第32話 魅せる展開

 気分転換も必要だ。

 3人と一緒に討伐に出る。

 敵は、オーク。

 こいつらは重武装していて、武装も良い。


 弓を持っている奴や、盾を持っている奴。

 とにかく多彩だ。

 グループで連携を取られて、それが嵌ると凄い苦戦する。


「野郎ども、お待たせ。久しぶりのチート野郎バーテックス配信だ」


『待ってない』

『いや真っ先に書き込んで説得力がないんだが』

『この配信好き』


「まずは俺にやらせてくれ。【Pythonパイソン 火球100倍速.py】」


 レーザーみたいな光の軌跡を描いて火球が盾オークに突き刺さる。

 盾オークは盾を吹き飛ばされた。


『うぉ、安定の蹂躙ぶり』

『気持ちいいぐらいモンスターがやられるな』

『チートだからな』

『でも公式なんだろう』

『まあな。そういうことになってる』


 乱れ打ち行くか。

 火球100倍速.pyを連発する。


『もうほとんど花火大会』

『光でモンスターが吹き飛ぶ所が見えない』

『圧倒的火力だな』

『自動迎撃もあるらしいぜ』


「あー、ドロップ品拾うのが、だるいぜ」


『俺も言ってみたい台詞だ』

『やられてからの反撃とかが燃える展開なんだけどな』』

『魔法職に無理言うなよ』

『プロレス展開は面白いけど、紙装甲じゃ無理』


 そういう展開が受けるのか。

 防御魔法を展開すればそういうことも可能だ。

 攻撃は最大の防御でやってきたけど、たしかに敵の攻撃を受けたりすれば、また盛り上がりが違うかも知れない


 即興で作ってみるか。

 やられて俺の固有武器のPythonパイソンがドロップしたり消えたりすると不味いが、オークなら即死はない。

 何撃かは耐えられる。


for i in range(0,100,1): # 100回ループ

  print("【われは内包する、魔法規則。防御の命令をレベル1の防御魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもので防御せよ。防御】")


  for j in range(0,100,1): # 100回ループ

    print("【われは内包する、魔法規則。かの者は自分。魔力吸収の命令をレベル1の吸魔魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にかの者の名前を渡せ。極小吸魔】")


 防御魔法の100回掛けだ。


「【Pythonパイソン 防御100.py】」


 剣士オークが俺を剣で撃ち据えた。

 はじけ飛ぶ防御結界。

 40枚ぐらい逝かれたか。


 普通に耐えられるな。


『防御魔法の重ね掛けってありか』

『いや重なってはいない。新しい防御魔法が発動すると古いのは消える』

『無限ループにしたら関係ない』


「【Pythonパイソン 火球100倍速.py】」


 剣士オークを仕留めた。

 無限ループにプログラムを作り変えたバージョンも作ったが、気分的には100回の方がいいな。

 タイミングを合わせて防御しているとゲームしてる気分になれる。


 さあどんどん行こう。


【うお、防御しても耐えている感がないんだが】

【ハラハラ感がないな】

【だがそれがいい】

【安定の蹂躙ぶり】


「【Pythonパイソン 防御100.py】。おっと、まだか。【Pythonパイソン 防御100.py】。ここで反撃ね。【Pythonパイソン 火球100倍速.py】」


【別のゲームみたいだ】

【タイミング合わせの音ゲーみたいだ】

【オーク、強いのにな】

【防御魔法を破れない時点でお察し】

【しかし、全魔法属性とループを組み合わせるとこんなに強いんだな】

【第2回、初期特典の時はループスキルを入れるみたいだぜ】

【おお、でも弱体化されるだろう】

【噂ではループスキルを使うと魔力消費が激しいから、ここぞという時の必殺技になるみたい】

【詳しいな】

【社員が情報を漏らしてる】


 そうなのか。

 ループスキルを実装するのか。

 たしかに必殺10連撃とか熱いな。


 乱舞系の必殺技は映える。

 そうか俺もそういうのを作ればいいのか。

 レベル1の火魔法はレパートリーが少ないんだよな。

 待てよ魅せ技なら、幻影魔法を混ぜてもいいな。


 さて、そろそろ配信を終わりにしようか。

 3人が焦れている。

 3人に討伐をバトンタッチしよう。


 俺は乱舞系の必殺技の構想を練り始めた。

 うん色々と考えると面白いな。

 こういうのもゲームの醍醐味だ。

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