第17話 寒すぎ
「……」zzz
なんか寒い……
手で掛け布団を探してみるも見つからず、徐々に眠りから覚めてきた。
「んぇ?」
あれ?いつの間に寝て──
「さ、寒い!
というか、なんで下着姿?」
気づけば私は下着のみで家のベットの上で寝ていた。
最後の記憶は、美味しくエビドリアを食べたところまでで、そのあとはフワフワしてあまり覚えてない。
空腹が満たされて眠気が襲ってきて寝てしまったのか。
そして寝ちゃった私の制服が皺にならないように姉が脱がしてくれたんだろう、めっちゃ有難いんだけど掛け布団ぐらいかけて欲しかったな。
「寒い……」
起きて見渡せば、近くに掛け布団はすぐに見つかったけど肝心の服がない。
冷え切った体じゃ掛け布団を温めるのも時間がかかる、お風呂に入った方がいいな。このままじゃ間違いなく風邪を引く。
ていうか体がほんのり熱い気がするし風邪引いてるのかもしれない。
「着替えぇぇ……」
どうせお風呂は沸いてないしこの状態で待つのは不可能、お風呂に入ってないけど新しい服を着るしかないよね。
「……どっちの趣味だ。」
タンスを開けて自分のパジャマを探したけど見つからず、私の名前が書かれていた棚にはモコモコの猫耳パジャマが入っていた。
いや本当にどっちの趣味なんだ?
あの可愛いというよりかはクール寄りな姉ではない、よね?
いや、待て。最近のおかしくなってしまった姉ならわからないな。
何故か私のことを気にするようになってたし、趣味趣向が変わっていてもおかしくない。
まぁ、このパジャマの持ち主が姉でも妹でも謝れば勝手に着ても許してもらえるでしょう。
「あっ、うさぎ耳。」
着るために広げて気づいた、腰のあたりに丸い尻尾も付いてる。間違いなく寝ずらくなるのに尻尾をパジャマに付ける意味がわからない。
「ぴょん?」
うわ、恥ず!
ポーズ付きでなんとなくやってみたけど、クソ恥ずいな。
そしてなぜ私は鏡の前でこんな事をやってしまったのだろうか。
とりあえずわかる事は1つ、こうして私の黒歴史が増えたという事だった。
「お風呂沸かそう。」
ーーーーー
重だるい体をゆっくり動かしながら階段を降りて行く。
「……なんでこんな所にフォーク?」
足元をちゃんと見ながら歩いていると何故かフォークが落ちてた。
どんなに考えても階段にフォークが落ちている理由がわからない……
まぁ最後に拾えばいっか。
「ん?んんん?!?!」
なんか廊下がめっちゃ荒れてるんだけど。
見た限りカーペットとかボロボロのティッシュが廊下に散らばってる。
「危ないな。」
慎重に階段を降りきって辺りを見渡す。
なんというか、荒れきってる。
ドラマとかで空き巣に入られた時みたいに荒れとる。
「ふ、2人は……」
マジで不審者が入ってきてた場合、2階は荒れてなかったしリビングに居た2人と争いになってる可能性がある。
手元にスマホがあれば直ぐに通報するけど、無いんだよな。
「お姉ちゃん、畔華、居る……?」
やっぱりリビングも荒れていた。
「あっ、畔華……」
畔華は直ぐに見つかった。
タオルケットでぐるぐる巻きになってリビングの真ん中で倒れてる。
「このク──姉──」
「畔華!大丈夫?!」
小さい声でブツブツ何かを話していたけど、意識は無さそう。
怪我も見た感じしてないし、寝言かな?
「クソ姉さん、ぶっころ……」
声をかけても全く起きないから何を呟いてるか耳を近づけたら、めっちゃ不穏なこと言うとる。
というか、クソ姉さんって私の事じゃ──
ガタッ
「!!!」
物音が聞こえた後ろに倒れたソファの寄りかかる所に姉も居た。
もちろん意識は無い。
「妹───す」
姉も何か呟いてる。
「絶対に、殺してやる……
栞華は……の。」
やっぱり不穏なことを言っている、そして私の名前まで出てきてた。
ちょっと整理してみよう。
荒れ果てたリビング、意識が無いけど不穏なことを呟いてる姉と妹、そして呟きの内容を考えれば答えは出てきます。
はい、役満です。
この現場を見て、あまり頭の良く無い私でもドジった後に何があったかなんとなく察することができた。
おそらく、私が1ヶ月意識不明だった時に事情を知らない周囲の人達に変な噂が回ったんだろう。
その噂の中に2人を責める物があったなら、目覚めた時の謝罪にも繋がり、その後の過保護まで納得できる。
だが、過保護と謝罪は2人にとってストレスになる原因、この現場はストレスが限界を迎えて2人で暴れた結果だろう。
考えてみれば畔華に絞められた時のも無意識に殺意が出ていたのかもしれない。
大変だ、全て繋がってしまった……
結論、私は2人に殺されそうになってます。
怖いです、助けてください雫先生。
「か、片付けよう……」
少しでも2人のストレスを減らさないとダメだ、でないと寝てるうちにガッとやられかねない。
幸いな事に食器は割れてないし、フォークと箸を流しに持っていき、カーペットと家具を整えれば良い。
「ふぅぅ、ふぅぅ……」
体力が無くなった私の体が悲鳴をあげてるけど、自分の命の危機だと理解しているのかなんとか動き続けている。
そして私は片付けながら、2人と離れて暮らす方法を考え始めたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回・姉と妹の殺意
更新が遅くなり申し訳ありません!
現在、作者が忙しく書き溜めの無い作品がなかなか更新できない状況になってしまっています。
本当に申し訳ありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます