第52話 スピード対策、アイ

 アイがダッシュウルフとの対戦だ。


「【俊足】」


 うん、スピードでは負けてないな。

 でも走りながら正確な投擲が出来るかな。

 出来ないらしい。

 投擲を外しまくってる。


 俺はダッシュウルフを誘導弾で片付けた。


「今のままだと千日手だ」

「そうかも」

「何かアイデアを出せ」

「投擲の範囲攻撃があるけど」

「それなら多少目標がずれても問題ないな」

「やってみる。【俊足】【蓄積】」


 アイがダッシュウルフの背後を取ろうとする。


「【蓄積、解放】【投擲、散弾】」

「キャイン」


「一撃だな。追いかけている最中に溜めが出来るのが良い」

「うん、これなら2匹同時でも」


 アイがダッシュウルフを倒しまくる。

 うん、投擲って苦手なのがほんとゴースト系しかない。

 爆発魔道具を投げれば魔法攻撃だから、ゴースト系も倒せる。

 毒を投げることもできるし。

 地味だが良いスキルだ。

 俺が持っているというひいき目があるのかな。


 アイの俊足スキルも上がっていく。

 これなら、すぐに30レベルになるだろう。


 討伐はアイに任せて、俺は魔道具の構想を練り始める。

 時間は有効に使わないと。


 さて、猫耳尻尾セットは大ヒットだった。

 この調子で作るとしたら、万人受けする魔道具だな。

 このゲームBGMがないんだよな。

 流れていると気になって仕方ない人もいるかもだけど、あっても良いような気がする。


s=input("曲名を入れて下さい")

while 1:

  print("【われは内包する、魔法規則。もし、音波魔法が発動してなければ、音発声の命令をレベル1の音波魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもので"+s+"の曲を奏でよ。背景音楽】")


 うん、こんなので良いな。

 魔法呪文の呪文解析AIは高性能だ。

 ところで音楽系の権利はどうなっているのだろう。

 最近の流行曲の曲名を入れてみた。


『申し訳ありません。その曲は奏でられません』


 クラッシックを試してみた。

 これは行けた。

 どうやら著作権の関係はあるようだ。

 まあそうだよね。

 金を払ってないのに曲が聞けたら問題だ。

 でも、流行曲も聞きたいな。

 運営にメールしておこう。

 権利問題を片付けてくれるかも知れない。


『音楽の権利問題は徐々に聴ける曲を増やしていくこととしました。手始めにこのゲームのテーマ曲を作りたいと思います』


 そうメールが返ってきた。

 徐々に金を払って解決していくらしい。

 このゲームのユーザーが増えていけばいくほど、曲の数も増えるのかな。


 今後に期待だ。

 アイがダッシュウルフに慣れて、ほとんどノーダメージなので、休みを挟んで次に行くことにする。

 マクスダクトのところに音楽魔道具を納品した。


「こいつはいいな。だが曲が古臭いのばかりじゃな」

「徐々に増えるらしいよ」

「どっかの音楽配信サイトと連携して、リアルで買った曲はそのユーザーだけゲーム内で聞けるようにしたらいいかもな。運営に提案しておくよ」


「何か魔道具のアイデアがないかな」

「そうだな。辞典みたいなのは簡単に作れるよな」

「文字表示だけなら簡単だ。ええと画像は」


 Python入門を読んでみる。


from PIL import Image

img = Image.open("test.jpg")

img.show()


 これでいいらしい。


「画像も簡単に行ける」

「じゃあ、料理のレシピ集作れよ」

「そんなのが需要あるんだ」


「情報は金になる。お前が作った物探しの魔道具な。お前でないと一つのアイテムに固定になってしまう」

「そうだね」

「それを逆手に取った奴がいるんだ。その固定のアイテムの名前を知られていない物とした。そうするとどうなると思う」

「その魔道具を買った人だけがそのアイテムを手に入れられる」

「アイテムの名前が漏れなきゃそうなる。そうすると希少価値が出てくるわけだ。金貨1枚で取引された物探し魔道具もある」

「ふーん、情報が金になるのか。俺も何か考えてみるよ」


「レシピ集のデータは料理家が持っている。スクリーンショットした画像もお前ならコピーできるよな」

「うん出来る。簡単だ」


 そうだ、耳ふぅランキングが流行ったな。

 みんなスクリーンショットを撮っているはずだ。

 集めたら写真集が出来るな。


「美少女プレイヤー写真集なんてどうか」

「いいかもな。そういうのは男心をくすぐる。じゃあ、そういうスクリーンショットを持っている人に伝手を作ってよ」

「おう、俺の出番な仕事だな。そういうクランにいくつか心当たりがある」


 写真集は美味しい商売だ。

 プレミアがつくのも出来るかもな。

 通し番号打っておくか。

 100冊のうちの5冊目なら、『5/100』みたいな感じに。

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