見えたり見えなかったり
「っ、たーもう!何あれ!?なんで私の事見えてるの!?千里眼持ち!?」
「今考えています静かにして下さい!!」
少し遠目の宿を取って、一段落。今回はちゃんとお金も払いました。
「……二重に見えたあの教会…貴方には見えてなかったのに……?」
「しっかしまぁ明らかに秘密実験場みたいな場所だったね。王様があんだけ言うのも納得いくわ」
「あの時見えた魔法陣は……っ、お父様の資料の中に」
「あっ爪割れてる、爪切りとかあるのかこの世界」
「明日の朝礼の時間。もう一度行ってみますよ」
「んえっ?あ、おう?おっけー!」
「仮説が正しければ…貴方の変化、一度触れたものをそのままにすることは出来ますか?」
「いんや?試してみたら私が担げるものまでだったけど、それがどうかしたの?」
「そうですか……だとすればインクと紙を買いに行きましょう」
「え、なんで」
「これからの作戦に必要なんです」
^^^^^^^
残ったインクをぶち撒けて塗装したお手製ドレスを身に纏うお姫様に連れられ、私は城下の露店が並ぶ場所までやって来た。
謎串焼きを買った所と違って、こっちはちょっとだけアングラと言うか、俗っぽい雰囲気が漂っている。
明らかに姫様が来ていい様な場所じゃないので──
「おいお前、上等な着物着てんじゃねぇか」
「すみません先を急いでいるので」
「いい所の嬢ちゃんか?ちょっと一緒に来てもらうぜぇ」
こんな感じて変なのが湧いてくる。一応消えておいて正解だった
「どうします?上等な着物着てるいい所の嬢ちゃん」
「対処願えますか」
「はいはーい」
「あ?お前何言ってぺばのっ!?」
目の前まで行って顎に掌底を打ち付けた。汚ぇ声が体液と一緒に飛んでくる。すっごい嫌。
軽く上に飛んで行った辺り、あのクソデカドラゴン倒したりしてちからなりこうげきりょくなりは多少なりとも上がってるっぽい?
「あ、兄貴ィ!?おぼばッ」
狼狽えてるもう片方も顎に一撃。二体の可哀想な存在は何度か痙攣して動かなくなった。
ちゃんと脳震盪してくれたみたいだ。適当に顎ぶつだけでなるもんだな。
リムはノックアウトした馬鹿共を手早く路地へと運ぶ。
「いちおーさ?あんたのとこの国民じゃないの?やった手前あれなんだけどさ」
「欲に塗れた愚者には裁きを下す必要があります」
「だったら自分でやりなよねー」
「力が無ければ法も教えも生まれません。今の私の力は貴方だけです」
「ちょっとだけ嬉しいこと言ってくれるじゃん。お菓子要る?」
「無駄遣いしないでください」
「あっはい」
^^^^^^^^^
買い物の帰り道、ふと気づいた疑問を口に出す
「てかさー?主犯分かってるならさっさと首撥ねたら良いんじゃないの?やれって言われたらやるよ?私」
「死霊術は魔術の中でも思念が強く働きます。彼の死が引き金となる術が何処に掛かっているかも解りません」
「と言うと?」
「彼を殺した途端、国が崩壊する恐れがあります」
「ちゃんと相談してよかったよ…報連相って大事だね」
「それを確認する為にも、教会へ向かうのです」
「なーるほど、納得いったわ」
ふと、リムの歩幅がどんどん狭まっているのに気がついた。
いつの間にか息も切らしている。
「…もしかして死ぬほど疲れ溜まってる?」
「もともと、城に閉じこもって居ましたし…体力は確かに落ちています」
「8年も脳死で動いてたもんなー……。良いよ、乗んな?」
私はリムの首根っこを掴み、肩に担いだ
「……恩に着ます」
「いえいえ」
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