第2話 田舎ってこんなにいい所だったんだっけ?

 都心から電車で二時間。帰ってきました私の田舎に。

結構近いのね。こんなに田舎なのに。

はー。なんか空気が澄んでるなー。


 「ゆうー。」

母が車で迎えにきてくれた。

到着時間ラインしておいたけど、久しぶりに歩いてもみたかった。

「ひさしぶりだねー。なんか瘦せたんじゃないの?何が食べたい?」

昔から、余計な事は聞かない人で、なんか全部分かっているような、あったかい人。

私はいつも大切にされていたな。

ありがとう。


 「おう。おかえり。」

父は無口な男だが、そこがいい。

 「おかえり。ゆっくりしていきなよー。きんぴらごぼう好きだろ、ゆう。作ってあっからな。先にお風呂入るか?」

おばあちゃんは、やっぱりあったかい。


 「うまーい。きんぴら最高。自分ではこんなに美味しく出来ないんだよね。ポテサラも、うまーい。うちのは何でも美味しいよ。ずーっと食べていたい。」

いつの間にか涙が溢れて、泣きながら食べ続けた。

「美味しすぎて、泣いちゃったかな?いっぱい食べろー。」


 みんな、何にも聞かないでくれるんだ。ありがとう。


 「今日はゆっくりおやすみ。」

 「うん。おやすみ。」



 ふっかふかの布団に入ると、お日様のにおいがした。


 

 天国から地獄に落ちたなんて思ったけど、とんでもないな。

ここは、あったかい。あったかいよ。天国以上だよ。天国がどういうところか知らないけどね・・・。



 随分ぐっすり眠ってしまったようだ。お昼の町内放送で目が覚めた。



 おばあちゃんが、蔵の片付けをしている。

亡くなったおじいちゃんは、結構有名な画家だった。生前、絶対売りたくないという画を、蔵に隠していた。

 

 私も上京する時、手鏡を蔵の中に隠して置いて行った。色んな石が散りばめられた綺麗な・・・。ずっと宝物だった。

「ゆう。この鏡は、ゆうのことを守ってくれるから。いつも大切に身に着けていなさい。」おじいちゃんにそう言われていたのに。

蔵にちゃんとあるかな?



 「おばあちゃん。手伝うよ。」

蔵に入ったが、おばあちゃんの姿はない。さっきまでいたのにな?


 ガサゴソと手鏡を探してみる。

「あった。」よかった。あの日のまんまだ。


 奥に進んでみると、綺麗な緑色の光・・・。

扉ほどある風景画が光に包まれている。どこか懐かしい風景。おじいちゃんが描いてたやつだ。


 触れようと手を伸ばしたその時、ぎゅんっと引っ張られた。画の中の何かに・・・。


 光に包まれていく。これは・・・。異世界転移してるんですかね?


 それならば、どうか私に都合の良い設定でお願いします。

せめて見た目も美しく!楽しく過ごさせてくださいますようお願い申し上げます。


 どうか、高設定で!!


 そして、私は悪党を退治したい。無性に。その力も欲しい!!

信じられる仲間も・・・!!


欲張り過ぎか。


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