第8話 ゲス野郎なんて言っちゃってごめんなさい。彼も可哀相な被害者でした。
ふぁー。良く寝たー。このベッド、ホント気持ちいい♪んー。もうちょっとゴロゴロしちゃおうかな。ん?ん?ベッドに・・・。何か、いや、誰かいる・・・。バサッと上掛けをめくると、セルフィだった。
「んー。もう起きるの?もうちょっと眠りたい。」
「セルフィ。いつの間にここで寝てたの?」
「んー。昨日から一緒に寝てたよ。カイトが酔っ払いゆうを連れてきた時、カイトに抱きついて離れなかったから。三人で寝た。あれ?カイトは?」
酔っ払いゆうって・・・。カイトに抱きついて、離れなかった??私が??なにそれ?全く記憶無いんですけど!
お姫様だっこはなんとなく覚えてるけど・・・。無意識に抱き着くとか、こわいんですけど!!お酒久々だったしな・・・。
「お目覚めですか?ゆう様。おはようございます。」
「お、おはよう!!」恥ずかしっ。昨夜の事には触れないでおこう。
「朝食頂いたら、エドガーのところに向かいますか!」
今日は色々調べたいこともあるし、バルゴッド殿の山にも行く予定だから動き易そうな服を着てみた。冒険者風かな。
エドガーは、取り巻き達と共に、冒険者協会の敷地内にある拘置所に居る。勇者・冒険者は、妖精女王・聖剣教会・冒険者協会により罪状確定後、在籍国に送検される。
エドガーの捜査。違う方面からも精査してみないとな。まずは本人と面会して話を聞きたい。彼と対面すると、昨日の彼とは別人のような面持ちだった。申し立ての内容を確認していくが、だんまりを決め込んでいる。
でも、なんだこれ、私の能力?エドガーのこれまでの事が、私の頭の中に走馬灯の様に流れ込んでくる。真実だと分かる。
・・・彼は公爵家の三男であった。が、婚外子であるがゆえに、継母や兄弟から虐げられていた。それでも父親の愛を信じ、真面目で素直な彼は、幼いころから文武に精進し、父上の為、お家の為にと日々努力を重ねた。勇者の称号も実力で得た。勇者として魔物から人々を守っていた。
そんなある日。伯爵令嬢を魔物から助けた。美しさに定評のある令嬢だった。二人が恋に落ちるのにそう時間はかからなかった。そんな二人を継母と兄達は快く思わず、エドガーの悪事をでっち上げ、爵位をはく奪した。そして、あろうことか、令嬢を長兄の花嫁としてしまった。
令嬢を責める事は出来ない。どうすることもできなかった。只々、虚しかった。
兄達は財力と権力で、勇者の称号を得た。第三の勇者だったエドガーは、第五の勇者となった。長兄イアンが第三の勇者に、次兄ウイルが第四の勇者として割り込んだのだ。もちろん、魔物退治などするわけもなく・・・。兄達が悪事をする時は必ずエドガーの名を残した。
被害者も、エドガーでは無いと分かっていても、エドガーの名前を出すしか無かった。報復が恐ろしいからだ。
いくら俺でもヤサグレますよ・・・。
「ちゃんと、やってません!!って、言わないと!!そこは!!」
「え?」
「やってもない罪を被ろうとしたの?そんなの絶対駄目だから!!公爵家がお取り潰しになっても、自業自得だから!!本当の悪党は白昼の下にさらします!!」
「父上と兄嫁は悪くないのですが。」
「貴方の元恋人は、被害者かもしれないけど、公爵は知らなかったでは済まされません。」
「カイト、至急!!第三の勇者イアンと、第四の勇者ウイルの身柄を拘束しないと被害が拡大します。」
「はい。」
「私が二人に会えば、ホントの事が分かっちゃうから。そしたら、エドガーは釈放だね。」
「被害者達にも会おうかな。事実関係ハッキリ分かっちゃうからね。」
この能力は、真実が見える。冤罪を無くせる。
まずは、イアンとウイル。真実を見せてもらいましょうか!!
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