おじいちゃんの七光で無敵な聖女になり申した。異世界スローライフ+せっかくなので、悪党退治もしちゃります。

やればできる子

第1話 いったい私が何をした。なんで、こんな目にあうの。

 気持ちいいー。ドラゴンに乗ってぎゅーんと空高く舞い上がり、スーッと遠くまで飛んでいく。山の頂上からの眺めは絶景だ。ずーっと眺めていたい。

ガガガガ、ガガガガガ、ん?目覚まし?もう朝か。どうしていつも見るんだろうか、この夢。 おじいちゃんが昔話してくれた、おとぎ話みたいな夢。あの話聞くの好きだったな・・・。今思えば、異世界だよね。おとぎ話って。

 

 私、藤倉ゆう。特に害もない普通の27歳です。

一目惚れしたといいよられ(どこに?と思いつつ)、顔が好みだったので、強引さに負け付き合い始めて早二年。

 今週末は、タカヒロとホテルで式の打ち合わせ。

あのホテルは人気だから早めに予約しないとあぶないよね。

タカヒロ仕事忙しそうだけど、大丈夫かな?

手付金も用意しておこう。

とりあえず、50万円でいいかな。


 残高不足。ん?

何回やっても残高不足。???

550万はあるはずだ。

記帳してみる。

先週全額引き出されてる。そんなはずはない。何かの間違い。

血の気が引いていくのが分かる。


とりあえず、警察に連絡。銀行にも連絡。


タカヒロにも・・・。電話にでない。忙しいのかな。


もう一回電話。出た。

「タカヒロ。大変。私の貯金全額無くなってて・・・。」

「タカヒロ?」

「あ、ゆう。今ちょっと。あっ・・うっ」

「あん。もう。電話なんて後にしてぇ。はやく来てよ。」


あ、れ、あれあれあれあれー。その声アキじゃないですか?

電話から聞こえてきた声。絶対アキだよね。


「タカヒロ。アキと一緒なん。なにしてるの?仕事忙しいんじゃなかったの?」

「あー。ゆう。私とタカヒロそういう事だから。ごめんねー。ゆう、つまらないんだって。特にベッドでは。私達、相性いいみたい。じゃ、いいとこだから。」


「え・・・。」


「ゆうは、私の親友だから。」が口癖のアキ。女の友情なんて、男が絡むと駄目になるって言うけどね・・・。


 いつからアキと・・・。あー。そうですか。

つまらないって。あー。そうですか。


涙が止まらない。こんなこと。ほんとにあるんだ。



 一週間有休をとった。

2日間は何にもできなかった。

こんなに悲しくても、お腹は空くんだな。

3日目にはご飯を炊いてカレーを作った。そして、洗濯して、お掃除して。お風呂に入って寝た。

銀行と警察から連絡があった。引き出したのは男女二人組とのこと。

被害届を出し、防犯ビデオを確認した。

タカヒロとアキだった。


あー。そうですか。


逮捕されて、犯罪者になりやがれ!!!

被害届は絶対取り下げない。



 随分休んじゃったな。私の企画通ったのかな?

一週間ぶりの会社。

「ゆう。おはよう。大丈夫?体調悪かったの?昨日、アキが警察に連れて行かれたよ。何があったの?」

同僚のヨシミから質問攻めにあう。事のいきさつを説明すると、あんぐり開いた口が塞がらないヨシミ。


申し訳なさそうに話始めた。

「ゆう。こんな時に言うのはなんだけど。タムラ室長、ゆうの企画自分のものとして上に持ってた。即、採用で、先週からチーム組んで始めてる。みんな、ゆうの企画ってわっかってても進言できなくて。ごめん。」


「はー。こんな時に休んだ私がまず駄目だし。社長の姪相手に物申すなんて。私だってできないよ。」



弱り目に祟り目?ってこういうこと?

とか思っている間に


あちらこちらから「キャー!」「なにこれ?え?やだ!!」などと声があがった。

ざわざわが大きくなっていく。


PCを立ち上げて分かりました。

ざわざわの原因。


あー。そうですか!!そんなことするわけですか。


パソコンに流れている映像・・・。アダルトビデオ的な映像が・・・。

お盛んな感じの女性が・・・。私の顔になってるんですけどね。私、そんなに巨乳じゃありません!!

しかも、そんな技持ってたら、つまらないとか言われませんって。


私じゃありません!!とか言うのもめんどくさい。


即日、会社を辞めた。


マンションも解約した。



田舎に帰ろ。


お母さん。お父さん。おばあちゃん。帰ったら、少しだけ甘えさせて。

煮物食べたい。きんぴらごぼう食べたい。ポテトサラダ食べたい。


そしたら、異世界にでも行きたいや。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る