対魔族戦
リ・ヘイダを制圧したシリウス達は、旧領主の館にいた。
執務室の豪勢な椅子にシリウスは座っていた。
ぼーっと窓から外を眺める。
遠くに綺麗な海が見える。
この街の制圧もすんなりと終わってしまった。
スラン王国も時期に全土を制圧できる。
この勢いでライジア王国を堕としてしまおう。
しかし今のところ張り合いがない。
もう少し苦戦させてくれる相手がいても良いのだが。
そう色々考えていると、部屋の扉を開けてサラティアが入ってくる。
「シリウス様、幾つかご報告が......」
サラティアは頭を深く下げた。
「街の制圧のことか?」
サラティアには、街で反乱などが起きないように治安維持で悪魔を配置するように伝えていた。
「いえ、それについては問題ありません。悪魔達に恐れをなして住民達は家に篭っております、反乱など起こす気は起きませんでしょう」
「全くの別件か」
「はい、リ・ヘイダの近海に魔族の艦隊が出現しました」
魔族ーー人類の天敵、共通の敵。
確かにリ・ヘイダは海を越えればすぐに魔族の支配地域がある。
強力な海軍を保有する魔族が、海を渡って侵攻してくるのは常套手段だ。
とはいえ、このタイミングとは予想外だ。
「いかがしましょうか?」
「我も見てみない限りなんとも......」
シリウスはそう言うと、窓を開ける。
身を乗り出して飛び降り、飛行魔法で身体を宙に浮かす。
「
シリウスは魔法で望遠鏡を召喚する。
視野を拡大する魔法はアンノウン・ワールドに存在していた。
しかし、貴重な魔法習得枠をそれに使うのも勿体なく、未修得だった。
それに"道具召喚"ならそれ以外の用途でも使い道がある。
望遠鏡を覗いた先には、遠くの方に何隻もの船が此方に向かっているのが見える。
「恐らくあの形状の船は、魔族のもので確定かと」
背後からサラティアが声をかけてくる。
「魔族か、丁度いい......非力な人間相手は飽き飽きしていたところだ」
シリウスはそう言い、心眼を発動する。
高レベルの存在はレベル50相当が3人、レベル60相当が一人。
そしてーー。
レベル93が一人いる。
この世界でレベル93というのは規格外だ。
シリウスが見てきた中では、勇者の次にレベルが高い。
もしかしたら"刻針"に紋章が刻まれている猛者かもしれない。
まぁ、その刻針の序列一位がシリウスなのだが。
ともかく魔族が、人間よりも平均して強いのは確かなのだろう。
「私がいきましょうか?」
サラティアがそう言う。
しかし、相手の最高レベルは93。
レベル88の守護聖典では、少し手に余る。
ここは自分が動くのが無難だろう。
「いや、構わん。我が動く」
「しかし、シリウス様がお手を煩わせるほどのことではありませんのでは?」
「一人かなり強いのがいる......守護聖典では不安だ」
「それほどまでの強者が?」
「どのみち我の敵ではない。適当にくつろいでいれば良い」
シリウスはそう言うと、無数の魔法陣が姿を現す。
それは重なり合い一つの巨大で複雑な魔法陣へと変貌する。
「
この魔法陣は、追加で魔法を詠唱することで遠距離での命中精度を破格に向上させる事ができる。
「
アンノウンワールドに置ける基礎攻撃魔法だ。
それでもシリウス程の魔力量の持ち主が使えば、大魔法と化す。
魔族の船団目掛けて凄まじい勢いで炎の塊が射出された。
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