第29話 鍾乳洞
やって来たよ、暗闇ダンジョンの鍾乳洞フィールド。
中は言わずと知れた暗闇。
灯りの魔道具なら、前に俺が作ったからそれを使う。
松明型の魔道具だ。
出入り口の表札には火気厳禁の文字。
可燃性ガスでも出るのか。
それとも窒息するシステムにでもなっているのかな。
注意書きには従おう。
俺以外には火を使う人間はパーティにはいない。
俺さえ気をつければ良いことだ。
最初の敵モンスターは『ジャイアントバット』。
でかい蝙蝠だ。
向日葵が魔法を詠唱する。
俺とアイは釘を投擲し始めた。
使った感想を教えてくれと鍛冶屋に言われている。
俺が武器だと言い始めた張本人だから仕方ないが。
「【回転斬り】」
ローリンが回転斬りを発動。
勢いあまって鍾乳石に剣が当たった。
飛び散る火花。
そして、轟音と共に爆発。
「ローリン、大丈夫か」
「8割方削られた」
可燃性ガス注意ね。
このダンジョンは大変だ。
ジャイアントバットは全て爆発に巻き込まれて死んでいる。
こういう攻略方法もありか。
ハイリスクハイリターン。
俺はどっちかというと安全を取りたい。
「ドロップ品を拾ったら、進もう。ローリンの回転斬りは禁止な」
「そんな」
「だったら新技でも編み出してみろ」
「新技、恰好いいかも。【回転斬り、竜巻起こし】」
おお、その場で回転斬り、風の竜巻が起こって飛んで行く。
これならジャイアントバットも楽勝だな。
「やればできるじゃん。その調子だ」
おだてるのはただだからな。
「えへへ」
ジャイアントバットが現れた。
「【回転斬り、竜巻起こし】」
竜巻に巻き込まれたジャイアントバットはきりもみして落ちた。
光になって死んでない所からみると、ダメージにはなってないな。
目を回して飛べなくなっただけのようだ。
俺とアイは釘で止めを刺した。
鍛造の釘は性能が良い。
ダメージも大きいようだ。
「なんか違う」
首を傾げるローリン。
「分かるよ、竜巻で切り刻まれる姿を想像したんだろ。だが、回転斬りでそんなのは無理だ。カミソリ状の物を竜巻に混ぜたりすればまた違うかも知れないが」
「それっ、カミソリの樹の葉っぱを飛ばそう」
「ああ、あのハズレドロップとか言われている奴ね。使い捨ての髭剃りに最適だったっけ」
「買いに戻りたい」
「そうしろよ」
ローリンが光になってホームに帰っていく。
「さあ、進もう」
「ええ」
「はい」
次に出たのはニードルサラマンダー。
事前の情報では火は吐かない。
トゲを吹いてくるサンショウウオらしい。
なんと火属性が弱点。
嫌らしい設定だな。
火を使うと爆発する恐れがある。
「【われは内包する、魔法規則。水盾生成の命令をレベル30の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを盾とせよ。水盾】」
向日葵が水魔法で盾を作る。
ニードルサラマンダーは息を大きく吸うと、針を吹いてきた。
針は水盾に刺さり、勢いが削がれ、水盾のなかを漂った。
「じゃあ、投擲しますか」
「はい」
盾の陰から投擲を開始する。
ほどなくして、ニードルサラマンダーは光になってドロップ品を残した。
針と魔石か。
針の性能はきっと鍛造の釘に劣るのだろうな。
でないと鍛冶屋さんが可哀想だ。
ジャイアントバットとニードルサラマンダーを倒し進む。
おっ、採取ポイントらしきところがある。
火花を出さないように慎重に水を掛けながら採掘作業する。
ストレージが1枠埋まったのでこれでよしだ。
結局、ローリンは間に合わなかったな。
帰り道、ローリンが葉っぱ竜巻でジャイアントバットを嬉々として切り刻んでた。
こいつ、楽しくって戻るのを忘れたな。
「ローリン、気は済んだか。帰るぞ」
「もう堪能した」
炉がないのでねこにゃんの所に行った。
そして石灰石を焼く。
焼いた石灰石を粉にするんだが。
for i in range(0,100,1): # 100回ループ
print("【われは内包する、魔法規則。石槌精製の命令をレベル1の土魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもので打ち据えろ。石槌】")
for j in range(0,100,1): # 100回ループ
print("【われは内包する、魔法規則。かの者は自分。魔力吸収の命令をレベル1の吸魔魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にかの者の名前を渡せ。極小吸魔】")
こんなプログラムを作った。
石の小さいハンマーが現れて砕く。
「これほしい」
「ああ、磁器って石を粉にするんだったな。魔道具は作れるが、使い捨てだぞ」
「そこはお金と相談で上手くやるわ」
ちょっと脱線したが、漆喰はできた。
Cランクだったが、店売りのFランクとは天と地の差がある。
早速クランホームの壁に塗った。
こうやって出来ているのをみると物作りって楽しいと思う。
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