押しかけ美少女～オタク気質男子高校生の日常生活～

ありふれた男子高校生の日常

※低度な下ネタ注意報

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「明日から夏休みになります、皆さんは予定とか立てましたか？」

「北海道旅行行ってきまーす」

「いいわね、旅行。他にも楽しいことはいろいろとあると思うけど、勉強しろとは言わないですが、ある程度勉強もしてくださいね？もちろん、宿題はしっかりと思わせること！あと何よりも男女交際には気を付けてください！特に女性の方は犯罪に巻き込まれることも多いので十分に気を付けてくださいね？」

「先生の方が気を付けたほうがよくね？」

「それな」

「ほいほいついていきそうだし？」

「もー！先生はそんなにちょろくありません！確かに悪い男ばかり寄ってくるけど……うふふ」

「せんせー続きをお願いいたしますね？クイッ」

「とにかく、とにかく清廉な交際関係を持つこと。もしも言いつけを破ったら私大泣きしますからね？」

　先生、その脅しはどうなんだ。

　俺らの学校は今日から夏休みに入る。高校2年生の、人生の楽しみでもピークとなるだろう夏休みだ。なので、羽目を外しすぎないように先生のありがたいお話があるのは確定してたこと、と。にしては内容に先生の個人的思念がこもりすぎてる気がするけど。

「それでは夏休み存分に楽しんでください！」

　ふぅ、終わったか。

「彩雫、先生の言いつけしっかりと守ってよ？」

「なんで？そりゃ守るけど何をいまさら？」

「なんでって八重さんオールオッケーって感じでしょ？それにあの美人度合いだからもしかしたら彩雫が理性保てなくなるかもしれないでしょ？」

「そんなことないって」

「なんの話ししてるの？」

「お、おう、八重さん早いな」

「で、なんの話ししてたの？」

「いや、それはなあ？」

「彩雫にちょーっとね説教してたんだ」

「ふーん？」

「ゆりっちー察してあげなよ。男子がする秘密の会話ってさ？ほらあれだよあれ、えっちな話」

「ちゃ、ちゃうわ！」

　いや、違くもないけど。

「三矢くん、その話」

　椎名さんし、信じてくれ……まさか、実は聞いてたとか？椎名さん影薄いからっ！

「その話、するなら、私も、混ぜて」

　そっちかーい。

　〜〜〜〜〜

「やっぱり、胸は、大きい方が、いい」

「そうですわね、ですがはしたなくない程度の方がいいですわ」

「むぅ、はしたない胸してるくせに、彩雫くんは？」

「俺？俺はどっちも好きだけど気にしててちょっと恥じらうのとかがいいよね」

「さいだっちはシチュ萌えかー。わかるー、頑張ってるのとかまじあついしょ！」

　いや、どうしてこんな話を俺ん家でやってんだよ。声が漏れてご近所さんに聞かれたらどうするんだ？夏休みに入った途端にこれだ……楽しいからいいけど。

「かえでっちはー？」

「僕？！僕は好きなのとかはないけど、まだ小さい方が安心できるかな」

　過去に巨乳に溺れたトラウマだな。色慾に身を任せるからそうなる。

「でも、やっぱり、身長低くて、巨乳とか、属性の組み合わせ、大切」

「組み合わせ……華道みたいなものね？」

「それはさすがに違うんじゃなーい？」

　いやまてよ？

「華道は一つ一つで見たらありふれた花だけどそれらが、色、形、大きさと様々な要因と絡まってより高度なものになる、つまり属性と同じと」

「深いですわ……」

「よくわからないけど、彩雫くんはどういうのが好き？」

「そりゃあもちろん、いや、言わないよ？」

「それじゃあ、私を属性にしたらどうなる？」

「うーん。とりあえず、見た目からして清楚、優等生は入るしギャップも入るか。後は色白と黒髪ロング」

「あと、ヤンデレも」

　言わないけどひんぬうとかな？

「彩雫くんは好きなの？」

「好きだけどさ。嫌いな男もいないと思うけどな？」

「えーそうなの？月城くん？」

「え？また僕？好きじゃないけど？」

「ふーん？じゃーギャルはー？」

「嫌いかな？」

「うん、知ってたし」

「それならお嬢様はどうです？」

「好きじゃないかな？」

「じゃあ、幼女は？」

「普通だけど」

「え、ロリコン？」

「なんでよ」

「だってなぁ？今の所一番好きそうなの幼女だけど？」

「えーかえでっちそっちの趣味だったんだー、どうりでうちら美少女になびかないわけっしょ」

「そういうとこがまだ幼女の方がいいってとこ自覚して？」

「それじゃあやっぱ俺は？」

「好きだよ」

「ふっ、勝ったな」

「ま、まさか、そっちの趣味だったとは、いい。なんか、目覚めそう」

「ひゅー、さいだっち、かえでっちお幸せに！あ、結婚式絶対行くかんね」

「ねえ、月城楓くん？……怪しいとは前から思ってたけど！本当にとられるとは！この泥棒ネコ！」

「別に僕だって男趣味じゃないんだけど。あ、椎名さん鼻血。結婚式なんてしないし、しても呼ばないし。ちょ、八重さん？！その怖いオーラ消して？！黒髪でそれやられると本当に怖いから！」

