逆意味光線銃

 矢保井町三丁目に、口裂け女が出現したとの第一報が入った。そして、若草第二湖畔中学校・超常現象対策部に出動要請が出された。部長の俺と副部長の新谷美帆、平部員で二年生の山田勇樹の三人で現場に向かう。

 口裂け女は昭和の伝説的な妖怪であり、約半世紀ぶりに現れた。

 その特徴は、大きめのマスクをして、「わたし、きれい?」と問いかけ、マスク美人なので「きれいだよ」と答えると、「これでもかーっ」と、マスクを外して限界まで裂けた口を見せつけて襲ってくるとのことだ。あれは死ぬほど怖かったと、じいちゃんがよく言っていた。

「ジョーカーに類似していますね。同じカテゴリーでしょうか」

 中二の平部員のくせして、山田がキメ顔で言うのがイラつく。

「ジョーカーは外国のキャラで、口裂け女は純日本産よ。カテエラだし、一緒にすると著作権がややこしくなるわ」

 さすがは副部長。小学生女子からイジられるほどの貧乳だが、解答は模範的だ。

「議論しているヒマはない。すぐに現場に行くぞ。事件は現場で起きているんだ」

 ママチャリを三人乗りして三丁目に向かった。途中で警察官に止められて叱られてしまったが、我々はへこたれることなく到着した。

「わたし、きれい?」

 さっそく口裂け女が問いかけてきたので、俺は武器を取り出した。

「逆意味光線銃だ。食らえ」

 ビームは口裂け女に命中した。これで古い時代の化け物は、お終いだ。

「さあ、マスクをとってみろ」

 女がマスクを外すと、口は裂けておらず、逆におちょぼ口となっていた。

「どうだ。逆意味光線銃の威力をおもい知ったか。今日からおまえは{おちょぼ口女}だ」

 妖怪の脅威は排除された。コンビニでジャンボ唐揚げを買ってから帰ることにする。

「うがああああ」

 突然、おちょぼ口女が襲い掛かってきた。山田に抱き着くと、むりやりチューをした。

「山田のファーストキッスよ。これはエッロ」

「いいや、副部長。けしてエロくはないぞ。ほら、山田がしぼんでる」

 キスではない。山田の口から体液を絞り吸っているんだ。中二の平部員は、あっという間に吸い尽くされてしまい、ペラペラになってしまった。

「がああああ」

「きゃあ」

 今度は副部長に襲い掛かった。妖怪のおちょぼ口が彼女の口に迫る。俺は逆意味光線銃を構えて撃った。だけど狙いを外して副部長に当たってしまった。

 すると、妖怪おちょぼ口が副部長のスカートを剥ぎ取って、パンツまでずり降ろしてしまう。露わになった尻におちょぼ口を突っ込んで体液を吸い取り始めた。そして、彼女はすぐに干からびた。

「うっわ、これやっべ。肛門から吸うのかよ」

 慌てて逃げようとして、転んでしまった。なんと、その時に自分を撃ってしまった。

「がああああ」

 おちょぼ口女が襲い掛かってきた。捕まったらおちょぼ口をアナルに突っ込まれて吸い取られてしまう。ママチャリに乗って、全力で漕いだ。

「やっべ、やっべ」

 じつは今朝から下痢気味だというのはナイショなんだ。

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