第30話 クランホーム完成
クラン天辺のクランホームが完成した。
よし、飲むぞ。
VRのお酒は未成年も飲める。
脳に副作用が起きないのは証明されている。
だから、VRはアルコール依存症の治療にも使われる。
我慢できなくなったら、VRで飲むのだ。
露店の料理をつまみに酒を飲む。
酒は全部葡萄酒だ。
日本酒プロジェクトなんかも行われているらしいが、潰して寝かせておけば出来る簡単な葡萄酒と違って日本酒は難しい。
というかゲームにその手のシステムが組み込まれているのかなとも思う。
ゲームの中に麹カビがいるのはロマンだが。
なんか説明っぽくなったな。
酔ったか。
「バーテックスしゃん。ここにいる3人のおんにゃのこのうちで誰が一番、すゅき?」
向日葵が酔っている。
「はいはい、酔っぱらいは寝ましょうね。ローリンとアイ、悪いが向日葵を寝せて来てくれ」
「はいはいさー」
「りょうかいであります」
三人とも酔ってるな。
マクスダクトは平気だな。
この酒の強さっていうのはなんのパラメーターだろうか。
物作りの二人が平気ってことは器用さか。
まあいいか。
「あー、いつになったらプロゲーマーになれるのか」
「プロゲーマーになりたいのか?」
「ああ、それが今の目標だ」
「攻略でか」
「迷ってる。俺のスキルは強力だから、攻略で名を売ることもできる。最初は物作りで金を儲けたり、配信でやっていこうと思ったんだがな。どっちつかずだ」
「このクランホームを売れば、ちょっとした金にはなるな」
「絶対に嫌だ」
「我がままだな。あれもこれもじゃ目標には届かないぜ」
分岐点に来ている気がする。
攻略の楽しさより物作りの方が楽しいと考えている俺がいる。
好きこそ物の上手なれだな。
よし、物作りで儲けよう。
何を作る。
時計なんかいいかもな。
このゲーム内で売っている時計を見たことがない。
もちろんシステム画面には表示されている。
だが、そんなの味気ない。
ファンタジーゲームなればこそという時計を作りたい。
import datetime
import os
date = datetime.datetime.now()
print("【われは内包する、魔法規則。角度",date.hour%12*30+date.minute//2,"に短針の幻影生成の命令をレベル1幻影魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもの表示せよ。幻影魔法】")
print("【われは内包する、魔法規則。角度",date.minute*6+date.second//10,"に長針の幻影生成の命令をレベル1幻影魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもの表示せよ。幻影魔法】")
print("【われは内包する、魔法規則。角度",date.second*6,"に秒針の幻影生成の命令をレベル1幻影魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもの表示せよ。幻影魔法】")
os.system('cls')
やってみる。
うん、時計の針が表示された。
後はこれをループさせるだけだ。
時計完成。
「時計の魔道具を作ってみた」
「趣味人が作りそうな物を作ったな。なかなか良いな。だが駄目だ。ほら壊れた」
「ああ、ループさせたからな。魔法を使った回数だけ魔石の耐久値が減る。ってことはループしない方がいいのか」
「まあな」
うん、時計がなんとか形になった。
だが起動したときに針の幻影が現れるだけでは、どうしようもない。
そうかシステムみたいな味気ないのでなくて、針を別の物にすれば良い。
鳥とか、花とか、恰好良いのだと剣とか。
とにかくデザインに凝った方が良い。
実際の時計じゃ作れないのとかがな。
光の針とかきれいかもな。
色々なデザインを考えた。
マクスダクトに感想を聞いたら。
「人の数だけ好みがある。どうせなら一点物にしろよ。高級感が出る」
「魔法の文章と発動の時のイメージをちょこっと変えるだけだから、簡単だ」
色違いとかとにかく色々と作った。
もう自分でもどんなデザインを作ったのか分からない。
かぶりがあってもご愛嬌だ。
猫の手と尻尾の針のデザインは、ねこにゃんさんに持っていった。
「いいものをありがとう」
大変に喜ばれた。
「感想は?」
「うん、文字盤が幻影じゃないのよね。ここにも絵とか映し出したらどうかな。私がもらったのだと、猫の顔を映して、時間によって表情を変えるとか」
「そうなると手間が増えるな。でもバリエーションも増える」
魔道具の時計作りは俺の趣味になった。
高値で転売される時計も出始める。
リトルスネーク印の時計は有名になった。
やっぱり良い物を作るなら、手間を掛けないと。
楽して儲かる道はないようだ。
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