第37話 クラン戦申し込み

「討伐は久しぶりだな」


 狩場の森で3人と待ち合わせ。


「お久だよね」


 笑顔の向日葵。

 名前が体を表すとはよく言ったものだ。

 向日葵みたいだな。

 イメージが向日葵そのものだ。

 きっと日常生活でも言われるんだろうな。

 あなた向日葵みたいねって。


「私達の顔忘れたでしょ」


 咎めるような顔つきのローリン。


「正直に言いなさい」


 問い詰めてくるアイ。


「と言っても2日ぶりなんだが。なんか長い時が経った気がする」


 俺達が狩りを始めようとしたら、大人数のパーティがやってきた。

 ちょっと。

 後から来てこの狩場を占領しようって言うのか。

 口に出して言うと角が立つから言わない。


 向日葵達もそのパーティを睨んでいる。


「やあ、君達が耳ふぅ美少女ランキングに載ってた子かい」


 話し掛けてきたのは、前髪を一筋垂らした優男。

 ハンサムな顔つきだが、気持ち悪い笑いが張り付いていて、気持ち悪い奴だなという感想しか出て来ない。

 耳ふぅ美少女ランキングは耳ふぅが流行った時にその一瞬をスクショしてどの顔が良いかを競うものだ。

 3人のうち誰かが入っていたんだな。


「「「……」」」


「おや無視するのかな。うちのクランはPK部隊もいるんだよ。分かるだろ」

「脅してどうしたいんだ。話なら俺が聞く」

「野郎には興味がないね。そこにいるランキング1位の向日葵と、ランキング3位のローリン、ランキング7位のアイに話しているんだ」

「俺のクランメンバーへのちょっかいは辞めてもらおう」

「そんな弱小クラン抜けなよ」


 こいつ、俺とは話さないらしいな。


「なら、クラン戦をやるか」

「ほう、僕達に挑もうってのかい」


 やっと話に乗って来た。


「クラン戦受けるか。こっちは人数が少ないから、同じ人数にしてもらうが」

「いいね。そっちが負けたら3人が僕たちのクランに来るなら考えるよ」

「よしやろう」

「じゃあ3対3だね」

「こっちは4人なんだが」

「彼女達の去就の話だろう。君は関係ないはずだ」


 俺が加わらないと大幅な戦力ダウンだ。

 この話は受けちゃいけない。


「ならことわ「受けるわ。3対3よね。みんなも受けるでしょ」

「回転斬りの餌食にしてやるぜ」

「投擲でボコボコにしてあげます」


「仕方ない。だが1週間後だ。俺達はクラン・天辺だ。そっちには固有武器を賭けてもらおう」

「オッケー。僕はクラン・ショーケース。じゃあ待ってる♡」


 本当に気持ち悪い奴だ。

 クランショーケースの情報を調べ始めた。

 ショーケースはアイテム集めから始まって色々なコレクションをするのが目的のクランらしい。

 そのため他人のアイテムを奪うためにPKも止む無しと考えているようだ。

 外道なクランだな。

 当然嫌われている。

 3人はコレクションされるために狙われたのか。


 クランリーダーは†翔†、当然のことながら男。

 副クランリーダーは二人いる。

 一人はPK部隊を率いているドクロ、こいつも男。

 もう一人はみるふぃーゆ、女。


 俺はたぶんその3人がクラン戦に出てくると踏んで、マクスダクトに情報集めをメッセージで依頼した。


「なんかとんでもない事になったな」

「しつこい勧誘は前からあるの。こういうのはガツンとやらないと」


 さてどうするかな。


「こうなったら3人のパワーレベリングだ。俺が弱らせて止めを譲る。この方法で効率よく強くなれるはずだ」

「良いの?」

「パワーレベリング頑張る」

「借りとして覚えておく」


「気軽に行こう。借りだなんて思わなくて良い。クランの仲間だろう」


 そして、マクスダクトから情報が入ってきた。


 †翔†は魔法使い。

 何の魔法かと言えば毒魔法だ。

 たぶん状態異常攻撃だな。


 ドクロは大鎌使い。

 斬撃スキルのレベルが高いらしい。

 バリバリの近接職。


 みるふぃーゆはムチ使い。

 こいつはテイマーだ。

 使うモンスターによってはどんな手も取れる。

 万能型だな。


 3人とも強敵だ。

 ただ、3人の組み合わせがどうなるかが分からない。

 普通に考えたら、先鋒がドクロで、中堅がみるふぃーゆ、大将が†翔†なのだが。

 素直にそうこない可能性もある。

 こっちがどの順番にするかで相性が決まる。


 こうなったら3人を誰に当たっても勝てるように鍛えるか。

 それが良いような気がしてきた。

 大は小を兼ねる作戦だ。


 それにはあれが必要だな。

 開発するか、どこかで仕入れないと。

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