第15話 ファミレス
「それじゃあ雫先生、体調悪いので私と栞華は早退します。」
うーん、体調悪かった理由の寝不足が解消されたから早退する必要はないんだけどなぁ…
「あー、すごく頭痛い。
栞華もなんか体調悪そうだなぁ〜、雫先生なら帰してくれるだろうなぁ?」
「わ、わかりました……」
流石の雫先生も苦笑いだよ。
うちのちょっとおかしくなっちゃった姉がごめんない。
「じゃ帰ろっか。
抱き上げて移動しようか?」
「結構です。」
寝不足で頭が働いてない状態ならともかく、なにが悲しくて普通に頭が動いてる状態で姉に抱き上げられなくちゃいけないんだ。
「「「ブー、ブー!」」」
その大人数でブーイングしてるような声どうやって出した?!
よく分かんないけど、凄いね!
「よいしょっ。」
少し無理すれば歩けなくもないけど、まだ長距離は危ないかな。立ってるだけで足がプルプルする。
「バイバーイ。」
「ありがとうございました。」
「はい、また来てくださいね。」
車椅子に座った瞬間、素早い動きで保健室から出された。
「どうして急に帰ろうって言い出したの?」
「なんとなく?
なんか、栞華成分が足りなくなっちゃって体が怠くなっちゃったんだよ。」
帰る必要はないけど、なんとなく帰りたくなったってことかな。
なんやねんそれ。
「帰りにご飯食べて〜、家に帰ろっか。」
「うん。」
姉に車椅子を押されて校舎を出る。
時間的にまだ授業中なのに外に出る、少しだけ悪い事をしてる気分になってワクワクを感じた。
私、悪い子!
多くの大人から視線を向けられながら到着したのはイタリアン系のファミリーレストラン。
最後に来たのいつだっけな、友達も居なかったから小さい頃に家族で来たのが最初で最後だった。1人だと入りづらいんだよね。
「いらっしゃいませ。」
「2人で!」
「はい、お好きな席へどうぞ。」
この時間はやっぱり御年配の人とサラリーマンっぽい人が多いな。
そんななか制服姿の女子2人は少し浮いてた。
「何食べる〜?」
ハンバーグにチキンにパスタにグラタン、色々あって悩んじゃうな。
でもファミレスに来たなら家で余り作らないのを食べたいんだよね、ハンバーグとパスタは除外で……
「エビドリアにしようかな。」
「いいね!じゃあ私はハンバーグにしよっと、後は2人でサラダをシェアするとして、ポテト食べる?」
「食べようかな。」
へー、今の注文は紙に番号を記入するスタイルなのか。
昔みたいに店員さんに言うのにほんの少しだけ憧れてて、もう出来ないのがちょっぴり寂しい。
「混む前だから、結構すぐに来ると思うよ。」
このファミレスは大体50人ぐらい入れそうな広さで、平日なのに私達含めれば20人は居るけどこれから更に混むのか。
ほら、やっぱり平日はあまり混まないイメージだったからこれでMAXだと思ってた。
「ふふ。」
なんだ今の笑いは……
「キョロキョロしてて可愛いね。」
「…!」
うるさいやい!
さっきも言ったけど(※言ってません)最後に来たのは家族で来た時だけで、私からしたら実質初めてのファミレスなんだからしょうがないじゃん!
「……久しぶりの学校はどうだった?」
夜ご飯中に難しい時期の子供と話すお父さんか!
「どうって、疲れて寝ちゃったからわからないよ。」
「やっぱり体力的に心配だね。」
疲れの原因がなんか言っとる。
「明日は家でゆっくりする?」
「学校に行きます。はい、絶対に行きます。」
「ふーん……」
姉の目から光が消えた。
なんだよぉ、家に居てもゆっくり眠れないし、雫先生の優しさに癒されたいんだよぉ。
「おかしい、休み時間は始まった瞬間にダッシュで行ったし──」ブツブツ
そして独り言モードに突入した。
これはこれで少し面倒だけど、外でエンドレス謝罪モードにはなってないからヨシ!
【〜〜♪〜〜♪】
ん?
【お料理をお持ち致しました!】
まさかのロボット!
え、今は人じゃなくてロボットが運んでくれるの?!凄くない?!
「ありがとう。」
【…………】
これ料理とったけど、どうしたらいいの?
「お姉ちゃ──」
「ん?どうしたの?
って、料理来てたんだね、とってくれてありがとう。」
「うん……」
恥ずかしいけど言うしかない。
「えい。」
【ごゆっくりどうぞ。
〜〜♪】
姉がロボットの側面を触ったと思ったら、来た時と同じbgmを流しながら去っていった。
食べよ!
「「いただきます。」」
めちゃめちゃ美味しい!
地味に面倒だから家で作ろうと思えないんだよね。
ほらドリアを作るならグラタンを作りたいし、シチューは残らないように作るから使えないし…
まぁ、簡単に言えば二度手間なんだ。
「あっ、そうだそうだ、忘れるところだった。」
「?」
「病院の先生から渡されたお薬だよ。」
私って飲まないといけない薬あったの?
退院してから一度も飲んでないけど大丈夫なやつなのかな。
「食べ終わってから飲んでね。」
「わかったけど、一度も飲んでなかったけど大丈夫なの?」
「まぁ大丈夫、大丈夫。」
まぁ、が付いたせいで信用できない。
とりあえずご飯食べちゃうか。
「…楽しみだなぁ。」
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次回・放置される被害者
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