蔓延る理不尽、手のひら
青い空って言う比喩表現。
いや実際青いんだから比喩でもなんでもないんだけど、
とにかく青い空って物は現実なんだ。
何を言ってるかわかんない?
月が青かったら夜中でも空が青く見えるって事よ。
かーなり幻想的で…あー語彙力無いからわからん。凄い綺麗です。
「もう少し休んどいた方が良かったんじゃないの?」
「月が真上に登る頃には城へ続く架橋は降りてしまいます。一刻も早く目的を果たす為には仕方ありません」
「もっと自分に甘くてもいいと思うんだけどなぁ…」
なんて喋りながら私達はお城の架橋を渡って行った。うわー下見えない。水すらない。どこまで続くかも分からないような闇。今度降りてみるか
ぎりぎり閉め掛けてる城門を通り抜け、番兵に手を振って書いてもらった地図を確認する。
「どこ居るの?お父様って」
「この時間ですと寝室でしょうか、ここですね」
「…何階これ」
「11階です」
「エレベーターとか」
「なんですかそれは」
「知ってた」
私ここに来て歩いてしかないな…
^^^^^^^^^^
階段を昇って踊り場を通って階段を登ってを11ループ。
そうしてやっと着いた廊下もやたら長い。
一番目を疑ったのはまだ上があるってことだった。誰が住むんだこんな所
歩いていくと、私の顔の横から指が突き出される。
「ここです」
「やっと着いた…これだけで2トキぐらい経ってない?」
「まだ30フーンです」
「問題は至る過程だよ10時間ねぼすけさん」
そうして私達は部屋に入ろうと扉を開こうとするが、どうやら鍵が掛かっているようで、押しても引いてもビクともしない。
「鍵か…何処にあるか知ってる?まさか一回まで戻れとか言わないよね」
「いえ…少し待ってください」
リムが目を凝らして扉を覗き込む。
「風の音がします、窓が空いている様です。外から行きましょう」
「…外?」
「そこに窓があるじゃないですか」
「11階だよ?」
「はい」
「どうやって?」
「出っ張りがあります」
「……はぁい」
^^^^^╬╬╬╬╬
部屋の中は質素でものが少なく、小さな棚と天蓋の着いたベッドが一つ。ベッドの隣にはサイドテーブルがあり、手入れの施された花の生けてある花瓶、数枚の紙切れと零れたインクが置かれていた。
脚が震えている彼から降りて、私はお父様の元へと向かう。
一切の音を発さずに、ただそこに、人形のようにして居たお父様は虚ろに天井を見つめていた。
「お父様」
お父様はゆっくりと私の方へと向く。
全てに嫌気がさしたような顔を何時もと変わらず、私へと。
「リム…帰ってこれたのか」
「はい。お父様」
「ベインフォーリーは」
「…少しお待ちを、……こちらに」
彼を小突き、ベインフォーリーを取り出してもらう。
凡そ私と同じ程の大きさの剣を引きづりながら、私はお父様へと近づいた。
「ふむ…そうか」
まるで、落胆したかのような顔でそう言った。
「もう下がって良い」
「お父様…」
「聞こえなかったか、下がって良いと言ったのだ。ベインフォーリーはここに置いていけ」
「お父様に聞きたいことがあります」
そう言うと、お父様はまるで雷でも落ちたような目でこちらを二度見た。
「…お主が、もう一度自ら動く日が来るとはな」
「お父様は…何故、私を暗い森へと追いやったんですか。お父様は私の顔も見たくない程…私を憎んでいるんですか」
「リム、儂はお前を愛して居たよ。愛しているとも」
「ならば…ッ、どうして私を暗い森へと送ったのですか?護衛も付けず生身一つで…憎しみと捉えず、納得出来る理由があるのですか…ッ」
「そうさな…これは愛情の一端であっただろう」
「なんですって…?」
お父様はムクリと起き上がり、ベッドに座り私へと向き直った。病人のような服装の隙間からは、無数の黒い斑点が見える。
「お父…様?それは」
「死霊術の呪いの類いだろう…見ての通り儂はもう長くない。数日永らえるだけで精一杯だろう」
「リムよ、この国は腐っていた。儂はそれに気づくことが遅すぎたのだ。”大司教ルダー”は真っ当な信者を遠ざけ、野心と欲望に満たされた教会を作り上げた」
「彼の目的は定かでは無いが、このまま進めば先代となる我がアイロ家の血族は途絶えさせられるだろう」
気がつけばお父様の顔色は変わっていた。嫌気の指した顔など面影も無いように、真面目に私へと、そう語り掛けた
「ルダー…我ら命教の幹部の方ですね」
「あぁ。既にこの城の実権は彼の物となっている。儂が生き絶えればあとはなすがままだろう。そこに主が居れば…言葉に出す必要もあるまい」
「縁起でもないことを言わないで下さい!!お父様は…、そんなっ……」
お父様へと駆け、行き場のない手でベッドを掴んだ。
奥歯が鳴る。きっと私はみっともない顔をしているのだろう。
「机に暗証番号の着いた戸がある。そこに主の与えられたスキルの研究資料がある。それを持って出来るだけこの国から離れてくれ」
「嫌です!お父様の身体だって治す方法がきっと……ッ!」
「番号は…1214」
「それ…は」
「お主の誕生した日だ。八年間忘れたことは無かったよ」
廊下の方から大人数の足音が聞こえた。大きな声を出し過ぎただろうか
「不味いな…この城に主が居ると知れればルダーは直ぐに動き出す、何処かに隠れろ」
そろそろ引き時ですぜ、お嬢さん。
耳元でそう聞こえた時には抱き抱えられていた
「嫌っ!まだ聞きたいことがッ!!」
口に何かを噛ませられる。部屋が遠ざかり窓の方へと向かった。
「回収するものは回収したから安心しな、今はここから離れるよ」
塞がれた口の不快感と、最後に見えた部屋の光景は、
寂しげな顔で見送る最愛の顔だった。
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