第6話 氏川茜の話

二〇二三年八月二日 水曜日 午後


 顧客層の拡大案を何度か奥野に跳ね返されていた私は、高齢女性をターゲットにしたアパレルブランドの立ち上げを企画書に起こして苦し紛れにメールを送ってしまった。私なりに色々考えての企画だったが、こういう時の奥野は手厳しいものだ。メールを送って後悔を抱えたが、もう遅いと諦めた。何もしないより、何かをしたという事実をぶち上げることの方が重要だと自分に言い聞かせた。職場に置いたパソコンのモニターに貼りつけられた〈新規顧客獲得案!〉という奥野の走り書きの付箋はあまりに大きすぎるプレッシャーだ。

 一五分ほどして返信があった。その時点で、いつもと様子が違うと感じた。いつもなら、即レスがあるはずだ。それとも、一か月にわたる東南アジア諸国への出張で反応が遅れているだけなのかもしれない。

「日本だけに目を向けていてはいずれ先細る」

 奥野はそういって海外へ販路を広げる計画を着々と進めてきた。そこで、消費意欲が旺盛な東南アジア諸国での事業拡大案が社内で急速に膨れ上がっていった。ここ数年の業績成長が奥野の決意を後押ししたことはいうまでもない。だから、二〇二三年の夏を利用して奥野が現地視察を行うスケジュールが唐突に持ち上がったのだ。

〈中身確認して後日返信する〉

 奥野からのメールはいつものように簡潔だ。だが、後日返信……?

「新しいサイトの環境構築のスケジュールなんですけど……」

 ノックと共にガラスのドアを開けて、エンジニアの藤江匠が私の執務室に入って来た。私の表情があまりにもおかしかったのか、彼は言葉尻をすぼめてその場に立ち尽くした。

「どうしたんですか?」

「藤江くんさ、奥野さんと連絡取ってる?」

「まあ、はい」

 私の問いの真意を測りかねたようにして、藤江は口ごもった。

「サイトの環境構築スケジュール、奥野さんに確認した?」

「いや、してますよ!」間を置かずに答えたのは、私が責めていると勘違いしたからだろう。「後日確認するっていわれましたもん」

 また「後日」……すぐにできるスケジュールの確認までも後に回すのか?

「すぐ確認してくれなかったの?」

「忙しいんじゃないですか?」

 頭を掻き毟りそうになった。

 ──明らかにおかしい。


「考えすぎじゃないの?」

 会社立ち上げからの同期である徳安夏妃を部屋に呼んで事情を話すと、返ってきた言葉がそれだった。藤江を下がらせて、念のために執務室のドアにロックをかけた。

「でもさ、何でもかんでも後に回すような人じゃないじゃん」

 徳安は口元に手を当てて考え込んでいるようだった。

「だからといって、なんなの? 奥野さんは奥野さんでしょ。それ以外の何者でもないじゃない」

「いや、それはそうなんだけどさ」

「そんなに気になるなら、電話でもしてみたら? 直接聞けばいいでしょ」

 徳安の挑戦的な視線を受けて、私は何か引き下がることができなくなってしまった。彼女が見守る前でスマホを操作して、メッセージアプリで奥野へ電話をかけた。呼び出し音を十数回聞いて、私はスマホを耳から離した。

「出なかったの?」

 徳安がそう尋ねてきて、私はうなずいた。腕時計に目をやって、奥野のスケジュールを思い起こす。

「時差を考えても向こうは日中だし、出ないのはおかしい」

 私がそういったすぐ後にスマホが振動した。奥野からのメッセージが届いていた。

〈電話じゃなくメッセージで〉

 画面を徳安に見せると、二人で顔を見合わせた。

「確かに、なんか変かも」

 ついに徳安も異変を察知したようだった。



二〇二三年八月三日 木曜日 午後


 社内の人間にそれとなく確認を取ったところ、誰もが奥野に判断を仰ぐものを後回しにされていたことが分かった。こんなことは創業以来一度もなく、はっきりいって、異常事態だった。

