定まった目標
取り敢えず…一通りも少ないしここなら大丈夫か。
私達は中庭まで退避してきた。11階分も降りる…事はなくて、一回降りた10階のバルコニーの様な場所の茂みの中に居る。外気が冷たい、そこそこ寒い。
「むー!むっ!」
「はいはい、今外したるよ」
噛ませた布を外して、リムを解放する。
わーすっごい睨んでくる
「貴方だけ逃げれば良かったものを…どうしてですか?」
「あんなもの少ない部屋の何処に隠れろってのさ、ベッドの下なんか虫の卵みたいなの落ちてたし。だったら確実に逃げれる方法の方がいいじゃん?」
「お父様とはまだ話すことがあります、早く戻って下さい」
「具体的に何話すの?話し終わった後は?お葬式でも準備する?」
「っ……」
「そうやってぎりぎりしてる時奥歯すり減っちゃうよ。一番聞きたいことは聞けたんだし、私達に出来ること考えなきゃ。はい資料」
私は件の金庫に入っていた研究資料を手渡した。
二人が喋ってる時に目は通したけど…文章体が固すぎて正直半分くらいしか理解できてない。
要するに色々見える眼と便利なバリアって事?だと思う
リムが無言でまじまじ読んでる間にもう一つの掘り出し物を読んでおこう。
ノービスとか言う神の本。やったら分厚い。
伝記とかも見て思うけど、一人の事説明するだけでこんなに書く事ある?
私なんて三行で表せるぞこのやろう。
…こいつも三行で十分じゃん
生まれと方向の神
有名
俺達の母
ほーら三行。なんで態々まどろっこしい言い方するのか理解に苦しむわー。
なんて言ってたら各地に喧嘩売りそうなので口には出しませんが。
「あ、そういやリムちゃんのステータスって知らないな。見せて?」
「…出来ません」
「おのれ好感度不足か」
「そうではなく、他人のステータスを覗き見ることは出来ません」
「……え?」
急に衝撃事実をぶん投げてくる。
「え?私の見たのよね」
「この資料の通り、私は次元や存在を見通す事が出来る様で。普通はギルドでステータスカードを発行してもらう必要があります」
「はえぇー…じゃあ次の目的地はギルドだね」
「ステータスカードは魔力が無いと発行出来ません」
「えっ、あ…」
「……口頭であれば」
「よしそれだ!」
リムはステータスを表示し(多分したんだと思う)、書かれていたことを読み上げた。
名前:リムニアル・アイロ・ケルオム
種族:純人
《スキル》
[神理眼] [鉄籠]
…あれ簡素
「あの…すばやさなりちからなりは」
「ステータスカードであれば一定の基準と先天性では無いスキルが記載されます」
「……あー…………ごめん」
「気にしてません」
なんとも言えない空気のまま、リムは資料を読みながら私へと口を開く
「次は、私からのお願いです」
「んー?なんだい?」
「私はお父様と、逝ってしまったお母様が守ってきたこの城を、ルダーに奪われたくない」
資料から顔を離し、私へと向く
「どうか、ルダーを止める事へ御助力願えませんでしょうか」
真意に心の籠った瞳で私を見上げた。
その目に宿るのは、もう怠惰の塊であった頃とは違う濁りのない光だ。彼女は彼女なりに何か覚悟を決めたのだろう
「良いけど、私はタダじゃ動かないよ。慈善事業やるつもりもないし」
「私の知る知識を教えましょう。足りなければ身をも捧げる覚悟です」
「身は要らないな。よーし交渉成立だ」
私はメモセットと少ないインク瓶を取り出し、彼女へと渡した
「筆記用具は渡しておく。取り敢えず犯人の顔教えてもらおうか?」
_________
「このような見た目です」
「あれどっかで見覚えー…」
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