第34話 タゲ取り
耐久値改ざんの失敗でめげてはいられない。
気を取り直して魔道具屋にきた。
本日2回目。
「日を開けずに来いとは言ったが、一日のうちにくるとはな」
「今日は指南の日ということで」
「まあいいか。石弾と拘束と石盾の魔道具を教える」
レベル1で出来るのは石弾か。
投擲と性能はそんなに変わらないだろ。
俺の投擲はレベルが育っている。
石弾の魔法じゃ投擲のほうに軍配が上がる。
損した気分。
石弾を時計に組み込んだりしてみたが、こんなのは誰も買わない。
うん、どういう魔道具なら買ってくれるか。
役立つ奴がいいな。
ゲーム内で掲示板を見る。
タゲを取るのが難しい場合があると書いてある。
タゲってのは攻撃を加えたり、挑発などのスキルを使うとモンスターの攻撃対象が変わることだ。
ただ回復職などにこれが向くと大惨事だ。
モンスターによっては攻撃しなくても回復行為で攻撃対象が変わったりもする。
チート並みに一瞬で片付ける俺には要らない要素だ。
まあ盾職や戦士とかは足が遅い奴とか多いからな。
素早い敵だと攻撃を空振りして、タゲが他のパーティメンバーに移ってしまうこともあるだろう。
タゲ取りの魔道具ね。
良いかもな。
print("【われは内包する、魔法規則。石弾生成の命令をレベル1の土魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを生成せよ。石弾生成】")
while 1: # 無限ループ
print("【われは内包する、魔法規則。かの者は目標のモンスター。魔法情報にありし物をかの者に向かって飛ばせ。誘導】")
誘導弾だ。
これを使えば簡単にタゲが取れる。
試してみたところ、誘導部分のループはそれほど耐久値を削らないことが分かった。
うん、タゲ取り魔道具、それなりに使えるな。
1000個作って、マクスダクトに納品した。
今のところループの魔道具が作れるのは俺だけだ。
これはヒットするかもな。
「なかなか良い物を作ったな」
マクスダクトが褒めるなんて。
「いゃあ」
「まあ、欲を言えば4属性ほしいな。モンスターの弱点属性を使った方がタゲを取り易い」
「なるほど」
ということで、4属性のバージョンを作った。
「他に不便なこととかない?」
「あれば俺が作ってる」
掲示板からヒントを得た方が早いか。
ええとレベル上げが怠い。
うん、これはどうしようもないな。
タゲ取りみたいなヒット作ができないかな。
名前鑑定が怠いという意見がある。
俺の鑑定魔法はレベル1だ。
ほとんど分からない。
名前鑑定の魔道具を作ったところで意味をなさないだろう。
それに他の人も名前鑑定魔道具は作れる。
ただし鑑定魔法を覚えたい人は別だが。
前に作った名前鑑定をループさせて魔道具を作った。
名づけて鑑定魔法覚える君。
もっともNPCに教えて貰えば魔法は一発だが。
価格的な面だと、スライムの魔石から作った鑑定魔法覚える君の勝ちだ。
ただNPCは段階的に高度な魔法も教えてくれる。
独学で覚えたい人向けか。
あんまり需要はないだろうな。
100個作る。
「段々売れ筋が分かってきたな」
「ああ、なんとなく売れない物は分かる」
売れる物ね。
で作ったのが、掘削君。
for i in range(0,100,1): # 100回ループ
print("【われは内包する、魔法規則。石ノミ念動の命令をレベル1の念動魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを動かせ。念動】")
掘削作業がBOTみたいに進む。
これもちょっとマニアックだな。
それなりには売れるか。
100個作る。
マクスダクトからタゲ取りの魔道具の追加がきた。
売れるのが早いな。
俺は使う場面が思いつかないから分からんが、挑発スキルなしにタゲ取りできれば、凄い便利なのか。
かなり金が溜まったので、初めてリアルマネーに換金することにした。
ふんふん、公式の両替してくれる会社があるのな。
会社によってレートが違う。
固定で手数料を取るところもあれば、大金貨10枚以上でないと受け付けないところもある。
俺は少額でも受け付けてくれる会社を選んだ。
システム画面で換金のボタンを押す。
会社の名前が出て来るのでお目当ての会社を選択。
金額を指定。
1000円ぐらいしかならなかったが、大いなる一歩だ
次は万単位で発注がくるような魔道具目指して頑張ろう。
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