質問コーナークロスカウンター
「第一回情報交換会ー!」
「…?はい」
「もうちょっと盛り上げて欲しかったなぁ…」
川原。きらきら流れる川を横目に、私達は地べたに座って相談会。
「現在の目標は、リムちゃん家に殴り込んでお父様とやらに話を聞く事。しかしその為には足りない事が山ほどあります!という事で今回お呼びしたゲスト、少なくとも私よりはこの世界について詳しいリムちゃんです!どうぞ〜!!」
「さっかからここにいます」
つれねぇ……まぁいいや。
何となく色々言っ他はいいものの、そもそも私はここについて何事も知らなさ過ぎる。いきなり辺境飛ばされたわけだしね。彼女の事についてはそれなりに聞きはしたけど、それでも前提するものが何も無さすぎてかなり曖昧だ。
「だから質問コーナークロスカウンター編をします。一問一答形式でお互い答えてくスタイルで」
「はい」
「一先ず、この世界は何?元私がいた所とはえらく違うみたいだけど」
「この世界はディフェレントと呼ばれます。ここはディフェレント北東部に位置するケルオム領土の暗い森です」
ディフェレント…異なる?て言うか英語はあるの?なんで?
疑問は尽きないが、まぁ今はそういう世界観なんだと飲み込もう。納得はいってないけど、全然いってないけど
「次は私ですね。貴方は何処から来たのですか?何故禁足地に居たのですか?」
「二回行動するじゃん…良いけどさ。私が元いた場所は…うん、あんまり覚えてない。だけど、少なくともこんなに殺伐とした場所では無かったはずだよ。あとこんな、肌白くない。なんで禁足地にいたのかも知らない。気がついたらそこに居た」
だってのに、友人Sの話とかどうでもいい豆知識とかは覚えてるんだよなぁ…わかんないもんだ
「じゃあ次、魔力って何?少なくとも私がいた所にそんなもの無かったよ」
「魔力とは万物が持つエネルギーの一つです。広くは意志と自我の力であると信じられ、生まれ持つ魔力が多い程神様から愛されているとされています」
「なるほどなぁ?魔法とかあるんだ?」
「はい。体内の魔力を印を介して対外に放出する自生魔術と、空気中に含まれる魔力を印に集め召喚する他生魔術があります」
「へー、ちゃんとしてるんだ。使える?見せて!」
「…私には魔力がありませんでした。他生魔術を使用するには道具がありません」
合わせていた目を伏せて、彼女は地べたを見る
わ、悪かったって…わざとじゃないんだって
「ごめん…なんか、あの」
「私の番です。何故貴方は聖剣を扱えるのですか」
「立ち直り早いな、…何故、何故?」
「聖剣ベインフォーリーは闇を撃つ為、命神ノービス様より授かった神器です。それはノービス様からの御加護が無ければただのなまくらとなってしまう筈ですが」
急な捲し立ての暴力を眉間に皺をよせながら受け止める。
「あーあー?誰ノービスって」
「我々ケルオム神国によって崇め奉られる者。天より我らを見守り、最初の贈り物を与える存在です」
「例の名前とスキルって奴ね、ハブられた私がそんなのの加護ある訳ないなぁ」
これも英語…ラテン語でもあるんだっけ?ステータスもそういや英語だ。
「んー…英語って分かる?」
「エイゴ…人名ですか?」
「無さそうだなぁ…どういう事だ」
異世界ならそこら辺もしっかり考えろよ!面倒くさがってんじゃないよ神様!!
「次は…どうして、私を助けてくれたんですか?」
「え?かんかんうるさかったから」
「では何故私に施しをしてくれたのですか?」
「えー…?お腹すいてそうだったから」
「…成程、貴方は優しいんですね」
いやまぁ実際の所あまりにも人と会ってなくて寂しかったからなんだけどさ、それをそのまま言うのもなんだかはばかられる
「あと毒味」
「あの?」
「さーて、つぎつぎ」
「ちょっと?」
「あの禁足地の一番奥に居たドラゴン、何か知ってる?」
「…闇龍ファブニルの事ですか」
少し不服そうな顔で彼女は答えた。
こんな表情豊かな子だったかな。
「あ、それだそれそれ。態々自己紹介しながら死んでったもん」
「死ん…倒したんですか?」
「聖剣でこうサクッと」
「先程の”消えてる”と言う話が本当であれば…可能、なんでしょうか」
「て言うか今頃だけこの三徳聖剣本物なんだねぇ。…返した方が良い?」
「お父様のお話を聞いた後に可能であれば」
「もうちょい後か、正直早めに手放したくなったよこんないわく付きのもの」
「あの闇龍はケルオム神国が長らく争い続けてきた厄災であり、数十年前の光闇大戦において勇者レイがノービス様より授かった神鎌アガルマオートを身体に突き刺し、巨大化させ大地に打止めた事で漸く動きを停めたファブニルを」
あ、この剣川に刺したら流れてくる水綺麗になるんじゃね?
よいせっと
あ、本当に綺麗になる。やたらと反射するなこの光。ごっくごっく
「……何をしてるんですか」
「濾過かな」
「……」
「何よ物言いたげな顔して」
「聖剣をそんな風に使わないでくれませんか」
「ごめんなさい」
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