第78話 レベル上げも一段落、ポイントがたまったらスキル振り!
スピカが選んだ新スキル、
これは単体に無属性ダメージを与える魔法スキルだ。
通常ルートで獲得するには
終盤になるにつれ、属性吸収やら耐性の多い魔物やボスが増えてくる。すると必然的に出番の多くなる、
「スピちゃんいいスキル取ってくれたね!」
「ホント? これ強いの?」
「強いよ~? 効かない敵がいないってのも、最高だよね」
「きかない敵……こないだ戦ったロボとか?」
「そうそう! ラグナレクとはこれから連戦する予定だから、スピちゃんも今度は攻撃に回ってね?」
「わかった!」
私とスピカが楽しくお話していると、引きつった表情のフィオナが肩をたたいてきた。
「なあ、リオ。おそらく私の聞き間違いだとは思うのだが……いまなにか変なことを言わなかったか?」
「変なこと、ですか?」
「ああ。なんかラグナレクと連戦する予定だとか」
「言いましたけど?」
「じょ、冗談だよな? リオだってラグナレク戦では相当痛い思いをしただろう? それなのにまたあんなヤツと、戦うというのか!?」
「ラグナレクは所持品が激ウマですからね。それにフィオナさんだって、ギャラルホルン以上に強い武器は欲しいでしょ?」
「ギャラルホルンより強い武器? でもこれはラグナレクのレアドロップだっただろう、これより強い武器だなんて……」
「錬金するんです。ギャラルホルンは鍛冶錬金することで『
「……ただでさえ強い、この剣が?」
「はいっ! しかも錬金できるのは一回だけじゃありません。更に鍛え上げることで『
終末剣ラグナレクはクラジャン屈指の攻撃力誇る、ランクSS+の剣装備だ。
ラグナレクの鬼周回という地獄は必要だが、手に入れてしまえば高ランクボスの攻略がぐっと楽になる。ぜひとも早く手に入れたい逸品だ。
「錬金するためには光の石がたくさん必要です。フィオナさんもギャラルホルンがもっとカッコよくなるとこ、見てみたくないですか?」
「……見てみたい」
「強力な魔物を紙のように引き裂いて、ムキムキしたくありませんか?」
「…………ムキムキしたい」
「ですよね!? だったらラグナレク周回に行きましょう! 三十層に挑戦した時よりレベルも上がってますし、初戦よりは楽に戦えるはずです!」
「ああ!」
ムキムキの予感に駆られたフィオナは、瞳に希望の光を灯している。やる気は絶好調!
対してボス周回が確定したキサナは、ゲンナリした顔でため息をついている。
「うえぇ、みなさんすっかりやる気ですねぇ……」
「仕方ないよ、やっぱりみんな冒険者だし。新スキルや新武器と聞けば、目を輝かせるのはキサナちゃんも同じでしょ?」
「それはもちろんそうですけどぉ、やっぱりリアルに痛いのはイヤだなぁ……」
「じゃあ回避率とか防御力も上げちゃう?」
「それも考えましたけど……すでに錬金術に攻撃、回復にもポイント振っちゃったし、防御も上げると器用貧乏になっちゃいますよ」
「あはは! そういうとこしっかりクラジャン廃人なんだもんなぁ」
キサナの言う通りだ。クラジャンは色々手を出し過ぎるよりは、成長の方針を固めて特化させた方が効率がいい。
だがキサナは生活種の『錬金術LV』をあげた上で、戦闘でも活躍できるスキル振りをしている。
これはクラジャンプレーヤーとしては、あまりやりたくない振り方だ。転生主人公はスキルポイントや取得才能に幅を持たせられるので、ある程度の自由度がある。
それでも戦闘種と生活種を両立させるやり方はあまりしない。盾役が火力を出したり回復でサポートすることはあっても、戦闘中の錬金術にはなんの意味もないからね。
とはいえ振ってしまったからには仕方ない。それにここはクラジャンが現実になった世界だ。
サポートしてくれる仲間が絶対に一緒だとは限らない。なんらかの理由で一人になった時のことも考えて、臨機応変な対応も考えておかないとね。
私たちは三十層まで戻り、先にラグナレクのボス周回をすることにした。
通常は一か月間の討伐判定が残るフロアボスだが、脱出ゲートを破壊すればすぐに戦うことができる。レアドロップが複数個欲しい場合に、よく用いられる手法である。
だがラグナレクは言うまでもなく強敵だ。
レベルが上がったくらいで慢心するわけにも行かない。ということで私たちは、再戦前にスキルの一部強化しておくことにした。
私はもちろん素早さを強化。前回LV:8にまでポイントを振ったがラグナレク相手にはやや強化不足だった。ということで一気に【LV:8→20】にまで強化。
はい、完全にキレました。もう妥協はしません!
少々やりすぎに思うかもしれないけど、ゲーム上ではもうエンドコンテンツ挑戦の域に入っている。だったら今後もラグナレクのような強敵と戦う可能性はあるし、なにかしら特化した性能があるキャラの方が戦いやすい。
しかもナガレからもらった情報では、トライアンフ最強の戦闘員は『
もし素早さ勝負になった時に遅れは取りたくない。そのため素早さに振り切って構わないと判断した。
またキサナも最近の戦闘がキツかったことから、ポイントを多めに使ってくれていた。
☆☆☆
名前:キサナ
第一才能:◎僧兵(レベル:100)
第二才能:錬金術師(レベル:77)
第三才能:魔道弓兵(レベル:70)
残りスキルポイント:1921→1071
【習得スキル】
・錬金術【LV:10→16】
・回復魔法【LV:12】
・かぶと割り
・レクイエム
・鳳凰演武
・攻撃力上昇【LV:12→20】
・打撃命中率【LV:12→15】
☆☆☆
キサナは火力・命中の増強に加えて、僧兵のマスタースキル
単純な火力アップのスキルではあるが、攻撃以外の行動が取れなくなるデメリットもある。使いどころには注意が必要だ。
そして魔法剣士LV100となったフィオナも、マスタースキルを獲得。
その名は『マージストライカー』、
これはいわばモードチェンジのような形で、魔力消費状態への変身をオンオフ切り替えできるようになる。
変換中は攻撃に上昇補正がかかる代わりに、魔力は気前よくガンガンと消費してしまう。普段使いするにはやや燃費が悪いので、強敵にのみ使って行きたいスキルだ。
「これは……ラグナレク周回で役に立ちそうなスキルだな」
「はい! 全属性吸収のラグナレクには魔法剣が使えないので、先の戦で使えなかった魔力をガンガン攻撃に割り振れます。しかも聖なるロザリオ(A)との相性も抜群です!」
聖なるロザリオは「魔力自動回復(中)と消費魔力軽減(小)」を持った便利なアクセサリーだ。
十層ボスが盗むレアで持っていたが、今回の探索でしっかり二個目を盗み直している。今後はマージストライカーの発揮時間を増やすため、フィオナには固定で持ってもらう予定だ。
もうひとつはキサナ装備でいいだろう。スピカは『戦闘終了時全回復』という壊れがあるし、戦闘中に魔力切れを起こしたこともない。無理に持たせなくとも大丈夫だろう。
ということで、いよいよラグナレクと再戦だ。
レベルもスキルも強化したので、先日よりは楽に戦えることだろう。
強くなった私たちがどこまでやれるのか、今から楽しみだ!
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