 とはいうものの、奥野の様子が変だからといって、私にできることはほとんどなかった。

「茜の考えは何なの?」

 今日も徳安を私の執務室に呼んで話をしていると、徳安が直球にそう切り込んできた。彼女は昔から余計なことをしない。そこがいいところでもあるし、悪いところでもある。

 私はたっぷり時間を使って考えたが、自分が何を考えているのか分からなかった。

「夏妃はどう思う?」

「奥野さんは何かを隠しているんだと思う」

「何かって何?」

「それを確かめるのよ」

 力強い返答に私は面食らってしまった。

「え、どうやって……?」

 徳安はにこりと笑って、人差し指を立てた。すぐに、ガラスのドアの向こうに人影が現れてノックの音が響いた。やって来たのは、藤江だった。彼はノートパソコンを片手に険しい目元を私たちへくれた。

「すみません、呼びました?」

「ああ、ごめん。ドア閉めて」

 徳安が勝手に命令して、藤江はその通りにした。

「藤江にはもう話してあるの」

 徳安がそういうと、藤江は嫌なことに巻き込まれたといわんばかりの表情で苦笑いした。徳安はまたまた勝手に部屋の隅からスツールを引っ張って来て私のデスクのそばに二脚置くと、藤江と共に腰を下ろした。仕方なく、私は自分の席に収まる。

「何をする気なの?」

 事の次第に気づいた私がいうには間抜けたセリフだったが、そう口にせずにはいられなかった。

「奥野さんに何があったか知らないけど、どこで何をしているのか知る必要があるわけ」

「そこで」藤江が徳安の言葉を引き継いで喋り出す。「奥野さんのスマホと位置情報を共有している人を探したいんです。もしそういう人がいれば、奥野さんの位置情報を取得してマップに表示できます」

「心当たりはある?」

「探す必要はないわよ」

 私がそう返すと、二人は目を丸くした。

「私が共有してる」

 二人は顔を見合わせて、パッと笑顔になった。

 奥野は私たちに行き先を告げずにどこかへ行ってしまうことがあって、そのことを愚痴った時に居場所を共有してくれた。

 スマホを操作して、奥野の位置情報を表示させる。その結果に私は自分の目を疑った。

「どうしたの?」

 私の反応を見て、徳安がスマホを覗き込んでくる。

「え? 葉山?」

 そう、彼女が口にした通り、奥野のスマホの位置情報は神奈川県の葉山にあった。

「奥野さんって海外出張してるんじゃなかったでしたっけ?」

 藤江がそういう。徳安は頭の中を整理するように独り言のように返す。

「ええと、奥野さんがスマホ置いて海外に行っちゃったとか……?」

「いや、それなら私たちに返信できないでしょ」

 徳安は私を見つめた。

「そりゃ、そうか。……え、じゃあ、奥野さんは日本にいるってこと?」

「ちょっと待って」

 私はスマホで奥野のスマホへSMSを送った。

〈昨日の新規顧客獲得案についてですが、確認して頂けました?〉

 その内容を徳安と藤江に見せる。

「これに返信が来れば、奥野さんは葉山にいることが確定する」

 それからの一〇分間は焦れるほど長ったらしく、ハラハラするほど刺激的だった。スマホが震えた時、私はつい叫んでしまった。

「来た!」

 すぐに画面を確認する。奥野からはこう返事があった。

〈新規顧客獲得案だけど、ちょっと詰めが甘いかな〉

 この返信もおかしい。いつもの奥野なら、細かい点をあげつらうはずなのだ。

「本当に日本にいるってこと……?」

 徳安が信じがたいというように口元を抑えていた。SMSは相手の電話番号へテキストを送す仕組みだ。メッセージアプリやメールでは、他のデバイスからもアカウントにログインすればどこでも確認ができる。だが、SMSは街灯のスマホでしか確認ができない。