　うーん、火つけたのは俺だけど何だこのカオス。これが日本の縮図か……ネット上で日夜交わされる萌え属性談義。様々な属性が生まれては消え生まれては消え、そうしていく中で淘汰され、もしくは進化、変化して生き残っていく。その姿はまさに蟲毒。その末生まれた今の日本人の性癖はまさにカオス。

「業が深いな……」

「そう、ですわね……」

「それで、彩雫くんはどういう属性が好きなの？」

「そりゃあもちろん……いや、言わないよ？」

「むー、何でよ」

「普通に考えていやだろ」

「前に、「メイドいいよな」って、言ってた」

「そういえば、言ってましたわね」

「おい！」

「そうなんだ……ご主人様？」

　下から覗き込むようにこちらをご主人さまという美少女。確かにいいけどさぁ！

「同級生にやられる、しかも自分の家でやられるのは違うじゃん」

「そうですの？わたくしは大丈夫ですわ」

「そりゃあ、セントレアは正真正銘お嬢様で仕えられる身だからいいけどさ、俺なんかそんな身分じゃないし、これで八重さんが所かまわず今みたいなことやられたら俺社会的に死ぬからね？」

「さ、流石の私も学校じゃ恥ずかしいからやらないかも」

「かもじゃん、やるじゃん」

「おーっほっほ、大丈夫ですわ。例え警察沙汰になってもわたくしがどうにかしますわ。社会的には大丈夫ですわ！存分にやっていいですわよ？」

「いや、ダメだろ。本当に大丈夫そうなのがなおさらダメだろ」

「でも、百合ちゃんの、メイド姿、見てみたい」

「めっちゃいーじゃん」

　……確かに見てみたいな。俺は黒髪清楚メイドが好きなんだ。メイド喫茶の萌え萌えきゅん見たいなやつとかも悪くは無いけどあれはメイドコスであって本物のメイドでは無い。あとは金髪とか、ツインテとか色々付加属性があるけど俺は断然黒髪だな。落ち着いた色のメイド服に落ち着いた髪色が似合うんだ。

「……メイド服、侍らせ、おねしょた、う、頭が」

　あ、楓がなんかトラウマ発症してるわ。かわいそうに。ドンマイ！

「というか、男の好みはどうなの？」

「えー？何ー？さいだっち気になっちゃうー？」

「俺の趣味だけバレてるの理不尽だろ？」

　死なばもろとも精神。

「で？どうなんだ？まぁ、一人だけわかりやすい人いるけど」

「そうですわね」

「そうね」

「んねー」

「え、わた、し？」

　そりゃあね？ネナべしてるくらいだしね？SNSのアイコンアプリコットだしね？

「ち、ちが……くない、けど。うぅ」

　わかるよ、自分から言う分には恥ずかしくないけどいわれると恥ずかしいんだよな。さっき身を持って体験したからな、俺もわかるよ。

「でも、ですわ。百合さんもわかりやすいですわ」

「いやーゆりっちの場合は特殊だしー？」

「わたしは……彩雫くんがタイプかな？」

「ひゅー、ゆりっち言うねー」

「……」

　どういう反応を取ればいいんだろう、誰か答えを教えてください。

「うちは好きなタイプとかーないし？好きな人とかもいないからまじゆりっち羨ましいんですけど」

「そうですわね、わたくしも特にないですし、特定の方もいらっしゃらないので、少し楽しそうですわ」

「一条家ならお見合いとかありそうだけど、そこらへんって大丈夫なの？色々と」

　聞いていいのかわからないし、あったとしたらそれを言っていいのか、両親が決めるなら本人の意思は？とか色々ね。

「お見合いの話は多くあるようですわね」

「じゃあ……」

「ですが、わたくしの意思を尊重してくださっているので、無理なお見合い等はありませんわ」

「じゃあーそのお見合い相手でいい人とかいないん？ほら？上流階級って顔とかいい人多そうだし？」

「ないですわね、確かに顔は整ってる方は多いですが、そこに魅力を感じませんので」

「だよねー」

　しっかりといわないけど性格も癖がある人が多いんだろうな。

「でもしっかりと見合いは受けてるのか」

　受けなくても問題ないだろうに。

「受けてますわよ。もしかしたら婚約とまではいかずとも友達になる可能性があるかもですわ」

「でもなかったと」

「ですわ。ですので、わたくし皆さんに出会えてよかったですわ！」

　そうだな、俺たちは今こうしてここに集まり話をしている。それはとても幸運なことで奇跡的なことなんだろう。……人はそれを運命と呼ぶ。