順位は如何に
「さぁ、行くぞ!」
「「「「「おー!」」」」」
カラオケに行ったため未だ喉がガラガラだが今だけは気合を入れなければならない。今日は結果発表の日だからな!え?気合を入れても順位は上がらない?細かいことは良いんだよ。
「おー流石に人が多いな」
「僕たちは集まってからきたからね」
「う、人が、多い」
「杏華さん、大丈夫ですの?ほら手を握ってください」
場所は昇降口、見るは壁、そしてそこに押し寄せる人の群れ。なんか、コミケを思い出す。壁サーに押し寄せる人見たいなね。あと、壁サー見てる人が重戦車みたいに突撃してくる感じね。ちゃんと前を見なさい。
「お、張り出されてる張り出されてる」
「ちょ、さいだっちまだ見ないでよ?」
「見えて、きた」
「うぅ、ドキドキしますわ」
「セントレアでも緊張するのね」
「しますわ、百合さんこそ緊張しないんですの?」
「私はいつも通りやっただけ?ね、彩雫くん!」
「いや、前の八重さん知らないよ?」
「もー彩雫くん」
「ほらほら、いちゃいちゃしてないで結果見るよ。1位からでいいよね?」
そうだな。1位から10位は特別枠で一段と名前がでかく書かれているし見やすい。
「おっけー、せーので行くかんね?せーの」
1位 1165点 八重 百合
2位 1156点 一条・セントレア・シアヌス
3位 1114点 甲斐町 江良
4位 1080点 杭住 央
5位 1075点 高宮 鳳花
6位 1072点 臼井 影
7位 1070点 保絵夢 佳子
8位 1066点 下杉 達也
9位 1066点下杉 和也
10位 1065点 田中 太郎
お、おお!
「ふふっ、私が1位!彩雫くん、褒めて!」
「やるじゃん、八重さん」
「そ、そんな、わたくしが負けるなんて……」
「でも、惜しかった」
全12科目で9点差、めちゃくちゃいい勝負だ。
「悔しいですわ!次、次こそは負けないですわ!」
「彩雫くんのためにも私は負けない!」
いいライバル関係だな。
「で、なんで俺のためなんだ?」
……
覚えてないのね?そういうこともあるよな。
「そういえば、彩雫くんのためにも勝たないとって思ってたけど……どうして勝負をしてたんだろう?」
「おーっほっほ、そんなことどうでもいいのですわ!それにしてもいい気持ちですわ!負けるのって気持ちいいですわね」
「え、М、なの?」
「ち、違いますわ!わたくし、l真剣に勝負をして、負けるのが久しぶりでしたので」
「でも、ゲームじゃ俺らに負けてるけどな」
「リアルで負けることはなかったのですわ!全力でぶつかって負ける。自分の上にはさらに誰かがいるという感覚……正直興奮しますわ」
「やっぱり、М?」
まぁ言いたいことは分からんでもないけどな。え?ゲーマーなんて負け続けの人生でしょ?って?うっせぇわ。
「やー、ゆりっち優秀だからなー、流石うちのゆりっち」
「わたし鳳花の物じゃないんだけど?彩雫くんの何ですけど」
「いや、別に俺の物でもないけどな」
「というか、鳳花ちゃんも、5位、すごい」
「それな、俺らとか10位以内どうあがいても入れないのに凄いな」
「ん、私達に教えてたのに凄い」
「いやーちょっと張り切っちゃったかなー。わんちゃんうちも勝てないかなーとか思ってたけど無理だったし?」
「おーっほっほ、次は鳳花さんも勝負しますの!」
俺らはそこに参加できそうにないな。レベルが高すぎるぜ
「そうですわ、杏華さんと彩雫さんは何位ですの?」
「えっと、俺は……え?19位?」
「彩雫くん凄い!」
まじか、今まででも最高40位くらいだったしだいぶ上がった。
「いやぁ八重さんのおかげだよ。むしろ学年1位に勉強教えてもらったのに10位入らなかったの悔しいな」
「じゃあ、次はもっと頑張りましょ!」
「いや、それは遠慮しとく」
「むー」
「むっ」
「いや、楓はなんでむくれてるんだよ」
「だって前に僕が教えたときより順位がいい」
「いや、お前に教わっても別にモチベ上がらんし、正直今回だいぶ鬼畜だったし」
もしもだが、楓に同じ宿題出されてたらついていけなかった気がする。八重さんそこらへんが上手いんだよな。ぎりぎりこなせるラインを見極めたり俺のやる気を出させるのが。あと、これは言えないけど楓は俺のこと理解しすぎて、俺に合わせちゃうから出来ないことは出来ないで置いといちゃうんだよな。
「椎名さんはどうだ?」
「ん、あった、146位」
「お、赤点回避じゃない?」
「しいなっちよかったねー、でもまだまだだよ?とりま100位目指したいし?」
「う、うん、頑張る」
椎名さん頑張れ、高宮さんのあの目は本気の目だ。逃げられないぞ?
「おーっほっほ、安心するがいいですわ!次のテストはわたくしも勉強会に参加しますし、より点数が伸びること間違いなしですわ!」
椎名さん、終わったな。頑張れよ。
「あら?そんな目をしてどうしたのですわ?彩雫さんも安心してくださってもいいんですわよ?」
俺、終わったな。未来の俺頑張れよ。
「でも、杏華赤点無くて良かった」
「んねー赤点取って補習とか、まじ萎えっしね」
「あら?この学校補習あるんですの?」
「一応進学校だしな、放課後にね?」
「そうなんですのね、ですが、安心しましたわ。補習があるとあっては放課後にカラオケ行ったり、友達の家に行ったり、ショッピングしたり、ゲームセンター行ったり、クレープ食べたり、ファストフード食べながらお話したりと青春を送れなくなるところでしたわ」
やりたい事多いな。でも、いいじゃん、そういう日常ってのは楽しんでるやつが周りにいると自分も楽しいもんだ。でもなぁ……
「あーせれあっち?今日に加えて、明日明後日のテスト返しでもう夏休みになるし?それ全部やるのは無理かなってかんじ?」
「ガーン、ですわ……こちらの学校は夏休みに入るのが速いんですのね」
「学校によって結構差があるからな。テスト終わっても授業やる学校もあるし、言ってない先生が悪い」
「そうやってすぐ先生のせいにして、そろそろ朝のHR始めるわよ?」
あ、先生。
「でも、先生だからな」
「もー何ですか?先生だって頑張ってるんですからね?考えても見て三矢くん、ある日いきなり誰もが知ってるようなご令嬢の先生になることを、上からの圧力を……」
「あーご苦労様です」
「なんか、申し訳ないですわ」
「気を使わせちゃったわね。いいのよ?それが先生の仕事だしやりがいもあるから。それに……そのおかげでボーナスもウハウハでとてもありがたいし」
それは言っちゃあ駄目な奴じゃないか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます