第51話 パワーレベリング、アイ
「よし、長らくお待たせ。アイのパワーレベリングの時間だ」
「かなり鍛えたよ。投擲はレベル30だし、俊足もレベル15になってる。切り札の蓄積もレベル30になったよ」
「じゃあ、ご褒美だ。固有武器の『岩スリンガー』」
「やった。もらっていいの」
「どうぞどうぞ」
さて、投擲だ。
エルダートレントから行く。
こいつは投擲に相性がいい。
「【投擲】」
拘束されたエルダートレントに石が投擲された。
うん、地味だな。
向日葵に除草剤とかもらって投擲すればもっと討伐の効率は良いんだろうけど。
魔道具でも投げてみるか。
while 1:
print("【われは内包する、魔法規則。かの者は目の前にいる敵。かの者と接触したら、爆発の命令をレベル1の爆発魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを爆発させろ。爆発魔法】")
こんな魔道具を作った。
ループしても接触するまでは魔力の受け渡しがないので、耐久値は減らない。
ボスの魔石で作れば大爆発だ。
「【投擲】。きゃっ」
爆発にアイが驚く。
一撃でエルダートレントの体力の8割ぐらい減った。
「蓄積も見てみたい」
「じゃ、行くよ。【蓄積】……【蓄積、解放】【投擲】とりゃ」
うん、蓄積したこともあってかなりの威力だ。
だが、戦闘中に溜めるのは、エルダートレントみたいにほとんど動かない奴しか駄目だ。
だから、訓練の方向性としては、動きながらや、攻撃しながら溜めるのが良いだろう。
かなり昔の格ゲーのタメ技キャラみたいな戦い方になるな。
常に溜めてるみたいなという感じだ。
エルダートレント討伐は問題ないな。
適度に爆発の魔道具を投げて、簡単にエルダートレントのボスマラソンは終わった。
ギガゴーレム、レッサードラゴン、サンダーグリフォンもサクサクと進んだ。
投擲に相性が悪いのはゴースト系みたいな奴だからな。
さて、休憩前にマクスダクトの所に行くか。
アイもついて来た。
「猫耳と尻尾が出来上がっているぞ」
「おう」
import random
import time
while 1: # 無限ループ
time.sleep(random.randint(30,60))
i=random.randint(1,3)
if i==1:
s="ぴくぴくと"
if i==2:
s="立てるように"
if i==3:
s="伏せるように"
print("【われは内包する、魔法規則。かの者は右猫耳。念動の命令をレベル1の念動魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものでかの者を"+s+"動かせ。念動】")
print("【われは内包する、魔法規則。かの者は左猫耳。念動の命令をレベル1の念動魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものでかの者を"+s+"動かせ。念動】")
耳を動かすプログラムはこんなだ。
あとは段々とバージョンアップすれば良い。
「可愛い♡」
アイがさっそく猫セットに食いついた。
「着けてみろよ」
「うん」
アイが猫耳と尻尾を付ける。
可愛さが何割か増したな。
「これは売れるぞ」
マクスダクトの商売人の琴線に触れたらしい。
動かす魔道具は耐久値がなくなると消えるので、補充か必要だ。
消耗品として使用頻度が高い魔道具は良い魔道具だ。
コンスタントに稼いでくれる。
「どう」
「なんかいいね」
アイからメッセージを貰ったのだろう。
向日葵とローリンもやってきて、猫耳と尻尾を装着した。
「みんな可愛いよ」
向日葵は不満そう。
向日葵は特に可愛いよとか言ったら良いのだろうが、角が立つからな。
「にゃん♡」
マクスダクトの店に、通行人が寄って来た。
「可愛い」
「私も欲しい」
「男性用はあるのかな」
色んな客が買って行く。
意見もたくさん出る。
特に色と模様の注文が多い。
でもこれはモンスターのドロップ素材を使っているから、なかなか難しい。
布とかだったら、好きな色と柄も作れるのだろうけど。
これは俺の領分じゃないので、マクスダクトに任す。
動きのパターンが少ないとの声も上がった。
猫の動画を見て研究しないと。
ダイブインできないクールタイムにそういうのを見て勉強しよう。
犬耳もないのかとの声も上がった。
うん、これも俺の領分者ないな。
エルフ耳作ってとの声も。
どうやって作るかはマクスダクトに任せよう。
動かす部分は作っても良いけどね。
猫耳尻尾セットは瞬く間に完売した。
ほんとうに流行の予感。
1万セットぐらい軽く行くかも知れない。
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