第9話 初対面の攻防

「つまり、こういうことか」


結局童貞ということまでなぜか話してしまったわけだが、奴は表情ひとつ変えず、今もクールに鏡を見ている。


「私が魔法文を使うことを拒否したため、神とやらが一計を案じ、ちょうど良さそうな馬鹿を招集したと。」

『バカは余計だ、バカは。なんだよ、グランツといる時は可愛かったのに。』

「なっ!」


超心外って顔をしているが、真っ赤では意味がないだろう。ふむ、こいつクールぶっているだけに、おちょくって遊ぶのは面白そうだな。


『昨日も実はグランツから普通に逃げられたんじゃないか?嫌だったなら。』

「そ、れは・・・」


ふむふむ、恥ずかしがっているな。こうしている分には可愛いぞ。さっきの般若顔はグランツには見せない方がいいだろうが。


「き、貴様!調子に乗るなよ?いいか、私は別に、グランツのことなんてどうでもいいんだからな!」

『うわ、嘘すぎる。』


しかしこの調子だと、本気でわかってない可能性もありそうだ。折を見て応援してやるのはやぶさかじゃないな。・・・と、そんなことを思っている間にも、オスカー氏は怒りと羞恥でプルプル震え出した。


「いいか、他言したらこの世から塵も残さず抹殺してやるからな!!」

『ふふふ、キミにできるのかな?ワタシは神に加護を与えられし転生者なのだぞ?」

「・・・そんなことを言えるとは。恥ずかしくないのか?」

『ちょ、ドン引きするなよ、地味にダメージが・・・』


そこら辺には絶対にいないレベルの美人に軽蔑されるのは、相手が男とはいえ結構堪えるな。


「とにかく、余計なことはするな。わかったか。」

『ハイ・・・』


オスカー様はとても怖かった。それがファーストコンタクトの印象である。

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