3話:冒険者登録
次の日。
まっザッと説明すると、ワンルームに住んでいる。
部屋の中は⋯⋯あんまり突っ込まないでくれ。
──だいぶ汚い。
散らかった洗濯物があるわ、シンクには2,3日洗っていない皿の残骸、ホコリが地面を舞うレベルだ。
まぁわかるだろ? 終わってるわけだ。
俺は起きてキッチンにいき、インスタントのラーメンの袋破って投入。その間に顔を洗って口をゆすぐ。
「あぁー疲れた」
俺の口癖だ。起床時にボッチでやることのない大学生が言うことだから覚えておくように。
現在の時刻は9時半と健全だ。
今日は有り難い事に大学は休み。昨日の事を思い出し、出たくない言い訳をいくつか思いつくが、流石にそうも言ってられない。
「行くかー」
俺はそのまま朝食を寂しく口にして着替える準備を整え、俺は近くにあるであろうギルドへ向かう。
「眩しい⋯⋯」
たまたま昨日は残業でゲームにログインはしなかったが、俺は夜型人間。早く用事を終わらせて家で
まぁ最近のゲームはありがたいことに、スマホでログイン状況やギルドチャット、ゲーム内ショップの確認や様々な項目が見れたりする。
俺はギルドの中央八王子支部へ行く為電車に乗って、その間暇を潰す為にスマホで簡易版のGROアプリを開いて最新情報をチェックしている。
アプデは水曜だったよな?
今日は火曜だから明日は早めにINして色々終わらせとかないと。
そうそう、一応事前に昨日調べたんだが、ギルドは既に全国的に多数設置されていて、案外俺の住んでいる場所から30分ほどで着くらしい。
家から出ないとこんな事も調べないとわからないような引きこもり人間だ。悲しい。
それから駅から出ると、すぐ近くにビックカ〇ラのような存在感を現す建物が俺の目に映ってくる。
「おぉ、あれか」
デカイなー。現代に並んでいる建築物の中にファンタジー要素を並べたような印象を受ける。
よくよく見れば、通行人を眺めると鎧をわざとかというほど強調させながらギルドへ向かう奴や、承認欲求の塊のような女性が目の前を通り過ぎたりもした。
俺って本当に外に出ていなかったんだな⋯⋯としみじみ思い、重たい足取りでギルドへ向かった。
「おぉ⋯⋯」
またも中の光景に感動を覚える。
昔見たアニメに似ているような風景がダーッと広がっていく。
ファンタジー溢れる装備を着用する人間。
なにやら見たことないような変な果実みたいなのを抱えて受付へと向かう人間。
様々な人間がいたが、俺はその中でもかなり端っこの受付の看板に注目してそこへと足を進めた。
"初心者の皆様はこちらへ"
そんな言葉がある看板にある受付に着くと、4人程の人間が並んでいた為、俺はその後ろで並んで自分の番を待つ。
「それではお次の方〜」
自分の番が回ってきた。
「あっ、よろしくお願いします」
「はーいよろしくお願いします。今回が初めてということでよろしかったでしょうか?」
「はい」
「それでは流れをご説明します」
俺と受付の方の会話は割愛するが、主な流れはこうだ。
・ダンジョン内で得たアイテムは持ち帰る物も含め、絶対に一度ギルドへ提出しなければならない。
・交付されるステータスカードとは別に、個人番号のある冒険者ライセンスを提出することで全国各地にあるダンジョンへと入場する事ができる。
・ライセンスを得る為には講習を受けなければならず、講習はその場で10万円支払った後、プラスで10万来月引き落としという形で行われる。
・その他にも規定があり、万が一注意を数回無視すれば罰則が与えられる。
他にも細かいルールがあったが、おおよそこんな感じだ。
⋯⋯要はしっかりと活動するには金がいる。
まぁ適当にスキルを手に入れづらくする為だろうが、中々取るな。
幸い、俺は金を貯めていた事もあり、滞りなく支払える。
「すみません、カードで支払いは可能ですか?いま現金は持ってなくて」
「口座直結引き落としのモノなら問題ないかと思われます」
良かった。
俺はその場でカードを渡し、問題なく支払いを終える。
その後、問題なく講習を受けて、俺はいよいよ本番ともなるステータスカードの発行場所へと案内される。
「緊張しますか?」
「バレました?」
「皆さん意外に発行する前は凄い緊張しているので。まぁ私も分かりますけどね」
発行するには簡素な部屋だが、受付の方がニコリと笑いながらそう話す。
俺もその話を聞きながら緊張をほぐし、目の前にあるカードリーダーみたいな機械の前に立つ。
「なんか、ゲーセンのバンク登録みたいです」
「あー、ちょっとわかります、指の認証みたいなやつですよね?」
「そうですそうです」
他愛もない話をしながら住所や必要事項を記入し、いよいよ手を翳した。
「そのまま数秒お待ちください」
緊張して思わず手汗をかいた。
これでいいスキルが出れば⋯⋯俺は就職しなくても良いかもしれない。
程良い生活が──
「こちらがまず冒険者ライセンスになります。こちらがないとステータスカードを提出してもダンジョンに入る事は不可能なのでご注意して下さい」
俺は超分厚い冒険者ライセンスを受け取り、失くさないようにすぐにリュックにしまう。
「そして、
そうして渡されたのは1枚の重厚なカード。
俺は裏返したりしてステータスカードを眺めた。
クレジットカードみたいだけど、なんか全然違う。
ゲームで言うなら素材そのものが異質な見た目をしている感じといえばいいかな?
とにかく異世界と言うんだからそうなんだろう。
「ありがとうございます」
「講習で受けた情報を活かして、これから頑張ってください」
俺はその場で頭を軽く下げてその後の説明を受けてギルドを出た。
そのまま俺は無言のまま家へ到着し、玄関で仁王立ちで⋯⋯鞄を脱力感満載でドサッと音がするくらい上から無意識に落としていた。
俺が手にしていたのはステータスカード。
俺は思わずここに書かれてあることに信じられず、今でも瞳がバッキバッキだ。
「マジで?」
俺はそう呟き、夜ご飯のインスタントラーメンを作り始めた。
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