第23話 世界の中身

 いま俺はセカドの街で宿を取って暮らしている。

 ホームが複数登録できてよかった。


『やっほー、元気してる』


 向日葵からメッセージだ。


『ああ、元気だ。魔道具もぼちぼち売れている』

『ひと狩りいかない? ローリンも誘ってさ』

『たまには行くか』


 セカドの街の噴水で待ち合わせた。


「待った?」

「おひさ」


 向日葵とローリンがやってきて俺にそう声を掛けた。


「待ってないよ。お久しぶりってほどでもないが、色々あったから長く感じるな」

「ジェノサイドのこと聞いてるよ」


 向日葵がそう言った。


「あんな奴ら解散して当然」


 憤慨した様子のローリン。


「ジェノサイドのことはいいから、狩りに行こう」

「サッドとフォスのどっちに続くエリアに行く?

「サッドの方がいいな」


 ローリンの言葉に俺達は頷いた。


 南門から出て森を行く。

 出てきたのは重武装したウッドゴーレム。

 ナイトウッドゴーレムという名前らしい。


「【剣術、回転斬り】」


 ローリンが回転斬りしながら突っ込む。

 ガスガス、ナイトウッドゴーレムに当たって、火花のエフェクトが散る。


 ローリンの回転が止まった。

 ナイトウッドゴーレムは盾でローリンを強打。


「きゃあ」


 飛ばされるローリン。


「大丈夫か?」

「平気」


「行くよ。【われは内包する、魔法規則。水弾百撃生成の命令をレベル20の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもの連弾せよ。百連水弾】


 向日葵の魔法がナイトウッドゴーレムを削る。

 うん、火力不足だな。


「【Pythonパイソン 火球1000改.py】。一撃じゃだめか。もういっちょう【Pythonパイソン 火球1000改.py】」


 ナイトウッドゴーレムは火だるまになって光となって散った。


「普通に強くなっているな」

「攻略組も、まだサッドとフォスには辿り着けてないみたい」


 レベル30相当の魔法で苦戦するようだと、たぶんプレイヤースキルが要求されるんだろうな。


「課金アイテムとか出ないのかな」

「レベル超越アイテムしかいまのところないわね」

「噂では近々出るかもと言われているけど」


「そうなんだ」


 次の敵は。

 ネームを見るとアーマーウルフだった。

 このルートは硬い敵が多いらしい。


「【剣術、回転斬り】」


 ローリンの一撃でアーマーウルフの前足の片足が負傷。

 うん、動きが鈍いな。


「行くよ。【われは内包する、魔法規則。螺旋水弾生成の命令をレベル20の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもの飛ばせ。螺旋水弾】


 向日葵が放つ水のドリルがアーマーウルフを削る。


「止めは任せて。【剣術、回転斬り】」


 ローリンが止めを刺した。

 アーマーウルフは素早いぶん攻撃力と硬さが幾分ましになっている。

 足を削ってしまえば後はカモだ。

 向日葵とローリンとで危なげなく仕留められた。



 次の敵はあれか。

 ロックタートル。


「【剣術、回転斬り】【剣術、回転斬り】【剣術、回転斬り】」


 ロックタートルにローリンが回転斬り連発。

 ロックタートルは攻撃に移れない。

 そして、ローリンの回転斬りでロックタートルは光になった。


 こいつは移動と攻撃力がないぶんとっても硬い。

 ローリンのお得意様だな。


 ナイトウッドゴーレムこの3種類の中では強いな。

 ローリンが魔力回復の魔道具を使う。

 魔道具は光となって消えた。


「オレンジ味のポーションがあったら、魔道具なんかに頼らないのに」

「俺に作れっていうのか」

「うんうん」

「私もフルーツ味の回復ポーション飲みたいな」


 ポーションの味改造か。

 そろそろ、武器とか、ポーションとか、魔道具の本質に迫らないといけないらしい。

 ヒントならある。


import glob # 機能を追加

res = glob.glob("*") # プログラムソースリストの情報を得る

print(res) # 情報を表示


 ですべてのファイルを表示すると、『.py』などを抜くとこうなる。


Python.exe

バーテックス.soul

バーテックス.body

村人の服.exe

名前隠蔽.html

魔力無限回復.html

下級回復ポーション.bin

下級マナポーション.bin


 スキルと武器と防具は拡張子が『.exe』、魔道具や小物は『.html』、ポーションは『.bin』だ。

 じゃあ、コピーしまくれば大儲けだと考えるだろう。

 だが、コピー対策されていて、アイテム無限増殖は出来ない。

 じゃあ何ができるかと言えば、魔道具の中身を除く事だけ。

 『.html』はテキストファイルだから、簡単に覗ける。


 狩りはフルーツ味のポーションという課題を残して終わった。

 誰かヒントプリーズ。

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