第2話 物語の観測

 (あぁ、まただ)

 自分は今夢を見ている。


 夢の中の自分は、ドラゴンを倒すような冒険と、狐を見るような和む光景、いろんな人と戦ったり話したり、色々なことをする。


 何度も同じ夢を見るけど、起きると忘れてしまう。

 夢を見ている間だけ思い出せる、そんな夢。


 誰かが呼んでいる。

 名前が聞こえない。

 何かを思い出せそうで必死に手を伸ばして・・・。


「おはよう、雪。」


「あぁ、おはよう、ノエル?」


「あはは、何で疑問形なのさ。何か変な夢でも見たの?」


「夢、何か見てた気がする・・・」


 何か頭の中でひっかかる。

 けど、それもすぐに消えていく。


「何々、面白いものでも見た?」


「いや、覚えてないや。」


「そっか・・・まぁそーいうこともあるよね!」


 ノエルと呼ばれた女性は気を取り直して話す。


「あっ、そうそうご飯できたから、起こしに来たの!食べれそう?」


 少し心配そうに聞かれる。

 俺の返答は決まっている。


「うん、ありがとう。食べるよ」


「じゃあ行こ!」


 そういって差し出されたノエルの手を華奢な手だな、なんて思いながら掴んで立ち上がる。

 そのまま手をつないで食卓へと向かう。


 ノエルは俺の妻だ。

 少し前?に結婚して幸せな日々を過ごしている。


「今日の朝食はね~、パンとサラダ、あとヨーグルトだよぉ。」


 振り向いてニコニコと笑顔で教えてくれる。


「いつもありがとうね。」


 ノエルはほぼ毎日ご飯を作ってくれる。

 たまには自分が作るよと伝えたけど「作るの好きだから、私に作らせて。」と一蹴された。

 まぁ美味しいし、めちゃくちゃ助かってるからいいんだけど。

 ちなみにノエルは家事全般をやってくれている。

 ほんとさまさまである、頭が上がらない。


「「いただきます。」」


 そうして朝食を食べ始める。

 これが我が家のいつもの光景だ。



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