いつも通りみんなでご飯

「彩雫くんは球技祭何に出るの?」


「サッカー。楓もサッカーで、椎名さんはドッジボール。八重さんは?」


「私はバスケットボール、彩雫くんのために頑張るから見に来てね?」


「いや、頑張られても。うちのクラス負けちゃうじゃん」


「さいだっち、そこは応援してあげなきゃだめっしょ?」


「まぁ、応援はするけどさ?」


「ちな、うちもバスケなんでー、さいだっちが応援しなくてもマジ余裕的な?まじ負ける気しないっしょ」


「ていうかさ、誰?」


「ガーン、ちょ、さいだっちまじかぁ。うちのこと知らないとか遅れてんねぇ、うちは高宮鳳花、ほうかちゃんでおっけね?よろしくー」


「あーよろしく?」


 めっちゃギャルじゃん。名前聞いてようやくピンと来たけど八重さんと同じクラスでめっちゃモテてるギャルか。なるほど、だから椎名さんさっきからしゃべってないのか。流石にまだギャルと話すにはレベルが足りていない。経験値頑張って稼いで。応援するから。


「彩雫は相変わらずで安心するよ」


 というか、楓ちょっと耳かして


「こういうギャルってお前が一番苦手なタイプじゃん、大丈夫なの?」


 めっちゃ巨乳だしね?お前巨乳嫌いじゃん。


「まぁ、好きではないけど、一回話したこともあるしね。大丈夫」


「それならいいんだけどさ」


「てか、そっちの子はー?初めてだよねーなんていうの?」


「あ、えと、その……」


「ちょっと鳳花?椎名さん困ってるじゃない。椎名さん大丈夫よ、鳳花はギャルだけど空気読めないわけじゃないから」


 いや、気が付いたら一緒に飯たべてたけどね?空気読める人がすることじゃないから。あと、あなたも人のこと言えないけどね?椎名さんと裁判で思いっきりバトってたよね?


「い、いえ、違くて、その緊張、しちゃって。かわいいから」


「ちょ、しぃしぃまじかわなんだけど!?」


「あ、しぃしぃは、よくない」


 2時3時は敵に回せないしな。


「あーそう?んじゃあー、しいなっち!」


「一瞬、オタク特有のきもい笑みしてたように僕には見えたけどね?」


 触れてやるな、オタクの特性なんだ。リアルギャルと会ったら意外とオタクはテンションが上がるもんなんだよ。もちろん話せないけどな!気をつけろよ?ギャルは性格いいけどそれは面白い相手前提だから。トーク術が無いオタクはそのあと無視されるかいじられるかだ。でも、オタクはそのシチュエーションも楽しめる。うん、きもい。


「それで?どうして鳳花がいるのよ?」


「えーだってぇ、楽しそうだったしー?てか、うちの前以外でも普通に話してるとかマジじぇらしーなんで、様子見に来るっしょ」


「ふーん、やっぱり仲良かったんだ」


「ん?どゆこと?」


「私、八重さんと、高宮さんが、話してるとこ、見たことない」


「学校じゃ隠してたってことだね」


「まーねー、美少女2人が横に並ぶと目立ちすぎちゃうっしょ?」


 それはあるかもしれない。何てったって八重さんへの反応であれだ。加えて高宮さんまで居たらもっとめんどくさいことになる。


「ふぅん?」


「ちょ、なんだし」


 楓があの視線を向けるときは少し見直したときの視線だ。激レアだ、写真撮りたい。


「教室に戻った時に彩雫助けてあげようと思ったのに……つかの間の安息を楽しむといいよ」


「え、なんで?」


「また、新しい女の子と、しかも高宮さん。妬まれる」


「うっ、そういうこと。確かに裁判とか開かれそうだけどさ……そんなこと言ったら楓も一緒に飯食ってるわけで、楓も妬まれるだろ?」


「いや、そうはならないよ?ほら、僕イケメンだからさ」


「ぐぬぬ」


 くそっ、イケメンめ。男からのヘイトは買いやすいくせに変に突っかかると自らが女子にヘイトを買うから誰も突っかかれない。うらやましいかよ。


「うちらと一緒に食べれるんだしーむしろアドじゃーん。ほーら、ゆりっち可愛いっしょ?ほっぺむにむにー」


「ちょっと!私のほっぺた触っていいのは彩雫くんだけなの!彩雫くん、触る?」


 ふむ、これは確かにぷにぷにだ。よく触る楓のほっぺたは買った直後のカチカチの雪見だいふくだが、八重さんのほっぺたはいい感じに解けた雪見だいふくだ。つまり、もちもちでぷにぷにでぷよぷよってことだ。さすが、お嬢様。しっかりと手入れされている。


