第3話 ギルド

「そういえば、今日は任務があるんだっけ。」


 ノエルとの朝食中不意に聞かれた。

 危ない、言い忘れてた。


「そうそう、ギルドから呼ばれてるから多分任務だと思う。」


 雪はギルドと呼ばれる組織に所属している。

 正式名称は災渦討伐特別トランプ部隊なのだが、長くややこしいのでギルドと呼ばれている。

 冒険者ギルドなどもあるからそっちの方がややこしくない?って思うが、どうやらギルドで馴染んでしまったみたいだ。


「遠出になりそう?」


「聞いてみないとわからないから、後で戻ってきて伝えるよ。でも多分遠出かなあ」


「そっかぁ、気を付けてね。」


「ふふ、ありがとう。」


 心配してくれるのが嬉しくて思わず笑いが出てしまう。


「ご馳走様、ええとお皿は・・」


「置いといて、片付けるよ。」


「ありがとう、それじゃ行ってくるね、またあとで。」


 心の中でもう一度お礼を言って家を出ていく。

 ほんとにさまさま過ぎる・・・


 ―――

 ギルドの拠点の場所までは1kmほどある。

 今住んでいるところは比較的家が少なく、自然が多い。

 しかし不便ということはなく、少し歩けばすぐに栄えた地区になる。

 そんな栄えた地区の一角に拠点は存在している。


 今度はどんな大変な任務なんだろ。

 そんなことを考えながらギルドの扉を開く。


 がやがやと賑やかなギルドの中、扉が開いたことに気づいたのか一人の鎧武者が声をかけてくれる。


「おはよう、星の子。今日はやけに早いのだな。」


「おはよう不動、今日は呼ばれたんだよ。それとおれは星の子じゃないって。いつも思うけど、何なの星の子って。」


「失礼、そうだったな。輝かしいからつい、な。」


「よくわからないけど、いつもの事だからいいよ。」


 そんなことより任務だ。


「ええと、秩序っている?」


 自分を呼びつけた人物の名前を出す。


「秩序なら奥の執務室だ、他にも何人か来ていたぞ。」


「ありがと、行ってくるよ。」


 お礼を言って執務室へ向かう。


 鎧武者、不動はいつもギルドにいる人?だ。

 実力は折り紙付きだそうだけど、戦っているところはおろか、活躍していることを聞いたこともない、何ならここ以外で見たことがない。

 基本いつでも居るし、ここに住んでいるんだろうか。

 声も鎧のせいかくぐもっていて男性か女性かも分からない。

 とにかく謎の多い人?である。


 自分のことを星の子とよく呼ぶけど、これも良くわからない。

 歳が若いからだろうか、それとも実力が足りないから?

 強くなったらそのうち一等星の男とか呼ばれるのだろうか、恥ずかしいな。


 なんて考えているうちに目的の部屋に着いた。


「秩序、入りますよ。」


 ノックと一声かけて扉を開ける。

 そこには秩序のほかに3名先客が居た。

 計4人と目が合う。

 左から順に、王狼、疾風、魔槍だ。

 彼らもギルドの一員で、偶に同じ任務をすることがある。


「はぁ~?雑魚も連れてくの?」


 開口一番、魔槍が嫌そうに言った。

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