第33話 耐久値
乱舞系の技ね。
ちょっとした気分転換に魔道具屋のNPCに会いに行く。
「おい、馬鹿弟子。あまりに日をあけると破門するぞ」
「すいません。クランホーム作るのが忙しくて」
「家を作ったのか。では仕方ないな」
えっ、その言い訳でいいの。
「今日は4回目だよね」
「そうだ、火の魔道具を三種教える。火球と、火球散弾と、火炎旋風だ」
この三種類の呪文を教わった。
だけどね。
俺ってレベル1しか駄目なんだよ。
ということは火球だけじゃん。
それはもう習得済みだ。
「不満気だな」
「火球は作れるし、他のは全属性だから作れない」
「うむ、では火炎放射を教えてやろう」
「あざす」
感謝の言葉を言ったが、こんな呪文は俺にも作れる。
だが、まあ良いか。
試してみたところ火炎放射は、魔力を消費し続ける。
まあ、そういう魔法だからな。
print("【われは内包する、魔法規則。火炎生成の命令をレベル1の火魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを吹き出し続けろ。火炎放射】")
while 1: # 無限ループ
print("【われは内包する、魔法規則。かの者は自分。魔力吸収の命令をレベル1の吸魔魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にかの者の名前を渡せ。極小吸魔】")
こうすると、ガスバーナーみたいな魔法が永遠に続く。
魔道具に作ると耐久値がすぐに減るから、現実的ではない。
使えない魔法だ。
耐久値の減らない魔石があったらいいのにな。
初回特典で魔石を獲得した奴とかいないかな。
それがPKだったらなお良い。
なら奪ってやるのに。
そんな都合のいい話はないな。
耐久値の高い魔石は、強いモンスターだ。
だが、そういう魔石を一発使い捨ての魔道具にするのは惜しい。
うーん、何か良い手はないかな。
魔石のファイルは『.exe』だ。
それを魔道具にすると『.html』に変わる。
魔道具にした時点で魔石の情報が紐づけられる。
耐久値を増やすなら魔石の時だ。
だが、『.exe』の中身は数字の羅列。
とてもじゃないが解析は不可能。
いや、本当に不可能か。
例えばスライムの魔石の耐久値が1000だったとする。
『スライムの魔石.exe』の中に、1000の数値が2箇所以上あるはずだ。
現在値と最大値、この二つがな。
f = open("スライムの魔石.exe", "rb")
data = f.read()
for bytedata in data:
print(bytedata)
f.close()
これで魔石の中身が見れるはず。
うん、上手くいった。
表示された数値から1000の数字を見つけたらいい。
f = open("スライムの魔石.exe", "rb")
data = f.read()
dataold=0
for bytedata in data:
if dataold*256+bytedata==1000:
print("見つけた")
dataold=bytedtata
f.close()
こんな感じかな。
見つけた場所を表示すれば、そのどれかが耐久値だ。
いくつも1000を見つけた。
そしてプログラムで数値を弄る。
おっと消えやがった。
ということは間違った場所だったんだな。
地道に調べるほかない。
そして、遂に発見した。
スライムの魔石の耐久値を変えれたぞ。
これってやばい。
運営から叱られるかな。
俺はGMから監視されていると思うから、不味ければ何かアナウンスがあるだろう。
今の所それはない。
と思ったら、上手くいかなくなった。
対策されたんだ。
プログラム入門を読んでいたら、チェックサムなる項目がある。
不正にデータを弄るとこのチェックサムが働いて動かなくなる。
きっとこれだ。
くそう、運営とイタチごっこだな。
チェックサムは簡単な足し算から、補数というものを使ったり、暗号化したりするとプログラム入門にはある。
上手くはいかないな。
ふと、思った。
ファイルの中身を数値化してみることをダンプって言うらしいが。
このダンプデータのサンプルがいくつもあれば、チェックサムも解析できるのではないか。
プログラマーなら容易なはずだ。
ただ、人に頼むのはお金が要る。
そして解析が成功したら、チェックサムのやり方を変更されたら、また出直しだ。
ならば、地道に中ボスマラソンをして、高い魔石で使い捨ての魔道具を作って安く売る。
それをするぐらいなら魔石を売った方が早い。
中ボスマラソン、魔石大量ゲットは運営としてはオッケーなのか。
まあ時間が掛かるけどな。
どうしても加工した物の方が高くなる。
魔石大量ゲットは美味しくない。
それに単純作業は俺が嫌だというのもある。
運営を出し抜くのは大変だ。
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