「正確には」藤江が技術的なポイントについて補足をしてくれる。「パソコンでもSMSは見られるんで、奥野さんが日本にいるということが確定したというわけじゃないです」

「でも、どちらにしても、海外出張するのにスマホを忘れていくなんてちょっと考えられないけどね」

 結局は徳安のいう通りだ。何かおかしんことが起こっているということは私たちの共通認識となっていた。

「なんで葉山なんですかね?」

 藤江が首を傾げると、私も徳安も同時に反応した。

「葉山には奥野さんの別宅があるからね」

「じゃあ、わりと行けちゃうっちゃ行けちゃうんですね」

 念のため、このことは私たち三人以外に口外しないことを約束し合い、この日は解散となった。

 だが、私の中には藤江がサラリといった最後の言葉がずっと残っていた。



二〇二三年八月五日 土曜日 午後


 この日のことはいつでも鮮明に思い出せる。

 金曜日に奥野に連絡を繰り返して、この日に電話をする約束を取りつけたのだ。奥野は風邪を引いているといって電話を拒否しようとしていたが、社員の名前を借りて大事にすると、ようやく重い腰を上げるように電話の時間を指定してきた。その一連の流れからして、いつもの奥野とは程遠い振る舞いだった。

「ご苦労様」

 パーキングに車が停まると、私の隣で徳安が運転席の藤江に労いの言葉を投げた。私は申し訳なくなって、藤江の肩に手を置いた。

「休みの日に動いてもらって悪かったわね」

「いや、いいですよ。こういう秘密の作戦みたいなこと、小学生の頃はよくやってましたから」

 私の目的は、奥野とただ電話をするだけではない。藤江がいったように、奥野が葉山の別宅にいることはまだ可能性の高いことで、確定されているわけではなかった。だから、この日はそれを確定させようとしていたのだった。

 降り立った葉山の地は、心なしか新宿の街よりも風が駆け、涼やかに感じられた。路地が張り巡らされた丘には住宅がひしめき合っている。すでに陽は傾いていて、どこか夏の終わりを感じさせるほとぼりの中を三人で歩く。

「大丈夫ですかね……」

 藤江が不安げにこぼす。その手は白いビニール袋を提げている。その中にあるのは、道中で調達した爆竹だ。

「大丈夫よ」徳安が間髪を入れずに無責任に応える。「藤江は速攻で逃げればいいだけだから」

「スタートラインから抗議したいんですけど、なんで僕がやらなきゃいけないんですか」

「女子に走らせるの?」

 徳安の返す刀に藤江は溜息をついた。

「女尊男卑だ」

 そんなことを話していたら、目的地が目と鼻の先だ。

「見えてきた」

 スマホのマップには奥野の位置情報を示すマーカーが躍っている。そして、私たちもそのすぐ近くまでやって来ていた。軒を連ねる住宅の向こうに白い塀がオレンジ色に照らされていた。門の近くにガレージのシャッターが口を閉ざしている。建物は他の家に隠れて見えないが、大きな家であることは見て取れる。あれが奥野の別宅だ。

「良い家」

 道端で立ち止まった徳安はポツリとそう漏らした。その家の中に奥野がいるのかと思うと、その真意が掴めず、空恐ろしい。奥野は一体何を考えているのだろうか? それとも、私たちのただの勘違いだというのだろうか?

