面倒事には積極的に首を突っ込みます

森を抜けると、月明かり差し込む禁足地へと戻って来た。

ここだけ木が茂って居らず、空がよく見える。

ここに出た時と変わらず、青い三日月も落ちて行く。


「禁足地…ここですか?」

「そーそ、ここなら周りが良く見える」


原っぱの上に適当に腰掛け、カバンの中身を漁ってみる。

食べれるもの何かあるかな


「その鞄は…」

「これも例の骨からの拾い物。まだ中身全部確認してないんだよね」


ガサゴソしてると何かべちょっとしたものに当たった。出来るだけバッグの奥の方へ投げておく

漁っていると、包み紙に入った何かを見つけた、取り出してあげてみると、長方形の小さなインゴットのような塊だった。

…カロリ○メイトでは。まぁいいや。取り敢えずそこのガキンチョに聞いてみよう。


「そこのーロリー、これ知ってるかー?」

「……」


これはあれじゃな、シカトじゃな。舐めたマネしくさっておのれ…っ


「えっとー…リム?」

「はい?」


違うんかい、名前か?名前呼びしか受け付けないめんどい彼女なスタイルか?この歳から生活面以外で人に依存してたら後々困るというのに。


「これ知ってる?拾い物に変わりはないんだけど」

「ケルオムの完全食です、一つ食べるだけで、数日間活動するのに必要な栄養を摂取出来ます」

「どっかの豆みたいな…便利な物作ってるんだねケルオムってところは」


次は何やら赤い石が鞄から飛び出してきた


「これは?」

「炎の魔石です。魔力を流し込むか、砕く事で色に応じた魔力を発します」

「お、丁度いい。キャンプしてみたかったんだよね」


適当に折れた木と、そこらに生えてた草を持ってきて、その炎の魔石とやらに魔力を流……魔力って何そもそも。

わかんないので薪の近くでパキッとしてみた。数cm台の火球が現れ、薪に火が着く。


「おおおぉぉ〜!すげぇ!魔法っぽい!」

「…」

「リムちゃんも当たりな。温いぞ」

「…はい」


完全食とやらを二つに割って、片方をリムに差し出す


「ん」

「…」

「ん?」

「…」

「リムちゃーん?」

「はい」

「食べないの?」

「……私には判断出来ません」

「はぇー」


ぽりぽり割った完全食を口に運ぶ。

あっなんだろうこれ…小麦粉の旨みと粘性全部無くして無理やり焼き固めたみたいな味がする。ただの固形の粉だ


…何自分じゃ判断出来ないって」

「…」

「最近流行りの指示待ち人間?あれ場所によっちゃ有用だけどクリエイティブさが一切ないから困りもんだよね」

「……」


ぱちぱち薪が爆ぜる音。鳥や虫の鳴き声は無く、遠くから小さな川のせせらぎだけが聞こえてくる。

月明かりはどんどん強さを増していった。


自分の中で、彼女の事について何となく勘づいた事がある。


「リムがどうして何も自分じゃ動かないのか」


これはただの私のエゴと、知的好奇心を満たす為の物に過ぎない。聞いた所で解決しようと思うかすら解らない。

ただ、こいつは使えそうってだけ。その筈。


「教えて貰える?」




「はい」

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