第7話 翌朝。
翌朝目を覚ましたグランツは、いったい何を見たのだろうか。ちなみにオスカーは少し前に起きていて、カッコ良すぎる寝顔をぼんやりと眺めていたわけだが。
「う、嘘だろ!?俺、昨日一体・・・」
ちなみに、俺の記憶が正しければ最後まではいっていない。ただ、王子様を半裸の状態で押し倒している護衛騎士というのは間違いなくまずいだろう。
「お、オスカー、大丈夫か?」
「そろそろ退いてくれ、重い。」
怒っていると勘違いしたらしいグランツは宥めたり賺したりしているが、当の本人は困ったように引き裂かれた衣服を見下ろしている。
「どう言い訳すべきか・・・」
「え、騎士団長に訴えないのか?」
「そんなこと、するはずがないだろう。それとも、懲罰室送りになりたいのか?」
思い切り首を振るグランツに肩をすくめると、また服に目を落とした。
「酔っ払った男にうっかり引き裂かれたとでも報告するか。」
「オスカー様!それだけはご勘弁を!」
「ふむ、では、これは燃やして証拠隠滅してやろう。道具置きが火事になった時にうっかり燃やしてしまったとでも言おうか。」
「・・・もう燃やすなよ。それから、そうだな、俺の上着でよかったら着ていけよ。」
「そうさせてもらう。」
『おい、めちゃくちゃ嬉しそうだな?』
『かわいらしい限りですね、グランツの前では。しかし、凄まじい体格差ですねえ。』
身長はさほど変わらないはずなのに、受け取った上着はあまりにもブカブカである。
「す、すまん。」
「別にいい。今更誰も気にしないしな。それより、城まで」
「送っていきますとも!」
仲がよろしいようで何よりだが、どうやらそのレベルではなさそうな気がしてくるのだった。
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