外のそれらしいものはなく、残るは玉座となった。
「あの反応から見るに、おそらく間違いないだろう」
クエスト的なのでいくと、玉座に座って護衛の騎士に王としての器を見せてくださいとかそんなところだろう。
「よし! そうと決まれば、金をちゃっちゃと生成して玉座に座るか!」
一回限りの大生産!
バーゲンセールではありません!
一つ一つがしっかりとした価値を持ち、とてつもない破壊的な力を見せてくれるのです!(早口)
そして、生成が終わった俺は、玉座に座る。
ゴゴゴ⋯⋯。
「⋯⋯ん? やっぱり成功か?」
震度5くらいの揺れが神殿内で発生し、攻略が完了したのだと安堵する。
「よし、あとは流れに身を任せて⋯⋯戻りますか!」
まさか、この直後──喜びなどとても言えない状況に俺は遭遇することになった。
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