第5話 ゲス野郎は、やっぱりゲス野郎だった。成敗!

 勇者は7人いるらしい。どんな基準なんだか・・・。聖女様っていうのもいっぱいいたりするのかな?


 コーヒーのいい香りがしている。こっちにもコーヒーあるの?やった!

香りのするお店に入ると、美味しそうなパイが並んでいた。

 テーブルに案内され、私とカイトはチェリーパイとコーヒーを、セルフィはミルクティーとアップルパイを頼んだ。こんなに気楽にお茶できるなんて♪


 わーい!思ったよりも美味しい♥しかし、こう真向かいに座ると目のやり場に困るというかなんというか。カイトとセルフィ・・・美しいなあ・・・。

 

 いかん、いかん。それよりも・・・。

 

 「勇者7人いるってことだけど、どういう人が勇者になれるの?」


 「そうですね。今は本物の勇者はいません。本来であれば、伝説の聖剣を授かり、妖精女王アイリン様のご加護を受け勇者となります。ですが、現在魔王討伐が必要なくなり、害をなす魔族や魔物の討伐のみとなりましたので、冒険者協会と聖剣教会とで協議し勇者の称号を授けているようです。王族や貴族が名声の為に大金を積んで称号を買っている者もおります。もちろん民衆の為に魔族や魔物を退治している者もおりますが。」


 「ほう。そうなんだ。いつまでホントの勇者がいたの?」


 「そうですね。ユウイチロウ殿が最後の勇者さまです。ユウイチロウ殿は魔王と心が通じ、討伐せずに、友人となりました。魔王は人間や精霊に危害を加えないことや、魔王の鉱山から必要な鉱石も使って良いとまで約束し、条件は、たまにユウイチロウと話せればよい。ということでした。魔王と妖精女王、勇者ユウイチロウ殿で協定を結ぶ事ができました。ですから、ユウイチロウ殿がこちらにいて下さることは、大切なことなのです。」


 お、お、おじいちゃん。ただものじゃないとは思っていたけど・・・。かっこよ。


 「聖女って言うのも沢山いるの?」


 「いいえ、聖女様は、アイリン様が選び、守護し、加護を与える者のみとなります。聖剣教会側としては、自分達で選んだ者にアイリン様のご加護を受けさせたいようですが。アイリン様は決して妥協しませんので。」


 「ほう。」


 なんだか・・・。まあ、おじいちゃんの七光が相当強いとして・・・。とりあえず、流れに任せてやってみよう。少しずつ色々と分かってきたようだしね。


 

 「魔王はまさか一人だよね?!」


 「魔王は五つの鉱山と二つの海それぞれにおります。」

 

 「魔王7人?!」


 「はい。金プラチナ鉱山のギルゴッド殿、銀ダイヤモンド鉱山のバルゴッド殿、このお二人は竜王眷属。エメラルド鉱山のエルフ眷属ビルコット様、サファイア鉱山の獣人眷属ブルゴッド殿、ルビー鉱山の吸血鬼眷属ボルゴッド殿、ホワイトパールマリンの海王眷属ベルコット様、ブラックパールマリンの人魚眷属ミルコット様です。」


 名前が似通っていて、すぐには覚えられない気がする。けど。


 「魔王みんなと協定結べたの?」


 「はい。最初に協定を結んだ魔王ギルゴッド殿が、魔王たちを取り仕切っていましたので、難なく結ぶことができました。魔王たちも、実は静かに暮らすことを望んでいたようです。」

  

 「そっか。別に争いが好きなわけでは無かったんだね。攻撃されるから応戦してただけなのかな。でも、中には面白くない者も出てきそうだけど。」


 「はい。下級な魔族・魔物は今でも納得できていない者が多くおります。共存するにあたり、やはり差別感がぬぐえず、その不満が出るのでしょう。その不満を利用して悪事を起こさせている者もおります。」


 「それな。人間同士でも差別とかあるもんね。そこを何とかしないとかな。」



 「ところで、エドガーは何しちゃったの?申し立てが複数あるとか・・・。」


 「はい。私共の調べでは、魔物に美しい娘がいる貴族の館を襲わせ金品と娘を奪い、そこに勇者として助けに入り、礼を貰い名もあげる。そして恩を感じている娘を弄び、飽きたら捨て、次の館を襲う。それを繰り返しております。中には、婚姻直前の娘を無理やり・・・。その娘は自ら命を絶ちました。また、獣人売買の疑いも出てきまして、そちらも事実関係を調査しているところです。」



 「はあーっつ!!まじか!!仮にも勇者が、絶対ダメだろ!!!成敗だ!!」

 


 エドガー、何やっちゃってるんだ・・・。寛大な処置は、無理だ。


 

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