「作戦をおさらいしておこう」徳安が私と藤江の腕を掴んで引き寄せる。「決行は陽が落ちてから。茜は車の中で待機。藤江はポジションについたら私に連絡をする。茜はすぐに奥野さんへ電話をして。藤江は二分後に奥野さんの家に火をつけた爆竹を投げ込む。あとは車まで走って逃げて、車を運転して東京へ帰る」

「あの、徳安さん」藤江は不満げだ。「徳安さんが爆竹投げ込めば、僕は徳安さんが戻って来たらすぐに車出せる気がするんですが」

「私は監督だから」

 有無をわさぬ返答に、藤江は諦めきった虚ろな瞳を浮かべるしかなかった。極めて原始的で、子どもみたいな作戦だが、奥野があの家に居るという確証を得るにはこれくらいしか考えつかなかった。

「肝心なのは、奥野さんの電話の向こうで爆竹の音が聞こえるかどうかね」

「でも、それで仮に奥野さんがあの家に居るってなったら……どうなるんです?」

 藤江の純粋な問いに私は一瞬ハッとさせられたが、徳安はニコリと笑った。

「サプライズで訪問しちゃえばいいわよ」

 徳安はいつも楽観的だ。それは私の見習うべきところだ。


 夜の帳がおりて、丘の住宅街には窓からキャンドルのように柔らかい光が漏れる。雲のない夜空には、微かに星が見えていた。

「じゃあ、行ってきます」

 藤江が爆竹とライターを握りしめて車を出て行った。私は徳安と隣り合って後部座席に座り、近くのコンビニで買ってきたお菓子を開く。すぐには手を伸ばさない徳安の横顔が虚空を見つめていた。

「なに考えてるの?」

「奥野さんに会ったら一発目に何をいおうかなって」

「『なにしてんですか』以外ないよね」

「海外出張と嘘をついて別宅にいるってどういうことなんだろう?」

「行きたくなくなっちゃったのかな。会社行きたくない時ってあるじゃない?」

 徳安はびっくりしたように私を振り返る。

「え、そんな時あるの? 私、仕事したくてたまらない時あるよ」

 徳安との基本的な人間性の違いはともかくとして、私の中には目を背けたくなる想像が根を張り始めていた。

「カラ出張ってことなのかな」

「ここにきて急に?」

「ヌーヴェル・オリゾン」は順調に成長を遂げている。奥野が海外出張費用をちょろまかすようなことをする必要はないというのが徳安の考えだった。だが、なにか黒いものが背後にあるのではないかという妄想を私は押し留めることができない。

 不安要素を頭の中にいくつも描いていると、徳安のスマホが鳴った。藤江からメッセージアプリで電話の着信がある。徳安はスマホのスピーカーをオンにして手のひらに載せた。

『位置につきましたよ』

 藤江は声を潜めている。徳安はどこか楽しそうに口角を上げていた。

「まわりに誰かいる?」

『いや……、めっちゃ静かです』

「奥野さんの家、明かりはついてる?」

『ついてます』

「じゃあ家に居るのか」

「でも、ご家族って可能性も……」

『あの』電話の向こうで藤江が焦れている。『もう早く済ませたいんですけど』

「ちょっと待ってて」

 私は素早くいって、自分のスマホで奥野にスピーカーフォンで電話をかけた。しばらくコール音が鳴って、声が返ってくる。

『もしもし?』

 くぐもった声だった。いつもの奥野の声ではない。

「奥野さんですか?」

『ああ、悪いね。ちょっと風邪で喉の調子が……』

 口調が奥野ではなかった。思わず視線を向けた徳安も何かを訴えたそうな目をしていた。

「わざわざお時間を取って下さってありがとうございます」

『いや、こちらこそ』

「そちらの状況はどうですか?」

『まあ、ぼちぼちだな』

 東南アジアへの販路拡大は奥野が傾注している計画だ。そして、奥野は自分の夢を熱く語る人間だ。「ぼちぼち」などという簡単な一言で済ますはずがない。それ以前に、私が聞かなくても自発的に喋り出すだろう。もはや、私が話している相手が奥野ではないということは疑いようのない事実だ。

