柳の下にどじょうは沢山いる
「ぶえっくしょん!あーきっつ」
くそ、やらかしたな。俺としたことが風邪を引いてしまった。日頃運動してないオタクがいきなり激しい運動したら体調崩すわなそりゃあ。
「でも、風邪を引いたってことは俺はバカじゃないってことだな」
レッツボジティブシンキング
はぁ、とりあえず高校に連絡入れないと。
にしても風邪ひくの久しぶりだな。レンチンできるのなんかあったかなぁ……カップラーメンしかないや。
ラーメンは食う気にならんな……よし、寝るか。その前に、冷えピタあるかなー、あったあった。薬も飲まないとか。あーでもそのためにはなんか腹に入れたほうがいいよな……食パン食べるか。
「うん、美味い。やっぱ、無難にマーガリンだな」
でも、一枚はいらないな。半分でいいか。さて、ごっそうさま。動いてたらだいぶきつくなってきた。これ一人暮らしの悪い所ね?あと、つまらないしなんか無性に寂しくなる。んじゃ薬飲んで寝よう。おやすみなさい。
Z
ZZ
ZZZ
『テーレテーレテッテッテー』
「ふぁー、ん?」
結構寝たな。……今何時だ?おう、6時か丸1日寝てたな。
「水、水」
なんかいいにおいがするような……
「あ、彩雫くんおはよう!体調はどう?」
「結構よくなったか……っとっと」
「ほら彩雫くん座って。まだ立ってるのはきついでしょう?」
「ありがとう……」
うん、だいぶ良くなったな。立ってるのはちょっときついけど座ってれば体調不良を感じない。
……じゃなくて!びっくりした。いきなりすぎて目が覚めたわ。え?なんで俺は八重さんに支えられて今椅子に座ったの?八重さんいるじゃん。
「八重さんなんで?」
「お見舞いに来たに決まってるでしょ?」
「ありがたいけどさ……取り敢えず水飲むわ」
ごくごくごく、ふぅ、美味い。あ、トイレも行ってこよう。
「いや、この状況何?」
「彩雫くんのお見舞いに……あ、勝手に片付けしちゃってごめんね?散らかってたから、迷惑だった?」
「それは全然気にすることはない、よ?気にすることないけどさ……それよりもなんでうち知ってるの?」
「今日彩雫くんがどうしたのか、クラス担任の伊木先生に聞きに行ったら「むふふ、そうね。楓くんに頼もうと思ってたけど八重さんの方がいいわよね」って鍵と住所を」
「あの恋愛脳何やってんの?!先生だよね?もうちょっと生徒のプライバシー大事にしようよ……まぁ、うん。それなら納得したよ」
「先生に鍵を預けてるんですね」
「高校生の1人暮らしはいろいろ問題があるみたいでね。なんか起こった際のためにも鍵を預けてんだ」
なんかあったときに学校の責任になったりしたら困るだろうからな。公立学校だとそもそも一人暮らし禁止されてることがほとんどみたいだし、大家が責任取りたくないから家が借りられないこともあるみたいだな。俺の場合は父の知り合いが大家だから大丈夫だけど。
「彩雫くんお腹減ってない?」
「減った。昼飯食べてないからな」
「じゃーん!はい、お粥!」
お、おお!うまそう。なんかいろいろ入ってる。
「めっちゃありがたいわ。昼飯食べてないからめっちゃ腹減ってたんだけど病気の時にカップラーメンはさすがに食べる気にならなくて」
「もう!日頃からしっかりしてないからそうなるんだから!部屋も散らかってたし、冷蔵庫の中は何もないし!」
男の一人暮らしなんてそんなもんだろ。と思ったけど火に油素足だけだしやめておこう。
「説教はあとでにして、はい、召し上がれ」
「ん、いただきます」
「おぉ、うまい!おかゆなのになんかいろんな味がする」
なんだ……シナモンの味とショウガの味わかるけどそれ以外にも色々入ってる。
「彩雫くん味が濃いほうがいいかなって思って薬膳風にショウガ、八角、シナモン、花椒、クコの実、松の実を使ってみたんだけど、どうだった?」
「めっちゃうまい。でもそんな材料なかったでしょ?」
「うん、無かったから一度家によって持ってきちゃった」
「そこまでしてもらってすまん、金払うよ、いくらぐらい?」
「ううん、私がしたくてしたことだし……それにここに今日使ったのおいておくから必要ならしっかりと使ってね?」
「いや、ショウガとかはともかく八角とか使いこなせねぇって」
俺だからじゃなくて主婦でも使えない人いるだろ。何に使うの?中華料理の何かくらいにしかわからん。
「もう、しょうがないんだから」
「しょうがだけにな」
「むぅ」
あ、照れてる。
「ごっそうさまでした、ふー毎日食いたいくらい美味かった。いろいろやってもらったし、片付けとかは俺やるからさ、もう夜遅いし早く帰ったほうがいんじゃない?」
マジでうまかったわ。病気で舌が鈍ってる時じゃなくて平常時に食べたいお粥だったな。
「彩雫くんごめんなさい!」
ん?いきなりなんだ?
「昨日ちょっと調子悪いかな?って気が付いていたんだけど彩雫くん楽しそうだったし、一緒にいたいから言えなくて……」
あぁ、そういう。八重さんは気が付いてたのに送られたのを気にしてるんだろう。そんなの気にしなくていいのに。てか、俺自身熱あるの気が付いてなかったよ?とはいえ改めて考えると焼肉食ってて寒かったし、熱も昨日のうちにあっただろうからまぁ異常はあったよね。
「自己管理できていない俺が悪いし、八重さんはわざわざうちまで来てくれたんだから。病気の時は気が滅入るだろ?ちょっと寂しかったからマジ助かったよ。だから気にすんなって。むしろ、風邪ひいたおかげでこんなうまいお粥食べれたしな。ほら、これ以上遅くならないうちに帰りな?今日は送ってやれないから、俺ももうひと眠りするし」
「ありがとう……じゃあ帰る!何かあったら電話してね?すぐ駆けつけるから」
「八重さんは俺のお母さんですか?いや、俺のお母さんよりお母さんらしいから違うか?」
「うふふ、何それ。じゃあね」
帰ったか。やっぱり一人になるとさっきまでの騒がしさが恋しくなる。ついでに部屋が綺麗でなんかいい匂いもするし落ち着かない。
「駄目だ、色々考えちゃう」
こういう時は寝るのに限る。というわけで少し時間は早いけど
「おやすみなさい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます