第4話 こっちにもいたのか、ゲス野郎。成敗。

 おじいちゃんとおばあちゃんの事も含め、諸々気になることばかりだけど・・・。

それはおいおい聞くとして。


 とりあえず、この国を見てまわりたい。と、アイリンに言ってみた。

「あい。かしこまりー。お主専属の従者カイトじゃ。こやつは強いぞ。怖いものなしじゃ。どこにでも連れて行ってくれるぞ。わしを呼びたい時は、手鏡に念じればよいぞ。」


 「ゆう様。何なりとお申し付けください。」っつて。銀色の髪、青い瞳。少し焼けた肌。伏目がちでシャイな感じ。めちゃくちゃ好みなんですけど!!

き、緊張する。美し過ぎて。

はー。平常心。平常心。


 カイトが指笛を吹くと、シャープな美しい青竜が舞い降りた。

カイトは青竜に何かを伝えると、自然に・・・お姫様だっこで乗せてくれた。 

はじめての。顔、にやけてないかな。


 ぎゅーんと空高く上がり、スーッと飛んで、あっという間に遠くに見えていた山々まで来た。


 「ここからの眺めが好きなんです。」と、カイトが微笑む。うー。笑顔もいいじゃないですか。


 うわー!海もあるんだ!風も気持ちいい!!美しい所だな。ずーっとこうあって欲しい。住人もこの景色のように澄んでいるんだろうな。

 

 「そうでもないですよ。色々です。」


 「え?心読んだ?」


 「あ・・・。申し訳ございません。普段は遮断しているのですが。ここにはこいつとしか来たことなっかたので・・・。」

カイトは青竜を撫でながら申し訳なさそうにうなだれた。


 「あ、大丈夫。大丈夫。ホント絶景だよ。でも、こっちにも色んな輩がいるのか。そりゃ、そうだよね。」

セーフ!!城での心は読まれなかったようだ。


 「麓の街に行ってみましょう。季節の果物で作った美味しいものがありますよ。」

 

 「いいね!ところで、その竜、名前とかあるの?」


 「はい。セルフィって言います。」


 「セルフィ!可愛い。もしかして女の子?」


 「はい。擬人化もできます。」

 

 「そうなの!!じゃ、麓に着いたら、三人で歩こうよ。」


 擬人化したセルフィ。こりゃまた絶世の美女!!青い髪に赤い瞳・・・。心なしか私のこと、嫌ってる?もしかして、ずっと心読まれてます?

 恋のライバルとか思っているのなら、大丈夫です。もう、貴方の方が勝者です。セルフィ!!だから、仲良くしようね!


 「うん。それじゃ仲良くする。」


やっぱりかー。あぶない、あぶない。危うく三角関係になるところだった。ふー。

ん?じゃ、私の王子様的な方は、まだ現れていないという事ですな。まだまだ心の傷も癒えていないしね。


 セルフィ!!男達に絡まれてるー。まあ、その美しさでは仕方ないけど。その辺の男では相手にならんぞ!!間抜けな奴らめ。


 「おい!女!俺様を知らないのか?第5の勇者、エドガー様を!!」

こっちにも面倒くさそうなのが来ちゃったよ。第5の勇者って、何人勇者いるんだ?


 カイトが間に入った。

「エドガー。聖女様と知っての事か?お主への苦情、申し立てが複数届いておる。お主の審議を行う。おって、日時を言い渡す。」


 「聖女様!!ご無礼をお許しください。何卒、何卒、穏便な処置を!!」

 

 いつの間にか現れた兵士達に連れられて行くエドガーと取り巻き達。セルフィにまとわりついていたのも、あいつの取り巻きだったか。


 というか、私って、聖女様の立ち位置だったんだ!!先に言ってよ!!


ところで、エドガー、一体何をやらかしたんだ?心なしか、タカヒロに似ているな。

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る