「新しいサイトの環境構築のスケジュールについては確認して頂きましたか?」

『ああ、あれでいいと思う』

 空虚な会話を交わす私の横で、徳安が親指を立てた。少しして、電話の向こうから連続する破裂音がかすかに聞こえてきた。藤江が投げ込んだ爆竹の音だった。




「ねえ、ちょっと待って」

 藤江が大慌てでエンジンを始動させた瞬間に徳安が口を挟む。

「なんですか! 早く行かないと!」

 運転席から徳安を振り返る藤江は熱帯夜を駆け抜けてきたせいで汗にまみれていた。

「もう今から奥野さんの家に乗り込むっていうのはどう?」

「今日は奥野さんが家に居るかどうかを確かめるだけなんじゃ……」

「いやいや」徳安がかぶりを振る。「よく考えてよ。茜が電話で話した相手は明らかに奥野さんとは違ってた。じゃあ、誰だったのって話じゃん。奥野さんの家に奥野さんの振りをした誰かがいるってことなんだよ」

 一瞬で背筋に悪寒が走った。電話を介した耳のすぐそばで気色の悪い男が口を開いている映像をイメージして鳥肌が立ってしまう。

「逆に家に乗り込むの怖くない?」

「今確認したんだから、今乗り込まなくてどうすんのよ? どこかに逃げられたら今日確認したこと全部水の泡だよ」

 ルームミラーの中で藤江の表情が曇っていく。

「誰かが奥野さんになりすましてるってことですか? それやばくないですか?」

「いいから行こう!」

 徳安はそう叫んで車のドアを開け放って飛び出して行ってしまった。ハンドルにもたれかかった藤江が嘆く。

「僕がここまで走ってきた意味ないじゃないですか……」

 車を降りた私たちも徳安を追って住宅街を走った。意気込んで飛び出して行ったわりには、徳安は走力も体力もなく、すぐに追いつくことができた。やがて奥野の別宅の前に辿り着いた頃には、私も汗だくになっていた。メイクが崩れることよりも、開けてはならないパンドラの箱を前にしているのではという恐怖の方が勝っていた。

 門の向こうに垣間見える広い窓からは暖色の明かりが漏れ出る。何の躊躇もなく徳安がインターホンのボタンを押そうとするので、私は怖気づいてしまった。

「ホントにやるの?」

「当たり前でしょ。何のためにここまで来たのよ」

 微かな逆光の中に立つ徳安がちょとした悪魔のように見える。藤江は腹を括ったようで、走ってきたせいもあるのだろうが、やや興奮気味にいった。

「さっさとやっちゃいましょうよ。やばかったら逃げればいいわけですし」

 四つの瞳を前にして、私だけがごねるわけにはいかなかった。徳安はニヤリと笑ってインターホンを押した。少しして、インターホンのスピーカーがガチャリと音を立てた。

『はい』

 明らかに奥野の声ではなかった。奥野には妻がいる。息子はいないはずだ。親戚かなにかだろうか。だとしても、奥野の振りをする意味は分からない。

「奥野夢人さんはいらっしゃいますでしょうか?」

 徳安の問いかけにインターホンの向こうでは警戒心を漂わせるような短い沈黙があった。

『……どちら様ですか?』

「すぐそこで財布を拾ったんですが、中を見させて頂いて、こちらのお家の方かと思いましたので」

『財布ですか?』インターホンの向こうで身体が動く音がする。すぐに声がする。『どこで? いつ?』

 焦っている様子だ。

「さっき、すぐそこの道でなんですけど」

『今行きます!』

「奥野夢人さんですか?」

 徳安が念押しをする。

『そうです!』

 乱暴に答えが返って来て、受話器を打ちつける音でスピーカーが震えた。徳安が私たちを振り向いて目を見開いた。

「奥野さんだってよ」

 建物の方でドアの開く音がして、門に駆け寄ってくる足音がする。すぐに門が開いて、見たことのない男が現れた。

 無精髭を生やしたうだつの上がらない男だ。奥野と違って生気のない眼が私たちを捉えていた。徳安がなにかうまい言い訳を盾にして私たちは奥野の別宅を後にしたのだが、目の前の光景に衝撃を受けすぎて、その魔法の言葉がどんなものだったか覚えていない。

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