「うふふ、彩雫くんが私のほっぺたを……はっ!私も触るチャンスッ!」


 むにむにー


 むにむにー


 むにむにー


「ねぇ?僕達はいつまでイチャイチャを見せられるの?」


「さぁねーでもまーあんな幸せそうなゆりっちの顔みてるとどうしてもねー?」


「う、羨ましい、私も」


「ハッ!俺は何を?!」


「おかえり」


「ただいま」


 ただいま、か。なんか照れるな。ここが我が家なんだと感じる。楓、お母さん?


「彩雫、ママだよ?」


 クラスの女子が見たらときめいてしまうような優しい笑顔で言ってくる。


「思考を読まれた……だと?そうか、これがママ!」


「ふふっ、確かに、合ってるかも」


「うぅ、羨ましい、私も彩雫くんのママになりたい!けど、月城くんには……くっ!」


「あっはっは……ひぃ、お腹痛い。ちょ、マジそんなとこで負け認めんなし」


 ふ、楓ママは最強だからな。なんせ俺のことを理解し尽くしている。


「じゃあ、私は、弟?」


「いや、そこはせめて妹じゃなくて?まぁ、本人がいいならいいけど」


「はいはーい!じゃあうちはーお姉ちゃんやりまーす」


「それじゃあ、八重さんはお父さんということで」


「ゆりっちがお父さんとかーマジ似合わなくてめっちゃ笑えるんですけど」


 そりゃあ高宮さんが姉とったからね。


「お父さん……私がお父さん……息子離れ……やっぱり嫌!」


 でしょうね。そもそも八重さんはお父さんぽくないしな


「妹は、どう、かな?兄好き、妹、ぐふ、萌える」


「さ、彩雫お兄ちゃん……?」


「ふむ、悪くない」


『カシャ』


「ちょ、まじめっちゃ可愛い写真撮れたんですけど?!」


「ちょっと、やめてよ」


「さいだっちにも送んねー」


「お、まじ?」


「はっ!鳳花、どんどん撮って!」


「良かった、ね、三矢、妹キャラ好きだし」


 いや、まぁ、好きだけどさ。ここまで大っぴらにされるのもね?何この状況、癖を暴露されてその癖を同級生にさせてるの?捗っちゃうね、裁判が。


「お、このレンコンのやつうめぇ」


「うふふ、彩雫くん味付け濃いの好きみたいだから、味付けにちょっと工夫してみたの!」


「えーいいなーうちもゆりっちのお弁当たーべーたーいー、しいなっちも食べたいよねー?」


「食べたい、でも、高宮さんのも、美味しそう」


「たかみやさんー?じゃないっしょ?」


「う、鳳花ちゃん」


「んーいいね。萌えるー。じゃあ明日作ってきてあ・げ・る」


「やった」


「ふぅん、高宮さん自分でお弁当作ってるんだね。結構意外」


「まーね」


 確かに意外だけど、結構面倒見よさそうだしなんか納得できる。まぁ、今日初めて話したんですけどね!


 でも、高宮さんが来ていつもよりコミュニケーションが円滑に進んでいる気がする。椎名さんと八重さんと楓とで昼飯を食べていた3日の間は、全員が仲良くできてたかというとそうでもなく、一対一の会話を回してた感じ?まぁ?自分で言うのもだけど中心俺だし?そもそも変わった奴らばかりだし。それなのに、今日はこう、みんなでワイワイしてた。これこそがギャルの種族特性か。いや、高宮さんが凄いだけか。だから学校でも特に人気があるんだろうな。

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