第27話 オレンジ電気

ザァァァ


私の作った夕食は雫先生にお店で出せるレベルだと褒められ、ここ最近で1番嬉しかった出来事として脳内に保存された。

それっぽい雰囲気で作っても意外となんとかなるもんだな、今度機会があったら洋食でやってみよう。


「う〜ん……」


だめだ、ちょっと考えてみたけど洋食は難しすぎるな。

まずソースの想像が出来ない、なんだよデミグラスソースって、いや知らないって意味じゃないんだよ?でも作るとなると配分が全く分からない。


ケチャップと砂糖と……ソース?

それなりのお店だとタマネギとかも入れたりとか?


んぴ、わからない……


「ふぅぅ……

久しぶりだな、1人でお風呂。」


洋食の事はひとまず置いておいて、めっちゃ広い湯船に浸かる。

足を伸ばしてもまだ余裕がある広いお風呂だ。


最and高


\\最高//


「こんなにゆっくり湯船に入るの何日振りだろ……」


例の階段事件前もなんだかんだシャワーで済ませたり、短時間入って終わりだったから……

5年ぐらい?


うん、絶対に盛ってる。


コンコン


「急にごめんね、着替えここに置いておくよ?」

「はい、ありがとうございます。」

「ゆっくりしてね。」


……雫先生が用意してくれた着替え、多分パジャマだろうけど、どんな服なんだろう。

まさか普段雫先生が着てる服だったり?!


「……気になる。」


THE大人な感じとか?キャピキャピすぎない可愛い感じとか?雫先生ならどっちも合うだろうな。


「ダメだ、気になるすぎるから上がろう。」


脳内で色々なパジャマを着た雫先生を想像しながらお風呂から上がる。


「あっ……」


ふと、鏡に映った私の身体が目に入った。

普段から2人に髪と肌のケアをしてもらっているから髪はサラサラで肌荒れも無い、でも心なしか細っそりしてて不健康に見える、体力が戻るまではまだまだ時間が掛かりそうだな。


「はぁ……」


やっぱり気にしちゃう。


というかサイズ合うのかな?

女性らしい身体の雫先生と、ただでさえ細かったのに更に細い状態の私。うん、服を着てもブカブカの状態になる可能性が高い。


「はぁ……」


ぐわぁぁ……さっきまでワクワクしてたのに急に現実に戻されたんだが?

少し落ち込みつつも、入る前には置かれていなかったカゴに近づき中にある白いふわふわの着替えを取り出す。


「バスローブ?」


速報、雫先生やっぱり只者じゃ無い。


まずバスローブなんて普通の家には置いてない。

ドラマとか映画とかでしか見たことすらないし、お金持ちがめっちゃ高いマンションからワイン片手に外を眺める時に着てるイメージしかない。

(※勝手な妄想です)


つまり、


「……凄いなぁ。」


凄い、雫先生は凄い。

(※疲れてるんです……)


ガラッ


バスローブを手に取り眺めていたら扉が開いた、


「そうだ栞華ちゃん、バスローブの着──!!ごめんね!!」


バタン!


と思ったら閉まった。

扉の向こうから雫先生の荒い呼吸音が聞こえるけど、大丈夫かな?


「別に、気にしていませんよ。」


別に相手が雫先生なら見られても少し恥ずかしい程度で嫌な気持ちにはならない。


「えっ、あっ……私がね、気にしちゃうの、破壊力が凄いなって。」

「?」


どうしたんだろ?雫先生も少し疲れてるのかな?


「バスローブは自分から見て右が上になるから、リビングで待ってるね!!」


トタトタと早歩きで去っていく足音が聞こえて、私は再びバスローブを眺める。

取り敢えず感覚で着てみよっと。


「右が上とは……?」


感覚で来ていく途中に雫先生が言ってた右が上という言葉を思い出した。鏡を見ながら着てるけど、右が上要素が見当たらない。


「わかんない。」


謎の言葉に悩んでたら着終わってしまった。

少し不格好だけど初めて着たにしては、なかなかにうまいのではなかろうか。


「むぅ……」


いや、やっぱり変だ。例えるならびっしり決まってない浴衣みたいな感じでだらしなく見える。


まぁ、ちゃんと着れないのは初めてだし仕方ない!


それにバスローブに慣れてるであろう雫先生ならすぐに直してくれるだろうし、変に時間かけないでリビングに行こう。




──雫先生視点──


「ふぅぅ〜、暑い……」


お風呂上がりの栞華ちゃんは途轍もない破壊力だった。可愛い、綺麗、そんな言葉じゃ語れない程の衝撃を受けた。


「待って、私あの状態の栞華ちゃんにマッサージするの?」


栞華ちゃんがお風呂に入っていた間、一室を全身マッサージしやすく変えてた。

例えば少し薄暗いオレンジ電気を付けて、ベットのはシーツを貼り直したり、ちょっと甘い香りの香水を使ったりと本当に色々とやった。


いやね、ちょっと楽しみだったよ?


栞華ちゃんの綺麗な肌を直接触れる機会なんて今後2度とないだろうし、間違いなく可愛い声も聞ける。


でもね、あの破壊力抜群の栞華ちゃんの肌を触っちゃったら私は理性を保てる自信は無い。


「お風呂、ありがとうございます。」

「あっ、うん……ちゃんと着れた?」


テレビを見る振りをして直視を避ける、じゃないともう僅かしかない理性がさらに削られる。


「それが、上手く着れなくて……」

「……!」


上手く、着れてない……!?!?




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「耐えてくれ私の理性、せめてあと2年……」


次回『雰囲気◎』





なんとか、なんとか5話更新できた……

最後焦ったぁ……

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