呆気ない幕切れの裏側には

えー、目の前にはバカでかい黒いドラゴンがいます


『何者だ』


こっちが聞きたいそんな事…

私知ってるよ?友人Sから聞いたもん。初期リス近くには封印されたドラゴンが居るものって。そんで仲良くなってチート貰えるんだって。

でもさぁ…はちゃめちゃにこれ闇属性って言うか拘束されてたあとって言うかなんてーかね


『隠れようと無駄である。此処が何処かは知っているだろう?』


知らねーつっってんだろっ!

こちとらわからん殺しされかけてんじゃ!

だけどまぁ…んー正直に名乗り出てみます?取り敢えず近場寄ってさ


うっわ風圧、急にバサバサし出すじゃん


『良いだろう、来るがいい。我に仇なす不届き者が!!』


ぎゃおーん


あっこれダメなやつですね。

完全に敵対されてますわ。てかうっさいし黒いしなんか汚い。なんか変な病気貰いそうなんだけどー…んー?無事だ。

あれこれ聖剣君が頑張ってる感じ?

聖剣をぶんぶんしてみると、光の当たった場所の黒い粒子が消えていく。

ビンゴだ。懐中電灯代わりにしてごめんな


そしていつの間にかでかいドラゴンは爪を地面に立てて門の方にえいってしてた

わー門がバキバキ。あたったら痛そう。


…え、マジで、こんな如何にもな龍にも見えてないの?

この消えるやつ中々便利なんじゃないの?てかこいつに見えなかったら誰に見破れるんだ。


あんまり暴れられても困るな、でかいから適当に動くだけでも当たっちゃいそうだ。

取り敢えず尻尾切ろう、そういう役目だ私は。

このでかドラゴン、尻尾が全体面積の半分くらい占めてるから実質的に当たり判定1/2です。


切れるかな。よいせっと


聖剣君を尻尾に立てると、まるで熱したナイフでバターを切るようにずぶずぶ抵抗なく切れていく。あとどう考えても刀身届いて無いだろって部分まで切れてく。どうやら特攻らしい?


『グァアアァア!!!』


大層な雄叫びを上げて此方へ振り向いた。

やっば気づかれたかな…キョロキョロしてる、大丈夫そう。

ついでに足も1本持ってこうか、機動力削ぐのは大事。


『ァア…何者だ!!?』


試しに通り過ぎ様に切ってみたら普通に勢いのままぶった切れた。この剣すごいねぇ。

切った部分が黒い変なので再生してそうだったからついでに聖剣でごにゅごにゅっと突っついてみる。

思った通り、虫みたいな黒い変なのは掻き消えていく。


この調子で右足、んで後ろ足も一緒に切り倒す。


『一体…一体何が』


そりゃあ怖いよな、何も分からずに切りつけられて追い詰められるのは。

でもな、見えないのが悪いんだぜ。

あとついでに悪そうだったのが悪い。急に怒んないでよびっくりしちゃう

ここに居たのも悪い。全部お前のせい。


勝手に住処荒らした言い訳を適当に考えながら、項垂れた頭へと近づく


『我は…ッ、我は闇龍ファヴニルであるのだぞ!!』


「知らないよ声でっかいなー」


初めて出来たまともな会話を最後に、頭へと聖剣を差し込んだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る